模試の偏差値は、あなたの学力そのものを表す数字ではありません。
「その模試を受けた人たちの中での位置」を表す数字です。
だから、同じ実力でも受ける模試が変われば偏差値は変わります。
難関大志望者ばかりが受ける模試では、同じ点数でも偏差値は低く出ます。
「学校で受けた模試では偏差値65だったのに、別の模試では55だった。どちらが本当の自分ですか」。
武田塾大曽根校の受験相談で、高1・高2の生徒からよく出る質問です。
この記事では、偏差値がどう計算されているかを総務省統計局の説明で確認したうえで、高1・高2がどのタイプの模試を受ければよいか、模試の前後に何をすればよいかを整理します。
書いているのは、大曽根校で名古屋市内の高校生を担当している校舎長です。
偏差値は「平均50・標準偏差10」に変換した数字
まず定義です。
総務省統計局の解説では、偏差値は次のように説明されています。
テストの成績の分布が正規分布であると仮定して、平均が50、標準偏差が10になるように変換して求める値です(総務省統計局 なるほど統計学園 データの散らばりを見る)。
計算式は次のとおりです。
偏差値 =(自分の得点 − 平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50
同じページに載っている例で確認します。
| 科目 | 平均点 | 標準偏差 | 自分の得点 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 数学 | 42点 | 8点 | 58点 | 70 |
| 国語 | 47点 | 12点 | 65点 | 65 |
点数だけ見ると国語の65点のほうが良さそうに見えます。
しかし偏差値で見ると数学のほうが上です。
国語は平均点が高く、点数のばらつきも大きいので、65点は数学の58点ほど目立たない、ということです。
ここから2つのことが分かります。
- 偏差値は、平均点と標準偏差、つまり「一緒に受けた人たちの結果」で決まる
- したがって、受験者層が違う模試の偏差値は、そのまま比べられない
模試によって偏差値が変わる理由
高1・高2が受ける模試は、受験者層でおおまかに3つに分けられます。
| タイプ | 主な受験者 | 問題の傾向 | 偏差値の出方 |
|---|---|---|---|
| 学校で全員が受ける模試 | 学年のほぼ全員 | 基礎から標準。教科書の範囲に忠実 | 高めに出やすい |
| 難関大志望者向けの記述模試 | 国公立・難関私大を志望する人 | 記述量が多く、標準から応用 | 低めに出やすい |
| 最難関大に特化した模試 | 最難関の国公立・医学部を志望する人 | 応用中心。設問の難度が高い | さらに低く出る |
同じ生徒が同じ月に3つとも受けたら、偏差値は上から順に高く出ます。
学力が変わったわけではなく、比べている相手が違うだけです。
だからこそ、成績を追いかけるときのルールは1つです。
同じ模試の偏差値だけを、回をまたいで比べてください。
前回と今回で模試の種類が違うなら、その2つの数字を並べても意味がありません。
高1・高2はどのタイプを受けるべきか
大曽根校では、志望校のレベルで次のように整理してお伝えしています。
- 学校で全員が受ける模試は、志望校にかかわらず受ける。基礎がどれだけ固まっているかがいちばん見やすいのがこのタイプです。範囲が教科書に沿っているので、抜けている単元がそのまま点数に出ます
- 国公立や難関私大を志望するなら、記述模試を年に1〜2回加える。記述の答案を書く経験を高1・高2のうちにしておくと、高3で慌てません
- 最難関を志望するなら、特化型の模試を高2の後半に1回だけ受ける。点数は低く出ますが、目的は判定ではなく「上位層との距離を知ること」です
高1・高2で模試を受けすぎるのは、あまりおすすめしません。
模試1回には、当日の半日と、復習の数時間がかかります。
参考書を進める時間を模試で削ってしまうと、本末転倒です。
判定より先に見るべきもの
高1・高2の模試で、A判定やE判定を気にする必要はほとんどありません。
まだ範囲が終わっていない科目があり、母集団も本番とは違うからです。
見るべきは次の3つです。
- 各科目の「どの単元で落としたか」。単元名まで書き出す
- 落とした原因が「まだ習っていない」「習ったが忘れた」「知っていたがミスした」のどれか
- 平均点と自分の点数の差。偏差値ではなく素点の差で見る
このうち②が最も大事です。
「習ったが忘れた」なら参考書に戻ればよく、「知っていたがミスした」なら解き方の手順の問題です。
原因が違えば打ち手も違います。
判定の記号だけ見て一喜一憂しても、次の行動は決まりません。
模試の前後にやること
模試を「受けるだけ」で終わらせないための手順です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2週間から1か月前 | 出題範囲を確認し、その範囲の参考書を1周する。全範囲を見直そうとしない |
| 1週間前 | 苦手な単元を1つだけ決めて集中的にやる。当日の時間配分を決めておく |
| 当日 | 解けなかった問題に印をつけて持ち帰る。解答用紙の記憶が新しいうちにメモする |
| 当日から3日以内 | 解き直す。まず自力で、それから解説を読む |
| 成績表が返ってきたら | 単元別の正答率を見て、落とした単元を参考書のどのページに戻るかまで決める |
復習は成績表が返ってくる前に始めるのがコツです。
返却まで1か月近くかかることがあり、その頃には問題の記憶が消えています。
高1・高2の今から逆算しておく
大学入学共通テストの実施期日は、大学入試センターが早い段階で公表しています。
令和9年度は本試験が令和9年1月16日・17日、追試験・再試験が1月23日・24日です(大学入試センター 令和9年度大学入学共通テスト)。
高2の今が9月なら、共通テストまでおよそ1年4か月です。
この期間で英語と数学の基礎を固め、そのうえで応用に進みます。
模試はその途中経過を測る道具であって、目的ではありません。
模試の偏差値を上げるための勉強ではなく、志望校に必要な参考書を1冊ずつ終える勉強をしていれば、偏差値は後からついてきます。
よくある質問
模試によって偏差値が違うのはなぜですか
偏差値は「一緒に受けた人たちの中での位置」を表す数字だからです。
(得点−平均点)÷標準偏差×10+50という式で計算するため、平均点と点数のばらつきが変われば偏差値も変わります。
難関大志望者が多く受ける模試ほど、同じ実力でも偏差値は低く出ます。
高1・高2は模試を何回くらい受ければよいですか
学校で全員が受ける模試に加えて、志望校のレベルに応じて年に1〜2回で十分です。
模試1回には当日の半日と復習の時間がかかります。
回数を増やすより、1回の復習を最後までやり切るほうが成績は動きます。
高1・高2の模試でE判定でも大丈夫ですか
高1・高2の判定は、まだ習っていない範囲が含まれていることが多く、判断材料としては弱いです。
判定より、どの単元で何点落としたか、その原因が「未習」「忘れた」「ミス」のどれかを見てください。
原因が分かれば、次にやる参考書が決まります。
まとめ
- 偏差値は平均50・標準偏差10になるように変換した数字で、受験者層が変われば同じ実力でも数値は変わります
- 成績を追うときは、同じ模試の偏差値を回をまたいで比べてください。違う模試の偏差値を並べても意味がありません
- 高1・高2は、学校で全員が受ける模試を軸に、志望校のレベルに応じて記述模試を年1〜2回加えれば十分です
- 判定ではなく、落とした単元と原因(未習・忘れた・ミス)を見て、戻る参考書のページまで決めてください
武田塾大曽根校の無料受験相談では、返ってきた模試の成績表を一緒に見て、落とした単元をどの参考書のどこまで戻ってやり直すか、次の模試までに何を終えるかを具体的に決めます。
成績表を持ってきていただければ、その場で復習の順番を作れます。
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入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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