「二次試験に数学があるけれど、最後まで解ける気がしない」。
武田塾大曽根校の受験相談で、文系の受験生からいちばん多く出る相談です。
結論から言うと、記述式の数学は答えの数値が合っているかどうかだけで決まる試験ではありません。
答案に書いた筋道そのものが採点の対象です。
だからこそ、完答できない問題でも点を拾う書き方があります。
この記事では、記述模試や国公立大学の二次試験で数学が必要な高校生に向けて、部分点がつく答案の書き方と、試験開始からの時間の使い方をまとめます。
大曽根校で数学の指導を担当している校舎長と講師が、生徒の答案を見てきた中で繰り返し伝えている内容です。
読み終えると、次の記述模試で「何を書けばよいか」が決まった状態で会場に入れます。
記述式の数学は答えだけを見る試験ではない
マークシートの試験と記述式の試験では、採点されるものが違います。
マークシートは最後の数値が合っているかどうかだけですが、記述式は答案に書かれた過程を読んで採点します。
その裏づけになるのが、大学が公開している解答例です。
名古屋大学は令和6年度から令和8年度までの一般選抜について、試験問題とあわせて正解・解答例を公開しています(名古屋大学 入試情報を知りたい)。
数学については、答えの数値だけでなく、そこに至る筋道が「解答例」として示され、あわせて出題意図も公表されています。
つまり大学側は「この筋道で考えてほしい」という中身をあらかじめ示しているということです。
答案は、その筋道をどこまで再現できたかを見せる場所になります。
最後の答えにたどり着かなくても、途中まで同じ筋道をたどれていれば、そこは書いた分だけ読まれます。
文系学部でも数学の配点は小さくない
「文系だから数学は捨ててもいい」と考えている人がいますが、配点を見ると難しい判断です。
名古屋大学の令和8年度一般選抜(前期日程)の配点を、文系4学部について並べます。
| 学部 | 個別学力検査の科目と配点 | 数学の割合 |
|---|---|---|
| 文学部 | 国語400・地歴200・数学200・外国語400(計1,200) | 6分の1 |
| 教育学部 | 国語600・数学600・外国語600(計1,800) | 3分の1 |
| 法学部 | 数学200・外国語200・小論文200(計600) | 3分の1 |
| 経済学部 | 国語500・数学500・外国語500(計1,500) | 3分の1 |
法学部は個別学力検査に国語がなく、数学・外国語・小論文の3つで判定します。
選抜要項には、数学によって「法律学を学ぶ上で重要となる論理的思考を発展させるために必要な学力」を評価すると書かれています。
数学が得意でなくても向き合わざるをえない科目、という位置づけです。
なお、文系学部の出題範囲は数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱが全範囲、数学Bは「数列」、数学Cは「ベクトル」に限られています。
理系より範囲が狭いので、対策の的は絞れます。
数学の試験では試験室で公式集が配付されることも、同じ要項に書かれています。
公式をうろ覚えのまま本番に臨む必要はありません。
試験開始から5分でやること
数学が苦手な人ほど、開始と同時に第1問から解き始めます。
これが失点の入口になります。
解ける問題が後ろにあっても、たどり着く前に時間が終わるからです。
最初の5分は、解かずに全問を読んで仕分けます。
| 記号 | 状態 | 本番での扱い |
|---|---|---|
| A | 方針が見えている | 最初に解く。ここは落とさない |
| B | 途中までは書けそう | Aの後に着手。書ける範囲を全部書く |
| C | 手がかりがない | 最後に回す。設問(1)だけ読み直す |
大問が4問なら、仕分けに使うのは3分から5分で足ります。
この数分を使うだけで、解ける問題を時間切れで落とす事故が消えます。
仕分けのコツは、大問単位ではなく設問単位で見ることです。
大問全体はCでも、設問(1)は計算や定義の確認だけということがよくあります。
大問を丸ごと捨てると、その(1)も一緒に捨てることになります。
部分点がつく答案に共通する5つの書き方
大曽根校で生徒の答案を見ていて、点が伸びる人が共通してやっていることを5つに整理しました。
- 1行目に方針を書く。「余弦定理を使って辺の長さを出す」「数学的帰納法で示す」と最初に宣言します。方針が合っていれば、その後の計算でつまずいても読み手には考え方が伝わります
- 使う条件を明示する。「x>0より」「nは自然数だから」と、問題文のどの条件を使ったかを書きます。条件の使い忘れは減点の代表格です
- 文字を置いたら定義を書く。「点Pの座標を(t, t²)とおく」と書いてから使います。定義のない文字が出てくると、その先は読んでもらえません
- 図・グラフを描く。図形と関数の問題では、図そのものが考えた証拠になります。清書はいらないので、条件を書き込んだ図を残します
- 詰まったら定義に戻って書く。解けない問題でも、定義や公式を当てはめた式は書けます。白紙とは扱いが変わります
逆に、点が伸びない答案は「計算式だけがずらりと並んでいて、何をしようとしているのかが書かれていない」ものです。
書いている本人には自明でも、答案だけを見る人には伝わりません。
やらないほうがよい3つのこと
- 見直しの時間を取らずに全問に手を出す。数学が苦手なうちは、解ける問題の計算ミスが最大の失点源です。取れる問題の検算に5分使うほうが、C問題に5分使うより点が増えます
- 途中式を消しゴムで消す。方針を変えたときに前の記述を全部消す人がいますが、消した部分に点がついていた可能性があります。斜線を引いて残し、新しい方針を下に書きます
- 答えだけを書いて終える。記述式で答えの数値だけを書くと、過程が読めないので評価しようがありません。1行でも導出を残します
大曽根校で伝えている記述対策の順番
記述の書き方は、解ける問題が増えてからでないと身につきません。
順番があります。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 基礎の問題集で解法を1周する | 答えを見ずに方針が浮かぶ状態にする |
| 2 | 同じ問題を、解答例を見ずに答案の形で書く | 方針の1行目から書く練習 |
| 3 | 自分の答案と解答例を見比べる | 抜けた条件・定義に印をつける |
| 4 | 志望校の過去問を時間を計って解く | 仕分けの5分を含めて通す |
| 5 | 記述模試で本番の形を確認する | 返却された答案の減点箇所を分類する |
多くの人が段階1から一気に段階4へ飛びます。
段階2と3を挟まないと、書き方は上達しません。
解ける問題を「解答例と同じ形で書く」練習は、家で1日1問からでも始められます。
返却された記述模試の答案は、点数だけ見て片づけないでください。
どこで減点されたかを「条件不足」「定義なし」「計算ミス」「方針違い」の4つに分類すると、次に直す1点が決まります。
よくある質問
数学の記述答案で部分点はどのくらいもらえますか
大学は採点基準を公表していないため、何点という形ではお答えできません。
ただし名古屋大学のように解答例と出題意図を公開している大学があり、そこで示されているのは答えの数値ではなく考え方の筋道です。
筋道を再現した部分が読まれるという前提で答案を書くのが現実的な戦略になります。
文系ですが数学は捨ててもよいですか
志望校の配点を見てから決めてください。
名古屋大学の場合、法学部は個別学力検査600点のうち数学が200点、経済学部は1,500点のうち500点です。
この比率で捨てるのは現実的ではありません。
捨てるかどうかではなく、範囲が狭いこと(文系は数学Ⅰ・A・Ⅱ全範囲と数学Bの数列、数学Cのベクトル)を利用して、どこまで固めるかを決める話になります。
記述模試の点数が伸びないときは何から直せばよいですか
まず返却答案を見て、失点が「解けなかった」ためか「解けたのに書けていなかった」ためかを分けてください。
後者が多いなら、答案の書き方を直すだけで点が動きます。
前者が多いなら、模試の対策より先に基礎の問題集に戻る段階です。
まとめ
- 記述式の数学は過程が採点される。名古屋大学は試験問題とあわせて解答例と出題意図を公開している
- 文系でも数学の配点は大きい。名古屋大学の法学部・経済学部・教育学部は個別学力検査の3分の1が数学
- 試験開始の5分は解かずに設問をA・B・Cへ仕分ける。大問単位ではなく設問単位で見る
- 部分点がつく答案は、方針・使った条件・文字の定義・図が書いてある
- 答案の書き方は、基礎の問題集を1周してから練習する。返却された模試は減点理由を4つに分類する
武田塾大曽根校の無料受験相談では、志望校の配点表を一緒に確認したうえで、数学に配る時間の上限と、今の実力から始める参考書の順番を決めます。
記述模試の答案をお持ちいただければ、その場で減点箇所の分類までお見せします。
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入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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