数学の基礎問題精講を終えたのに点が上がらないとき、いちばん多い原因は「終わった」の基準がずれていることです。
ページを最後までめくったことは、終わったことではありません。
全問を初見で解けて、解き方の方針を口で説明できる。
この状態になって初めて1冊終わったと言えます。
「基礎問は1周した。でも模試の数学が伸びない」。
武田塾大曽根校の受験相談で、高2の冬から高3にかけて必ず出てくる相談です。
この記事では、伸びない原因を4つに分け、それぞれどこへ戻ればいいかを整理します。
大曽根校の校舎長が、確認テストで実際に見ている基準をそのまま書きました。
基礎問題精講はどういう本か
まず、この本が何をする本なのかを確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 数学Ⅰ・A 基礎問題精講 六訂版 |
| 著者・出版社 | 上園信武 著/旺文社 |
| ページ数・定価 | 296ページ・1,320円(税込) |
| 収録内容 | 入試に出題される基本的な154テーマ |
| 1テーマの流れ | 基礎問→精講→解答→ポイント→演習問題 |
| 誌面 | 原則1ページまたは2ページの見開き構成 |
シリーズには『数学Ⅱ・B+ベクトル 基礎問題精講 六訂版』と『数学Ⅲ・C 基礎問題精講 五訂版』があります(旺文社 基礎問題精講シリーズ)。
大事なのは、この本が「教科書から入試への橋渡し」の位置にあることです。
入試問題そのものを解けるようにする本ではなく、入試問題を解くために必要な基本の型を154個そろえる本です。
だから、1冊終わっただけで入試問題が解けるようにはなりません。
型が使える状態になって、初めて次に進めます。
伸びない原因4つ
1.そもそも完璧になっていない
いちばん多い原因です。
完璧になっていない状態は、次の3つに分かれます。
- 初見で解けなかった問題が、まだ解けないまま残っている
- そのときは解けたが、時間が経って忘れている
- 解けるが、なぜその解き方を選んだかを説明できない
3つ目が見落とされがちです。
答えが合っていても、「なぜこの方針で解くのか」が言えないなら、その問題は解けたことになりません。
少し形を変えられると手が止まります。
まずやることは、初見で解けなかった問題に印がついているかの確認です。
印がついていないなら、記録を取らずに進めたということなので、全問をもう一度初見のつもりで解き直してください。
2.概念の理解が飛んでいる
解き方は覚えたが、その分野が何をしている分野なのかが分かっていない状態です。
たとえば場合の数で、どういうときに順列を使い、どういうときに組合せを使うのかを説明できるでしょうか。
ここが曖昧なまま解法を覚えると、問題文の言い換えに対応できません。
概念があやしい分野は、基礎問題精講より前の段階に戻ります。
『数学Ⅰ・A 入門問題精講 改訂版』は池田洋介先生の著書で、360ページ・1,320円(税込)。
講義形式で考え方と公式を説明する本です(旺文社 数学Ⅰ・A 入門問題精講 改訂版)。
分野を丸ごと戻る必要はなく、あやしい単元だけ戻れば十分です。
3.自分の弱点分野を把握していない
「数学が伸びない」と言う生徒の多くは、実際には全分野が均等に弱いわけではありません。
特定の2〜3分野だけが極端に低いことがほとんどです。
弱点は、模試の設問別得点率で分かります。
合計点や偏差値ではなく、分野ごとの得点率を見てください。
そこで低い分野が、基礎問題精講のどの範囲に対応するかを確認し、その範囲だけを解き直します。
模試が手元にないなら、基礎問題精講の各章から3問ずつ抜き出して解いてみてください。
章ごとの正答率が、そのまま弱点の地図になります。
4.アウトプットの量が足りていない
基礎問題精講の問題を説明できるようになったら、次は「初めて見る問題で、その型を選べるか」の練習に移ります。
ここが抜けていると、知っている型が本番で出てきません。
同じ本を何周しても、この力はつきません。
問題の順番と見た目を覚えてしまうからです。
別の問題集で、章を伏せた状態で解く経験が要ります。
「終わった」と言える基準
次の3つが揃ったら、次の1冊に進んでかまいません。
- 154テーマすべてを、初見のつもりで解いて正解できる
- 各テーマで「なぜその方針を選んだか」を口で説明できる
- 章末の演習問題も、解答を見ずに解ける
3つ目を飛ばしている生徒が多くいます。
演習問題は、基礎問で覚えた型を使う練習の部分です。
ここを解かずに次に進むと、型を覚えただけで使えない状態になります。
原因別に、どこへ戻るか
| 症状 | 原因 | 戻り先 |
|---|---|---|
| 解けない問題が残っている | 1周目の記録がない | 基礎問題精講を初見のつもりで全問解き直す |
| 解けるが説明できない | 解法の暗記になっている | その問題の精講とポイントを読み、口で説明する |
| 特定の分野だけ崩れる | 概念の理解が飛んでいる | 入門レベルの講義本でその単元だけ戻る |
| 単元を言われれば解けるが模試で出ない | アウトプット不足 | 章を伏せた別の問題集で演習する |
| 時間内に終わらない | 処理速度の問題 | 時間を計って解く。解法を選ぶまでの時間を短くする |
戻ることは後退ではありません。
土台が抜けた状態で先に進んでも、上に積んだものが崩れるだけです。
共通テストの数学で必要になること
戻り先を決めるときは、志望校で数学がどう出るかも確認してください。
共通テストの数学は次の形です。
| 出題科目 | 試験時間・配点 | 出題範囲の扱い |
|---|---|---|
| 『数学Ⅰ,数学A』 | 70分・100点 | 数学Aは図形の性質、場合の数と確率の2項目に対応した出題で、すべて解答する |
| 『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | 70分・100点 | 数列、統計的な推測、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面の4項目のうち3項目を選択解答する |
出典:大学入試センター 令和9年度大学入学共通テスト(出題教科・科目の出題方法等)
70分で100点分を解き切る試験です。
方針を思いつくまでに時間がかかると、最後の大問まで届きません。
基礎問題精講の段階で「見た瞬間に方針が浮かぶ」状態を作っておくことが、そのまま時間対策になります。
選択項目があることも押さえておいてください。
数学B・Cは4項目のうち3項目を選びます。
どの3つで受けるかを高3の夏までに決めておくと、演習の対象が絞れます。
基礎問題精講の次にやること
基準の3つを満たしたら、次の段階に進みます。
進む先は志望校で決まります。
- 共通テスト中心で受ける:共通テスト形式の演習に移り、時間内に解き切る練習をする
- 国公立の二次試験や難関私大がある:記述式の標準問題集に進み、答案を書く練習をする
- まだ志望校が決まっていない:標準レベルの問題集を1冊進めながら、志望校を決める
どの道に進むにしても、基礎問題精講は捨てずに手元に置いてください。
次の問題集で解けなかったとき、対応する型が基礎問のどこにあるかを探して戻る使い方をします。
よくある質問
基礎問題精講は何周すればいいですか
回数ではなく状態で判断してください。
初見で解けなかった問題がゼロになり、全問の方針を口で説明できるまでです。
人によって2周で足りることも、4周かかることもあります。
周回数を目標にすると、解けない問題を残したまま次の周に入りがちです。
基礎問題精講だけで受験は足りますか
志望校によります。
共通テスト中心で必要な得点率が高くない場合は、基礎問題精講の完成度を上げて共通テスト形式の演習に進む形で届くことがあります。
国公立の二次試験や難関私大で数学を使う場合は、記述式の標準問題集が別に必要です。
基礎問題精講が難しいと感じたらどうすればいいですか
入門レベルの講義本に戻ってください。
全範囲を戻る必要はなく、手が止まる単元だけで十分です。
解説を読んでも分からない状態が続くなら、その単元の概念の理解が抜けています。
解法を覚えるより先に、その分野が何をしているのかを言葉にしてください。
まとめ
- 伸びない最大の原因は「終わった」の基準がずれていること。初見で解けて方針を説明できるまでが1周
- 原因は4つ。完成度、概念の理解、弱点の把握、アウトプット量のどれかに当てはまる
- 弱点は模試の設問別得点率で特定する。合計点では分からない
- 章末の演習問題を飛ばさない。型を使う練習の部分になっている
武田塾大曽根校の無料受験相談では、基礎問題精講から数問を実際に解いてもらい、どの原因で止まっているのかをその場で見極めて、戻る先と次の1冊を一緒に決めます。
大学受験の勉強法でお悩みなら、武田塾大曽根校の無料受験相談へ
入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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