「今使っている参考書は、自分に合っているのでしょうか」。
武田塾大曽根校の受験相談で、数学についていちばん多く受ける質問です。
数学は参考書の冊数が科目のなかでも特に多く、書店で難易度を見分けるのが難しい科目です。
結論を先に書きます。
数学の参考書は5段階に分かれていて、段階を飛ばすと必ず下の段階に戻ることになります。
1つ上の本を開いて「解説が何を言っているか分からない」と感じたら、それは実力の問題ではなく、段階を1つ飛ばしたという合図です。
この記事では、5段階それぞれの役割と、次のレベルへ進んでよい判断基準、学校で配られる問題集の位置づけを整理します。
書いているのは、大曽根校で数学を担当している校舎長です。
数学の参考書は5段階に分かれる
段階と役割を先にまとめます。
冊数ではなく、いま自分がどの段階にいるかを確認してください。
| 段階 | 役割 | 代表的な参考書 | 対応する到達点 |
|---|---|---|---|
| ①導入 | 学校の授業を理解する土台を作る | 『数学 入門問題精講』『やさしい高校数学』『初めから始める数学』 | 教科書の例題が読める |
| ②受験の基礎 | 入試問題の基礎レベルに対応する | 『数学 基礎問題精講』『青チャート』(コンパス1〜3)『Focus Gold』 | 共通テストの標準問題が解ける |
| ③入試の典型 | よく出る解法をひととおり身につける | 『文系の数学 重要事項完全習得編』『1対1対応の演習』『標準問題精講』 | 国公立の標準的な個別学力検査で得点できる |
| ④思考力 | 見たことのない問題を自力で崩す | 『文系数学の良問プラチカ』『理系数学の良問プラチカ 数学Ⅲ』『数学 上級問題精講』『やさしい理系数学』 | 難関大の個別学力検査に対応する |
| ⑤最上位 | 最難関の答案を仕上げる | 『入試数学の掌握』シリーズ | 最難関大の合格答案を書く |
①はやっただけで模試の点が上がる段階ではありません。
これから使う②の参考書を進めやすくするための土台です。
数学が苦手な人や未習の単元がある人は、ここから入ると結果的に速く進みます。
⑤は最難関大の受験生向けで、必要な人はごく限られます。
志望校の過去問で④の段階まで対応できているなら、⑤には進まず過去問演習に時間を使うほうが得点は伸びます。
共通テストの出題範囲を先に確認する
②の段階をどこまで進めるかは、共通テストの範囲で決まります。
令和9年度の出題は次のとおりです。
| 科目 | 試験時間・配点 | 出題範囲の要点 |
|---|---|---|
| 数学①『数学Ⅰ,数学A』 | 70分・100点 | 「数学A」は図形の性質、場合の数と確率の2項目に対応した出題で、全てを解答する |
| 数学②『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | 70分・100点 | 数列(数学B)、統計的な推測(数学B)、ベクトル(数学C)、平面上の曲線と複素数平面(数学C)の4項目のうち3項目を選択解答する |
出典:大学入試センター 令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項
数学②で4項目のうち3項目を選択解答する形式は、どの3項目で受けるかを事前に決めておく必要があります。
決めていないと、当日に問題を見比べる時間で数分を失います。
②の参考書を進める段階で、選択する項目を決めておいてください。
同じレベルでも役割は2つに分かれる
見落とされやすい点があります。
③の段階の参考書は、同じレベルのなかでも役割が2つに分かれています。
- インプット型:解法を1問ずつ示し、覚えて使えるようにする(『1対1対応の演習』など)
- アウトプット型:入試の形式で出題し、覚えた解法を引き出す練習をする(『国公立標準問題集CanPass数学』『数学重要問題集』など)
インプット型だけを何周しても、初見の問題で解法を思い出す練習にはなりません。
逆にアウトプット型から始めると、解法の在庫がないまま解説を読むことになります。
③の段階では、この2つを順番に使ってください。
④の段階も役割が違います。
③が「解法を覚える」段階であるのに対し、④は「覚えた解法をどう組み合わせるかを考える」段階です。
同じ難易度に見えても目的が違うので、③を飛ばして④に入ると、考える材料そのものがない状態になります。
次のレベルへ進む判断基準
段階を上げるかどうかは、次の3点で判断します。
- 問題を見て、5分以内に解法の方針が立つか
- 別冊解答を見ずに、最後まで自分の手で書き切れるか
- 単元名を告げられずに出題されても、どの解法を使うか選べるか
3つとも満たせば次の段階に進みます。
1つでも欠けていれば、同じ参考書の解けなかった問題だけをもう一周します。
特に3つ目は重要です。
単元ごとにまとまった問題集では、単元名が解法のヒントになっています。
入試ではそのヒントがありません。
大曽根校では、週ごとの確認テストで単元をまたいだ出題をしています。
「その週にやった単元だから解けた」状態と、「初見でも解ける」状態を区別するためです。
学校で配られる問題集の位置づけ
学校の副教材として『4STEP数学』『サクシード数学』が配られることがあります。
これらは②の段階に相当し、教科書の内容を演習量で定着させる教材です。
解説が簡潔なので、独力で進めるときは講義系や解説の詳しい参考書と併用してください。
進学校では、高3で③の段階の問題集が配られることもあります。
学校の教材と自分の参考書が二重になったときは、どちらを主にするかを決めてください。
判断の基準は、自分の現在地です。
②が固まっていなければ、③の教材が配られても主軸は②に置きます。
学校の課題は最低限にとどめ、②を終わらせるほうが結果的に速く進みます。
この判断は生徒が1人で決めにくい部分です。
大曽根校では、学校の課題量と受験勉強の残り時間を合わせて、週単位でどちらを優先するかを決めています。
よくある質問
数学の参考書はどのレベルから始めればよいですか
現在使っている参考書の解説を読んで理解できるかで判断します。
解説が理解できない場合は1つ下の段階から始めてください。
学校の授業についていけていない単元がある場合は、①の導入から入るほうが結果的に速く進みます。
始める位置を高く設定するほど、遠回りになります。
『青チャート』と『基礎問題精講』のどちらを使えばよいですか
どちらも②の段階の参考書で、違いは問題数です。
網羅性を取るなら前者、まず1周を終えることを優先するなら後者が向いています。
高3で時間が限られている場合は、問題数の少ない教材で1周を終え、抜けた分野を後から補うほうが計画が立てやすくなります。
参考書を1周したら次のレベルに進んでよいですか
周回数ではなく、初見の問題で解法の方針が立つかで判断します。
1周して解けるようになる人はほとんどいません。
解けなかった問題に印を付け、印の付いた問題だけを繰り返し、印が消えた時点で次の段階に進みます。
まとめ
- 数学の参考書は導入・受験の基礎・入試の典型・思考力・最上位の5段階に分かれる
- ③の段階はインプット型とアウトプット型で役割が違う。順番に使う
- 次の段階へ進む基準は「5分で方針が立つ」「解答を見ずに書き切れる」「単元名なしで解法を選べる」
- 学校教材と自分の参考書が二重になったら、現在地の低いほうを主軸にする
武田塾大曽根校の無料受験相談では、いま使っている参考書と模試の結果から現在地を判断し、次に使う1冊と、そこから進む条件を一緒に決めます。
学校の課題との両立に困っている場合もご相談いただけます。
大学受験の勉強法でお悩みなら、武田塾大曽根校の無料受験相談へ
入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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