「公式は覚えたのに、模試になると手が止まる」。
物理が苦手な高校生から、大曽根校の無料受験相談でいちばん多く聞く言葉です。
結論から書きます。
物理が伸びない原因は暗記量の不足ではありません。
問題を読んでから式を立てるまでの手順が決まっていないことです。
物理は、式を書き始めた時点で勝負がついています。
図を描いて、注目する物体を決めて、使う法則を1つ選ぶ。
この3つを毎回同じ順番でやるだけで、解ける問題は大きく増えます。
この記事では、物理が伸びない原因と、解く手順の固定のしかた、参考書の進め方をまとめます。
書いているのは、大曽根校で理系の生徒を担当している校舎長です。
愛知高校をはじめ、2年次から理系コースに進む生徒に向けて日ごろ伝えている内容です。
物理が苦手になる3つの原因
苦手の中身を分けると、次の3つに整理できます。
| 原因 | 症状 | 対処 |
|---|---|---|
| 状況を図にしていない | 問題文を読んだだけで式を探し始める | 解く前に必ず図を描き、力や速度を書き込む |
| 公式を条件なしで覚えている | 使えない場面で保存則を使ってしまう | 公式は「使える条件」とセットで覚え直す |
| 数値を早く入れすぎる | 途中で計算ミスが起き、検算もできない | 最後まで文字で解き、最後に数値を入れる |
原文には「公式を丸暗記すれば、ある程度の問題は解ける」と書かれていましたが、これは正確ではありません。
丸暗記でも初歩の代入問題は解けます。
ただし模試や入試で差がつく問題は、どの法則を使うかを自分で決める必要があります。
決める材料が「条件」であり、条件を持たない暗記は使えないのです。
解く手順を5つに固定する
物理の問題は、次の順番で処理します。
毎回この順番を守ることが、そのまま得点力になります。
- 状況を図にする。物体、床、ばね、斜面などを描く
- 注目する物体を1つ決める。複数あるときは、まず1つに絞る
- その物体にはたらく力、またはエネルギーの出入りをすべて書き出す
- 使う法則を1つ選ぶ(運動方程式か、保存則か)
- 文字のまま式を立てて解き、最後に数値を入れる
手が止まる人は、ほぼ例外なく1と2を飛ばしています。
図を描かずに「この問題はどの公式だったか」を思い出そうとするので、思い出せなければそこで終わりです。
図を描けば、力が書き出せます。
力が書き出せれば、運動方程式は必ず立ちます。
大曽根校では、物理の宿題を確認するときに答えだけでなく図も見ます。
図が描けていないまま正解している場合は、次の類題で必ず崩れるからです。
公式は「使える条件」とセットで覚える
覚え直しの例を挙げます。
| 使うもの | 使える条件 | 使えない場面 |
|---|---|---|
| 力学的エネルギー保存則 | 摩擦や空気抵抗などが仕事をしないとき | 粗い面をすべるとき、抵抗を受けて落ちるとき |
| 運動量保存則 | 注目する系に外力の力積がはたらかないとき | 衝突の前後で長い時間が経過するとき |
| 等加速度直線運動の公式 | 加速度が一定のとき | 力が位置によって変わる運動 |
この表の右2列が言えるかどうかが、物理の実力です。
左の列だけ言える状態は「覚えている」であって「使える」ではありません。
覚え直しの手順は簡単です。
持っている参考書の公式に、自分で「使える条件」を書き込んでいくだけです。
書けない公式が見つかったら、その単元の説明を読み返します。
これを1周やると、単元ごとの理解の穴がはっきりします。
参考書の進め方
物理は、レベルを飛ばすと解説が理解できずに止まります。
段階を分けて進めてください。
| 段階 | 目的 | 使うもの | 次に進む判定 |
|---|---|---|---|
| 1 理解 | 現象と用語のイメージをつかむ | 講義形式の参考書 | 単元の内容を自分の言葉で説明できる |
| 2 基礎演習 | 型どおりの問題を確実に解く | 基礎レベルの問題集 | 解答を見ずに9割解ける |
| 3 標準演習 | 複数の法則を組み合わせる | 標準レベルの問題集 | 初見の問題で方針が立つ |
| 4 過去問 | 時間内に得点する | 志望校の過去問 | 合格最低点を超える |
段階2で9割に届いていないのに段階3に進むと、解説の1行目でつまずきます。
「この問題集は難しすぎる」と感じたときは、自分に合っていないのではなく、前の段階が終わっていないだけであることがほとんどです。
苦手な人ほど、力学を先に完成させてください。
力学の考え方は、電磁気でも熱力学でも使い回します。
力学が曖昧なまま電磁気に進むと、同じつまずき方を2回することになります。
共通テストの物理は時間から逆算する
大学入学共通テストの理科は、1科目を選ぶ場合が60分・100点です。
2科目を選ぶ場合は130分(うち解答時間120分)・200点になります。
出典:大学入試センター 令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 出題教科・科目の出題方法等
60分で100点分を処理するということは、1問あたりに使える時間はごくわずかです。
ここで効くのが、先ほどの5ステップです。
手順が固定されていれば、図を描く時間は増えても、方針を迷う時間が消えます。
結果として速くなります。
理科を2科目使う場合は、120分の解答時間をどう配分するかを演習の段階から決めておいてください。
得意な科目から解くのか、時間のかかる計算問題を後回しにするのか。
本番で初めて考えることではありません。
学年別の進め方
愛知高校のように2年次から医歯薬・理系・文系のコースに分かれる学校では、コースを決める時点で物理をどう扱うかも決まります。
愛知高等学校の公式サイトでは、医歯薬コースについて「特に理科・数学に重点を置いたカリキュラムを設定」と説明されています。
出典:愛知高等学校 コース紹介
大曽根校で伝えている学年ごとの優先順位です。
- 高1:物理基礎の力学を、講義形式の参考書で「説明できる」状態にする。数学の三角比とベクトルを止めない
- 高2:力学を基礎レベルの問題集で仕上げ、電磁気に入る。学校の進度より少し先を参考書で押さえておくと、授業が復習になる
- 高3の春から夏:標準レベルの問題集で、複数分野をまたぐ問題に慣れる
- 高3の秋から冬:過去問と共通テスト形式の演習。時間配分を固定する
物理は、伸び始めるまでに時間がかかり、伸び始めると一気に上がる科目です。
高3の秋に手をつけて間に合わせるのは難しく、高2のうちに力学を終えているかどうかで結果が変わります。
よくある質問
物理は暗記科目ですか
暗記だけでは点が止まります。
覚えるべきものはありますが、覚える対象は公式そのものではなく「その公式が使える条件」です。
力学的エネルギー保存則を言えても、摩擦がある場面で使えないことを言えなければ、模試では失点します。
物理と生物のどちらを選ぶべきですか
志望学部で指定される科目がある場合は、まずその指定に従ってください。
指定がない場合、物理は覚える量が少ない代わりに考え方の理解が要り、生物は覚える量が多い代わりに手順が安定します。
どちらが向くかは、いま解いていて手が動くほうで判断して構いません。
迷ったら受験相談で、志望校の入試科目と一緒に確認します。
物理の成績はどのくらいで伸び始めますか
一律の期間は言えませんが、力学の基礎レベルの問題集を1冊終えたところで変化を感じる生徒が多いです。
逆に、講義形式の参考書を読み進めているだけの段階では、模試の点はほとんど動きません。
読む時間と解く時間の比率を、解く側に寄せてください。
まとめ
- 物理が伸びない原因は暗記量ではなく、解く手順が決まっていないこと
- 図を描く、注目する物体を決める、力を書き出す、法則を1つ選ぶ、文字のまま解く。この順番を固定する
- 公式は「使える条件」とセットで覚え直す
- 共通テストの理科は1科目60分100点、2科目130分200点。時間配分を演習の段階から決めておく
武田塾大曽根校の無料受験相談では、物理のどの段階でつまずいているかを実際の解答を見ながら特定し、次に使う1冊と終わらせる期限を一緒に決めます。
参考書を買ったまま進んでいない状態でも構いません。
大学受験の勉強法でお悩みなら、武田塾大曽根校の無料受験相談へ
入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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