先取り学習とは、学校の進度を待たずに、参考書で高校3年間の学習内容を先に終わらせることです。
難しい問題を早く解くことではありません。
基礎を早く終えて、演習に使える時間を作ることが目的です。
「高1のうちから受験勉強を始めたいけれど、何をすればいいか分かりません」「学校の進度で本当に間に合うのでしょうか」。
武田塾大曽根校の無料受験相談で、名古屋市内の高校に通う高1・高2の生徒とその保護者からよく出る質問です。
この記事では、先取り学習を何から始め、どの順番で進めるかを手順の形でまとめます。
書いているのは、大曽根校で高1・高2の生徒を担当している校舎長です。
入試の日程から逆算して、いつまでに何を終えるべきかまで扱います。
学校の進度だけでは間に合わないことがある理由
高校の授業は、3年間かけて教科書の内容を終えるように組まれています。
学校によっては、理系の数学や理科の一部が高3の秋まで続きます。
一方で、大学入学共通テストは高3の1月です。
令和9年度の本試験は令和9年1月16日・17日に実施されます(大学入試センター 令和9年度大学入学共通テスト)。
授業で最後の単元を習い終えた直後に本番が来る形になると、その単元の演習時間がありません。
入試で問われるのは、教科書の内容を知っているかどうかではなく、初見の問題に使えるかどうかです。
知識を入れる時間と、使えるようにする時間の2つが要ります。
学校の授業が前者を埋めるなら、後者の時間は自分で作るしかありません。
先取り学習は、そのための時間を前倒しで確保する手段です。
進度が速い高校に通っている場合も、事情は同じです。
授業が速いこと自体は有利ですが、進度に理解が追いつかないまま次に進むと、結局あとで戻ることになります。
速い授業についていくためにも、参考書で先に一度通しておくことが効きます。
先取りする科目の優先順位
すべての科目を先取りする必要はありません。
順番があります。
| 優先順位 | 科目 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 英語(単語・文法) | 完成までの期間が長く、全学部で使う |
| 2 | 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・C | 積み上げ式で、後の単元が前の単元に依存する |
| 3 | 理科(志望学部で使う科目) | 高3で範囲が終わる高校が多く、演習時間が不足しやすい |
| 4 | 国語(古文単語・文法) | 覚える量が限られ、早めに終えると安定する |
| 5 | 社会・情報Ⅰ | 高3からでも間に合う。先取りの優先度は低い |
英語と数学が先頭に来るのは、この2科目が最も時間のかかる科目だからです。
英単語は覚えて終わりではなく、忘れないよう回し続ける必要があります。
数学は前の単元が分かっていないと次の単元が理解できません。
どちらも、始めるのが遅いほど不利になります。
共通テストの数学は、『数学Ⅰ,数学A』が70分100点、『数学Ⅱ,数学B,数学C』が70分100点で出題されます。
数学Bは数列と統計的な推測、数学Cはベクトルと平面上の曲線と複素数平面の4項目から3項目を選んで解答する形です。
英語はリーディング80分100点とリスニング60分(うち解答時間30分)100点で、出題範囲は英語コミュニケーションⅠ・Ⅱと論理・表現Ⅰです。
範囲の広さを見れば、高3から始めて間に合う量ではないことが分かります。
先取り学習の3ステップ
進め方は3つの手順に分かれます。
- 講義系の参考書を一読する。公式や用語を覚えることを目的にし、理解は半分で先へ進む
- すぐに問題演習に入る。読んだ範囲を、その日のうちに問題で使う
- 解説を見ながら、どんな問題にどの公式を使うのかを覚える。パターンとして頭に入れる
この順番で大事なのは、1のところで止まらないことです。
講義系の参考書は読みやすく書かれているので、読んでいると理解が進んでいる感覚があります。
しかし読むだけでは問題は解けるようになりません。
同じ範囲を何度も読み返すより、半分の理解で問題に進んだほうが早く進みます。
理解が浅いまま進むことに抵抗がある人もいますが、順番の問題です。
問題を解いているうちに、後から理由が分かってくることのほうが多いのが実際です。
先に完全な理解を求めると、1単元で何週間もかかります。
「理解」より先に「使える」を目指す
先取りの段階で、公式が成り立つ理由を突き詰める必要はありません。
大学入試で問われるのは、その公式をどんな場面で使うかの判断です。
大曽根校では、先取りの段階で次の2つが言えれば合格としています。
- この問題文のこの語句を見たら、この公式を使う
- 使ったあと、答えの形はこうなる
この2つが言えれば、演習に進めます。
理由の説明は、演習を重ねて手が動くようになってからでも間に合います。
順番を逆にすると、時間だけが過ぎて解ける問題が増えません。
ただし、間違えた問題でどうしても納得できないところは飛ばさないでください。
先へ進む妨げになります。
学校の先生か塾の講師に聞いて、その場で解決してから進みます。
先取りでやりがちな3つの失敗
大曽根校で相談を受けるなかで、繰り返し出てくる失敗が3つあります。
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 講義系の参考書を読み込みすぎる | 1単元に何週間もかかり、進まない | 一読したらその日のうちに問題に入る |
| 難しい問題集から始める | 手が止まり、続かない | 基礎レベルの問題集から始める |
| 復習をせず先へ進む | 3か月前の範囲が抜ける | 週末に1週間分を再テストする |
3つ目がいちばん多い失敗です。
先取りは進むことが目的になりやすく、後ろを振り返らないまま前だけ進んでしまいます。
範囲が広がった分だけ、忘れる量も増えます。
進度と同じだけ復習の時間を確保してください。
学年別の到達目安
大曽根校で高1・高2の生徒に伝えている目安です。
志望校によって前後します。
| 時期 | 英語 | 数学 |
|---|---|---|
| 高1の終わり | 基礎的な英単語帳を1冊、英文法の基本を一通り | 数学Ⅰ・Aの基礎問題集を1冊 |
| 高2の夏 | 英文法の問題集を1周、英文解釈に入る | 数学Ⅱ・Bの基礎問題集に入る |
| 高2の終わり | 英語長文の演習を始められる状態 | 数学Ⅱ・B・Cの基礎問題集を1冊終える |
| 高3の春 | 志望校レベルの長文演習へ | 志望校レベルの問題集へ |
この表のとおりに進めば、高3の1年間をすべて演習と過去問に使えます。
逆に、高3の春の時点で基礎の参考書が終わっていない場合は、演習の時間が削られます。
先取りの価値は、この差にあります。
よくある質問
先取り学習は高1から始めるべきですか
高1から始められるなら、それがいちばん有利です。
ただし始める時期より、始めた後に続けられるかのほうが結果に効きます。
まず英単語と英文法から始めて、1か月続けられたら数学を足す形で増やしてください。
最初から全科目を並べると続きません。
学校の授業と先取り学習は両立できますか
両立できます。
むしろ、先取りしておくと学校の授業が復習の時間になります。
定期テストの範囲を参考書で先に押さえておけば、テスト前の勉強が「初めて学ぶ」から「確認する」に変わり、かかる時間が短くなります。
名古屋の高校生はどの参考書から始めればよいですか
英語なら英単語帳と、講義形式の英文法の入門書から始めるのが標準です。
数学は教科書レベルの基礎問題集を1冊決めて、それだけを回します。
何冊も買わず、1冊を完璧にすることが先取りでは特に重要です。
大曽根校では志望校と現在の学力から使う参考書を決め、1週間ごとに進度を確認しています。
まとめ
- 先取り学習の目的は、基礎を早く終えて演習の時間を作ることです
- 優先順位は英語と数学が先頭。社会と情報Ⅰは高3からでも間に合います
- 進め方は「講義系を一読」「すぐ問題演習」「パターンで覚える」の3ステップです
- 先取りの段階では、公式の理由より「どんな問題に使うか」を優先します
- 進度と同じだけ復習の時間を取らないと、前の範囲が抜けます
武田塾大曽根校の無料受験相談では、志望校と今の学力から、どの科目をどこまで先取りすべきかを決め、使う参考書と1週間あたりの進度をその場で組み立てます。
学校の課題との配分もあわせてご相談ください。
大学受験の勉強法でお悩みなら、武田塾大曽根校の無料受験相談へ
入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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