数学は範囲が広く、「どの分野から手をつければいいのか」で止まってしまう科目です。
旭丘高校・瑞陵高校・千種高校のように授業の進度が速い学校でも、この悩みは学年を問わず出ます。
この記事では、難関大の数学を「配点」と「試験時間」から逆算して、やる順番を決める方法をまとめます。
例として名古屋大学の学部別配点を公式の選抜要項から引き、どこに時間を寄せると合計点が動くのかを示します。
武田塾大曽根校の校舎長が、名古屋大学志望の生徒に実際に伝えている順番です。
読み終えたときに、「今週やる分野」を自分で決められる状態になることを目指します。
結論:難関大の数学は配点の重い順に手をつける
難関大の数学対策の結論は、志望学部の配点表を見て、数学の比重が重いなら分野を絞って深く、軽いなら失点しない範囲で広くという判断を先にすることです。
同じ「名古屋大学志望」でも、数学の比重は学部によって3倍以上変わります。
参考書の1ページ目から順に解くのは、この判断を飛ばしている状態です。
名古屋大学の数学は学部でここまで配点が違う
令和9年度の一般選抜前期日程で、数学に割り当てられている点数です。
数字は名古屋大学 令和9年度入学者選抜要項の記載です。
| 学部・学科 | 共通テストの数学 | 個別学力検査の数学 | 数学の合計 | 総配点 |
|---|---|---|---|---|
| 医学部 医学科 | 200 | 600 | 800 | 2,750 |
| 理学部 | 100 | 600 | 700 | 2,400 |
| 工学部(全7学科) | 100 | 500 | 600 | 1,935 |
| 情報学部 コンピュータ科学科 | 200 | 500 | 700 | 2,250 |
| 経済学部 | 200 | 500 | 700 | 2,450 |
| 法学部 | 200 | 200 | 400 | 1,550 |
| 文学部 | 200 | 200 | 400 | 2,150 |
総配点に占める数学の割合は、工学部で約31%、医学部医学科で約29%、法学部で約26%、文学部で約19%です。
工学部志望なら数学は最優先の投資先ですが、文学部志望が数学に同じ時間をかけるのは配分として重すぎます。
出題範囲と試験時間から、対策の深さを決める
配点の次に見るのは、出題範囲と試験時間です。
選抜要項には、個別学力検査の数学について次の指定があります。
- 文学部・教育学部・法学部・経済学部・情報学部人間社会情報学科:数学Ⅰ・A・Ⅱは全範囲。数学Bは「数列」、数学Cは「ベクトル」から出題
- 理学部・医学部・工学部・農学部・情報学部(自然情報学科、コンピュータ科学科):数学Ⅰ・A・Ⅱ・Ⅲが全範囲。数学Bは「数列」、数学Cは「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」から出題
- 数学の試験では、試験室で公式集が配付されます
試験時間も学部で違います(令和8年度一般選抜学生募集要項)。
| 学部 | 個別学力検査の数学 | 時間 |
|---|---|---|
| 理学部・医学部・工学部・農学部 | 10:00〜12:30 | 150分 |
| 法学部・文学部・経済学部・教育学部 | 10:00〜11:30 | 90分 |
150分と90分では、1問にかけられる時間が倍近く違います。
理系学部を受けるなら「1問を粘って完答する力」、90分の学部なら「取れる問題を落とさず速く処理する力」が問われます。
同じ「数学対策」でも、練習の仕方を変える必要があります。
公式集が配付されるという事実も、対策の方向を教えてくれます。
公式の暗記量で差がつく試験ではありません。
差がつくのは、どの公式をどの場面で使うかという判断です。
分野の優先順位を決める4ステップ
大曽根校で生徒と一緒にやっている手順です。
- 志望学部の配点表と試験時間を選抜要項で確認する。数学の比重が総配点の25%を超えるなら、数学は最優先科目です
- 過去問を5年分開き、大問ごとに分野を書き出す。解かなくてかまいません。分野名を並べるだけです
- 5年で3回以上出ている分野を「頻出」として印をつける。理系なら微分積分・数列と極限・複素数平面・確率、文系なら数列・ベクトル・確率・図形と方程式に偏ることが多い分野です
- 頻出の分野から、手持ちの問題集の該当ページだけを繰り返す
3のところで「解けるかどうか」を確認しようとして止まる生徒が多いのですが、ここは分析の作業です。
解く時間ではありません。
分析に使うのは1時間で十分です。
1分野を完璧にする基準は「解法の筋道を言えるか」
難関大向けの問題集は、1周で身につく作りになっていません。
繰り返す前提の教材です。
では何回繰り返せば終わりかというと、回数では決まりません。
大曽根校では、次の状態を「完璧」の基準にしています。
- 問題を見て、解答の方針を口に出して説明できる
- なぜその解法を選ぶのか、他の解法を捨てた理由が言える
- 計算を始める前に、答えの形がおおよそ予想できる
紙に書いて答えが合っていても、方針を説明できないなら、それは覚えているだけです。
類題で崩れます。
逆に方針を説明できるなら、その問題はもう解かなくてかまいません。
時間を次の分野に回してください。
武田塾が「1冊を完璧に」と言うのは、この状態を指します。
難関大を目指すなら、そこから一歩進めて「1分野を完璧に」まで細かくすると、進んでいる実感が持てます。
合格最低点を見ると、満点は要らないと分かる
令和8年度の名古屋大学前期日程の結果です(合格最高・最低点及び合格者の平均点一覧)。
| 学部・学科 | 満点 | 合格最低点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 医学部 医学科 | 2,750 | 2,058 | 74.8% |
| 理学部 | 2,400 | 1,524 | 63.5% |
| 工学部 機械・航空宇宙工学科 | 1,935 | 1,239 | 64.0% |
| 工学部 エネルギー理工学科 | 1,935 | 1,200 | 62.0% |
| 法学部 | 1,550 | 1,068 | 68.9% |
| 文学部 | 2,150 | 1,451 | 67.5% |
工学部は6割台で合格しています。
数学で満点を取る必要はありません。
頻出分野を確実に得点し、初見の難問は部分点で止める。
この配分ができれば届く水準です。
なお工学部には高得点者選抜があり、各学科の前期日程募集人員の10%を限度に、共通テストの成績にかかわらず個別学力検査の成績だけで選抜する枠があります。
第1志望学科に限られますが、数学と理科を武器にしたい人にとっては知っておく価値のある制度です。
学年別の進め方
| 学年 | 数学でやること |
|---|---|
| 高1 | 数学Ⅰ・Aの基礎問題集を1冊。定期テストの範囲を参考書で先に押さえてから授業に臨む |
| 高2 | 数学Ⅱ・B・Cまで基礎を終える。理系は数学Ⅲに入る。志望学部の配点を一度確認する |
| 高3の春 | 志望校レベルの問題集へ。過去問5年分の分野分析をここで済ませる |
| 高3の夏 | 頻出分野を集中的に。1問を150分の感覚で粘る練習を始める |
| 高3の秋以降 | 過去問演習と分野別の穴埋めを並行。共通テスト形式の速さも別に鍛える |
高2の段階で配点を確認しておくと、高3で科目に迷う時間が消えます。
これが学年を先取りする一番安い方法です。
よくある質問
難関大の数学は何冊の問題集をやればいいですか
冊数では決まりません。
基礎問題集を1冊、志望校レベルの問題集を1冊、そのうえで過去問という3段構えが標準です。
大切なのは冊数ではなく、それぞれで解法の筋道を説明できる状態まで仕上げているかどうかです。
数学が苦手な文系でも名古屋大学は狙えますか
法学部は個別学力検査の数学が200点、総配点1,550点のうち数学は共通テストと合わせて400点です。
数学の比重は工学部より小さく、外国語と小論文でも同じだけの点が動きます。
ただし試験時間が90分と短いため、取れる問題を速く処理する練習は必要です。
過去問はいつから解き始めればいいですか
分野を確認するための「眺める」作業は高3の春で構いません。
時間を計って解く演習は、志望校レベルの問題集を一通り終えてからです。
順番を逆にすると、解けない理由が分野なのか演習量なのか判別できなくなります。
まとめ
- 難関大の数学は、志望学部の配点と試験時間を先に確認してから、やる分野を決める
- 名古屋大学では数学の比重が学部で大きく異なる。工学部は総配点の約31%、文学部は約19%
- 過去問5年分の分野分析は1時間で終わる。頻出分野から問題集の該当ページを繰り返す
- 完璧の基準は周回数ではなく、解法の方針を口で説明できるかどうか
- 合格最低点は6〜7割台。満点ではなく、落とさない配分を作る
武田塾大曽根校の無料受験相談では、志望学部の配点表を一緒に開いて、あなたが今週から取り組む数学の分野と使う参考書をその場で決めます。
志望校がまだ固まっていない段階でも、数学の比重が違う学部を並べて比べるところからご相談いただけます。
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入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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