受験相談の声

理科の選択科目の選び方|文系と理系別に大曽根校が解説

「理科基礎はどの2つを取ればいいですか」「物理と生物のどちらが得ですか」。
武田塾大曽根校の受験相談で、高1・高2の生徒からいちばん多く出る科目の質問です。

先に結論を書きます。
全員にとって得な「コスパ最強科目」はありません。
共通テストの科目別平均点は年度ごとに入れ替わっており、去年いちばん取りやすかった科目が今年もそうとは限らないからです。
選ぶ基準は、平均点の噂ではなく、志望校の指定科目・学校での開講状況・他教科との兼ね合いの3つです。

この記事では、大曽根校の校舎長が、共通テストの理科の仕組みと公表されている平均点データを示しながら、文系と理系それぞれの決め方を整理します。
読み終えると、自分の状況に当てはめて科目を決められます。

共通テストの理科は「最大2科目」の仕組み

まず制度を押さえます。
共通テストの理科は、次の5つの出題科目から最大2科目を選んで受験します。

出題科目 中身
『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』 4つの出題範囲から2つを選択解答(配点は各50点)
『物理』 1科目として100点
『化学』 1科目として100点
『生物』 1科目として100点
『地学』 1科目として100点

試験時間と配点は次のとおりです。

受験の仕方 試験時間 配点
1科目選択 60分 100点
2科目選択 130分(うち解答時間120分) 200点

出典:文部科学省 令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項

ここで大事なのは、理科基礎の4科目が独立した試験科目ではなく、『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』という1つの科目の中の出題範囲だという点です。
文系で理科基礎2つを選ぶ人は、この1科目(60分・100点)を受けることになります。
受験する科目数は出願時に申し出るため、あとから変更はできません。

平均点は年度ごとに入れ替わります

「地学基礎が得」「生物基礎は損」といった話は、受験生の間で毎年出てきます。
実際のデータを見ると、そう単純ではありません。
大学入試センターが公表している、100点満点に換算した平均点です。

出題範囲(理科基礎) 令和7年度 受験者数/平均点 令和8年度 受験者数/平均点
物理基礎 18,379人/49.56 18,486人/69.36
化学基礎 90,939人/54.00 89,094人/57.16
生物基礎 114,388人/62.78 114,187人/72.92
地学基礎 46,285人/68.98 48,438人/56.34
出題科目(理系向け) 令和7年度 受験者数/平均点 令和8年度 受験者数/平均点
物理 144,761人/58.96 145,203人/45.55
化学 183,154人/45.34 181,584人/56.86
生物 57,985人/52.21 56,314人/55.01
地学 2,365人/41.64 2,701人/44.29

出典:大学入試センター 共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)

この2つの表から読み取れることは3つです。

  1. 地学基礎は令和7年度に4範囲で最も高い平均点でしたが、令和8年度は最も低くなっています。年度で順番が入れ替わります
  2. 物理は令和7年度に化学を上回り、令和8年度には逆転されています。理系の科目も同じです
  3. 生物基礎は受験者数が最も多く、平均点も2年連続で上位です。受験者が多い科目が不利とは限りません

つまり、平均点の高低を根拠に科目を決めるのは、前年の結果に賭けているのと同じです。
判断材料は別のところに置いてください。

文系の理科基礎はこう選びます

文系が理科基礎2つを選ぶときの優先順位は、大曽根校では次のように伝えています。

1.志望校が科目を指定していないか確認する

まず募集要項です。
大学によっては、理科基礎ではなく専門科目(『物理』『化学』など)を課す学部があります。
志望校が固まっていない段階でも、候補にしている大学の要項を一度見ておくと、あとで科目を組み直す手間がなくなります。

2.学校で開講されている科目を軸にする

授業がある科目は、定期テストのたびに強制的に復習の機会が入ります。
独学の科目は、その機会を自分で作らなければなりません。
学校で扱っていない科目を選ぶ場合は、参考書と問題集を自分の年間計画に組み込めるかどうかを先に考えてください。
時間を確保できないまま独学に踏み切ると、他教科を圧迫します。

3.暗記と計算のどちらで点を取るかで決める

そのうえでなお迷う場合の目安です。

出題範囲 学習の中心
物理基礎 公式の理解と計算
化学基礎 計算と暗記の両方(理論分野が中心)
生物基礎 用語と現象の理解、読み取り
地学基礎 現象の理解と暗記が中心

数学に手応えがある人は物理基礎・化学基礎の組み合わせが進めやすく、暗記で得点してきた人は生物基礎・地学基礎の側が合いやすい傾向があります。
ただしこれは学習の中心が何かという話で、得点しやすさの保証ではありません。

文系にとって理科基礎は、合計100点の1科目です。
国語・英語・数学の完成度を落としてまで時間を注ぐ配点ではありません。
夏までに英語と数学の基礎を終え、秋以降に理科基礎の演習量を上げる順番が、大曽根校で多くの生徒に伝えている形です。

理系の2科目はこう選びます

理系は化学を軸に、もう1科目を物理か生物から選ぶケースが大半です。
判断の順番は文系と同じで、志望校の指定が最優先になります。

  • 工学部・理学部の多くは物理を前提にした学科があります。学科ごとに指定が違うため、必ず募集要項で確認してください
  • 医学部・薬学部・農学部・看護系は、大学によって指定が分かれます。「生物が有利」といった一般論では判断できません
  • 大学入学後のカリキュラムでどちらを使うかも、入学後の負担に効いてきます

そのうえで、物理と生物の性質の違いは次のように整理できます。

観点 物理 生物
学習の中心 現象を式で扱う。原理の理解が要る 用語・現象の理解と、実験考察の読み取り
立ち上がり 理解するまで時間がかかりやすい 早い段階から得点しやすい
高得点帯 理解できた範囲は安定して取りやすい 考察問題の読み取りに左右されやすい
出題範囲 分野ごとの独立性が高い 覚える内容の量が多い

どちらにも良さがあるため、選ぶ基準は「他教科との兼ね合い」に置いてください。
大曽根校では次のように整理しています。

  • 英語・数学が志望校の合格ラインに乗っている人:理科の2科目目で稼ぐ必要がないので、負担を抑えられる側を選ぶ
  • 英語・数学がまだ届いていない人:英語と数学に時間を回す必要があるため、理科の2科目目は学習時間の総量が読める側を選ぶ

理科の科目選択だけを単独で最適化しても、合計点は上がりません。
5教科の合計で考えてください。

得点調整の仕組みも知っておく

共通テストには得点調整の制度があります。
理科では『物理』『化学』『生物』『地学』の間で、試験問題の難易差に基づく大きな平均点差が生じた場合に実施されます。
ただし、受験者数が1万人未満の科目は得点調整の対象になりません。

出典:文部科学省 令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項

先ほどの表のとおり、地学の受験者数は令和8年度で2,701人です。
1万人に届かないため、得点調整の対象からは外れます。
また、理科基礎(『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』)は得点調整の対象科目として挙げられていません。
難化した年に調整が入る前提で科目を選ぶのは、避けたほうが安全です。

大曽根校で伝えている決め方の手順

科目選択で迷ったときに、その場で一緒に進めている順番です。

時期 やること
高1の冬〜高2の春 志望校の候補を3つ挙げ、募集要項で理科の指定科目を確認する
高2の春 学校で開講されている科目と、指定科目のずれを確認する
高2の夏まで 英語と数学の基礎参考書を終える。理科は学校の授業の理解を優先する
高2の冬 受験する科目を確定させる。独学が必要な科目は参考書を決める
高3の春以降 確定した科目の演習量を上げる。共通テスト形式の問題に入る

科目を早く決めることより、決めたあとに手が動く状態にすることが大事です。
高2の冬までに確定できれば、高3の1年間を演習に使えます。

よくある質問

理科基礎で本当にコスパのいい科目はありますか

全員に当てはまる科目はありません。
令和7年度は地学基礎が理科基礎4範囲で最も平均点が高く、令和8年度は最も低い結果でした(大学入試センター公表・100点満点換算)。
年度で順位が入れ替わるため、平均点を根拠に選ぶ意味は小さいです。
志望校の指定科目、学校での開講状況、他教科に残せる時間の3つで決めてください。

共通テストの理科は2科目受けないといけませんか

志望校が求める科目数によります。
共通テストの理科は5つの出題科目から最大2科目を選ぶ仕組みで、1科目選択なら60分100点、2科目選択なら130分200点です。
受験する科目数は出願時に申し出るため、志望校の候補の要項を確認してから決めてください。

学校で開講されていない科目を独学で選んでもよいですか

選べますが、条件があります。
授業がある科目は定期テストのたびに復習の機会が入りますが、独学の科目はその機会を自分で作る必要があります。
参考書と問題集を決め、いつまでに何ページ進めるかを年間計画に入れられるなら独学でも問題ありません。
計画に落とせないまま始めると、他教科の時間を削ることになります。

まとめ

  • 共通テストの理科は5つの出題科目から最大2科目。理科基礎は4範囲から2つを選択解答する1科目(60分・100点)です
  • 科目別平均点は年度ごとに入れ替わります。地学基礎は令和7年度に最高、令和8年度に最低でした
  • 選ぶ基準は、志望校の指定科目・学校での開講状況・他教科に残せる時間の3つです
  • 得点調整の対象は『物理』『化学』『生物』『地学』の間で、受験者数1万人未満の科目は対象外です

武田塾大曽根校の無料受験相談では、志望校の募集要項で理科の指定科目を一緒に確認し、いま取れている点数と残り時間から、どの科目にどれだけ配分するかを決めます。
科目をまだ決めきれていない段階でも大丈夫です。

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