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［医歯薬獣医］医系専門
武田塾医進館大阪校です。
「今年は日本人の受賞はあるか？」と毎年盛り上がりを見せ、国民的な関心事となっているノーベル賞。
2025年はノーベル医学・生理学賞で大阪大学の坂口志文先生が受賞されました！
医学部卒業後は病院で働く医師＝臨床医になる！というイメージが強いですが、病気の原因などを解き明かす研究に勤しむ研究医になるという選択肢もあります。
今はまだ治療法が確立されていない疾患の原因や、メカニズムの解明のために坂口先生のように研究を重ね、医療に大きく貢献していく仕事です。
医学部卒業後は医師の道だけではなく、研究室から世界の医療へ貢献する道もあるということで、今回は現役の阪大医学部生の講師に、今回のノーベル賞受賞についてまとめてもらいました。
ノーベル賞とは？
発明家、起業家、実業家であるアルフレッド・ノーベルは死去する際、
「人類に最大の利益をもたらした者をたたえるために財産を用いること」
という遺言を残しました。
この遺言に従って、物理学、化学、医学・生理学、文学、平和、経済学の6分野で卓越した功績を残した人物の功績をたたえるノーベル賞が設立されました。
1901年に初めて授与されて以来、毎年10月に新たな受賞者が発表されています。
2025年のノーベル医学・生理学賞の内容とは？
2025年のノーベル医学・生理学賞は
「免疫抑制に関する発見
for their discoveries concerning peripheral immune tolerance」でした。
受賞者は、Mary E. Brunkow先生、Fred Ramsdell先生、坂口志文先生です。
坂口志文先生は現在大阪大学免疫学フロンティア研究センターに所属されており、久々の日本人の受賞となりました。
免疫学フロンティア研究センター/iFReCの外観：講師撮影
免疫抑制とは？
受賞理由の「免疫抑制」ですが、具体的には「制御性T細胞」に関する研究が評価されました。
制御性T細胞（Treg）とは、簡単に言えば免疫の暴走を抑制する免疫細胞です。
私たちの体をウイルスや細菌といった病原体から守ってくれている免疫ですが、病原体を攻撃するはずの
免疫細胞が私たちの体を攻撃してしまうことがあります。これを自己免疫といいます。
もちろんそんなことが起こっては大変ですので、私たちの体にはその自己免疫が起こらないように防ぐ
しくみがあり、その一端を担っているのが制御性T細胞です。
この制御性T細胞を発見したのが坂口志文先生です！
制御性T細胞の研究で何ができるようになる？
制御性T細胞の研究はさまざまな応用ができますが、そのうちの3つを紹介します。
自己免疫疾患の治療
制御性T細胞の研究は自己免疫疾患の治療に応用できます。
自己免疫疾患とは、免疫細胞が自分の体を攻撃することで起こる病気のことで、例えば関節リウマチや
Ⅰ型糖尿病などがあります。
制御性Ｔ細胞の働きを強化してやることで、この自己免疫疾患を抑制できる可能性があります。
がん免疫療法
制御性T細胞の研究はがん免疫療法に応用できます。
がん免疫療法とはがんの治療法の1つで、免疫細胞でがんを攻撃することで治療するというものです。
このがん免疫療法を行う際に、制御性Ｔ細胞の働きを抑制することでより効率的にがんを攻撃することが
できる可能性があります。
臓器移植への応用
制御性T細胞の研究は臓器移植に応用できます。
臓器移植の際に問題となるのが、拒絶反応です。
これは、免疫細胞によって移植した臓器が攻撃されてしまうというものです。
制御性Ｔ細胞の働きを強化してやることで、この拒絶反応を抑制できる可能性があります。
基礎研究の大切さ
この制御性Ｔ細胞の研究は、基礎研究というものに分類されます。
基礎研究とは直接的には医療に寄与しない研究で、対立概念は臨床研究です。
臨床研究は例えば新しい薬の治験などです。
医学部を目指す皆さんはもちろん臨床現場で働く医師を目指していると思いますが、医学の発展には
坂口先生の研究のような基礎研究が不可欠なのです。
そして、現在の日本では基礎研究を行う研究医が少なく、どの大学も学生に基礎研究に興味をもってほしい
と様々な講義を設けています。
大学によっては学生のうちから研究室に所属して研究を行うプログラムも存在します。
例えば私が通っている大阪大学にもそのようなプログラムがあり、私自身もある研究室に参加しています。
また、それこそ坂口先生の研究室に参加している人もいます。
皆さんもぜひ、基礎研究に興味をもってほしいと思います！
そして受験に受かって医学生になったら、ぜひ基礎研究に取り組んでほしいと思います！
そのためにもまずは受験を頑張ってください！
私自身は大学で、幸運にも、坂口先生から制御性T細胞の講義を受けることができました。
受験を頑張ってよかったと思えたことの1つです！
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