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早慶英語に速読は必要か?速読力よりも理解力を磨け!

こんにちは!武田塾武蔵小杉校の三浦です。

 

早慶を目指すには英語の頭ひとつ抜けた実力が必要なことは周知の事実です。ところで、早慶の入試問題を解いてみると、時間が足りなくて絶望する人が多いと思います。だからこそ、どうやったら英語を速く読めますかという相談が絶えません。

 

しかし、英語を速く読めたら問題は解決出来るのでしょうか?実際に生じている課題は複合的なものだと思います。

 

今回は、早慶入試と速読の関係性について詳しく考えていきたいと思います。

 

 

 

まずは精読を徹底してください!

まずは前提のお話ですが、スピードは気にせず、ゆっくり読んだら合格点は取れる状態を目指しましょう。そもそもゆっくり読んで点数を取れないのであれば、速く読んだとしても仕方がありません。速く読むことを目指す前に、正確に読み、正確に解くことを徹底するべきです。

 

悩んでいる時点で精読力が足りてないと考えるべし

実際に、時間が足りないと言っている受験生のほとんどは、分かるところを継ぎ接ぎして、何とか背伸びしながら読もうとしているので、英文の意味を考えることそのものに時間が掛かってしまうのです。特に気を付けて欲しいのですが、ゆっくりと解けば消去法で何とか点数を取れる程度ではまだまだ精読力が足りません

 

正直に言うと、たとえ早慶の英語であっても、読解力があれば直ぐに答えを選べる問題がほとんどです。たしかに1〜2割程度、どうしても悩んでしまうような設問はありますが、8割取れれば十分合格ですよね。だから消去法で悩みながら解いているレベルの人が速読力を身に付けたとしても、結局は地に足を付けた解答力、思考力が足りないので合格することは難しいでしょう。

 

英語を頭からゆっくり読んで、一文一文の意味をあまり悩まずに理解していけるようになること。そして合理的に問題を解けるようになること。まずは、このレベルを目指して学習して欲しいと思います。

 

シャドーイングの注意点

こうしたことを前提として、あともうちょっと時間があれば良いのにと思う受験生は、何をすれば良いのでしょうか?

シャドーイングのメリット

一般的にはシャドーイングが推奨されたりもすると思うのですが、正直なところ早慶レベルの英語を読むためには、シャドーイングだけで速く読めるようになるとは思えない部分があります

 

まずは、シャドーイングのメリットを整理しましょう。

 

一、構文解釈の自動化
二、記憶力の強化
三、英語のリズム(感情や論理)を身に付けること

 

入試本番でS V O Cなどを書き込みながら読んでいるようでは間に合わないのは当然です。こうした英文解釈の技術は、スラスラと使いこなせるように、構文を意識しながらシャドーイングをしていくことで英語を読むスピードが上がります。また、シャドーイングをする過程で、英語の内容を頭の中に保持しておく記憶力が強化されていくので、文と文の繋がりやテーマの理解など内容理解の速度が上がっていきます。また、音を使った学習をすることで、英語のリズムから生まれる強調ポイントなどが分かるようになり、英語の論理を自然に辿っていけるようになります。

 

シャドーイングの教材レベル

これくらいたくさんのメリットがあるので、やはりシャドーイング、もし音源がなかったら音読を取り入れることは非常に重要な学習だと考えます。ただし、シャドーイングの教材をレベルの低いもので行うのではなく、慶の過去問と同じレベルの英文で行えるようにしていきたです。簡単なものをいくら速く読めたとしても、最終的には早慶レベルの英語を速く読む練習をしなければいけないからです。特に知的なネイティブが演説をするように、ノリノリで声に出しながら英語を読んでいくことが、高級な英語の論理を身体に染み込ませる上で重要な練習方法になると思ってください。

 

難しい英語の難しさ

日本語でも読むのが遅くなる文章があるはず

こうしたシャドーイングのメリットを承知の上で、それだけでは足りないと考える理由があります。それを考えるためにも、日本語の難しい文章をどのように読んでいるか考えましょう。下の文をスラスラ読める人は少ないと思いますが、なぜ速く読むのが難しいかを考えてください。

 

経験するというのは事実其儘(そのまま)に知るの意である。全く自己の細工を棄てて、事実に従うて知るのである。純粋というのは、普通に経験といっている者もその実は何らかの思想を交えているから、毫(ごう)も思慮分別を加えない、真に経験其儘の状態をいうのである。たとえば、色を見、音を聞く刹那(せつな)、未だこれが外物の作用であるとか、我がこれを感じているとかいうような考のないのみならず、この色、この音は何であるという判断すら加わらない前をいうのである。

 

外国から輸入した哲学ではなく、日本の哲学を創始しようとした京都学派の西田幾多郎『善の研究』(1911)の冒頭です。彼の文章そのものは入試であまり出ませんが、同じ京都学派の和辻哲郎や九鬼周造の文章は大学入試で頻出です。この文章を読もうと思ったとき、まず面食らうのは受験生が慣れていない硬質な文体でしょう。日本語にも硬い文体と柔らかい文体があるように、英語にもそれがあるので、知識人が用いる文体に慣れていくことは絶対に必要です。それはクリアーしたとして、そもそも文章の意味を理解出来ますでしょうか?何となくでも理解出来たら十分です。

 

この文章で言っていることを自分なりに言い換えます。

たとえば、何か美味しいものを食べたときに、美味しいと感じる経験があるとしたら、そこにやっぱり太るから夕飯は抜きにしようとか、そうした思慮分別も抜きにして、ただ美味しいと感じる経験そのもの、しかもこの美味しいというものの正体は何だとか考えることなしに、ただの美味しい経験そのものがあるよね、ということになりますでしょうか。

(より厳密には美味しいと評価している時点で何かしらの思慮分別が混じっているので、この説明は間違いになると思うので、そのものがどのような味をしているかを知ることそのものの経験と言うべきでしょう。なにはともあれ厳密に考えるとは、とても大変でめんどくさいものです)。

 

さて、こうした文章を速く読めない最大の原因は、理解することに時間が掛かることです。結局のところ、文を読むとはひとつずつ自分で考えて理解することでしかありえません。このことは英語だろうが何語だろうが関係ないでしょう。

 

学術的な議論を読むとは

学術的な議論は、何か新しいことや厳密なことを言おうとするもので、意味をより細分化してああでもないこうでもない何かとしか言えないものについて語ることになります。だからこそ、読む側としても時間を掛けて少しずつしか分かるようにならないものです。仮にこれまで速く読める文章があるとしたら、それは似たような議論を知っていたからでしょう。しかし、知っている議論であったとしても入試問題では細かい違いやニュアンスを問われるわけですから、その場でイチから理解をし直さなければなりません。

 

こうしたことを踏まえると、シャドーイングでどれだけ同じ文章をスラスラ読めるように練習していても、新しい文章を理解する力そのものが足りなければ時間切れになってしまうのは当然でしょう。本当の意味で難しい英語を速く読んで速く解けるようになるためには、理解力そのものを上げていくしか方法が無いのです。最終的に早慶入試では、英語力では無く、この考える力、理解力そのもので差がついてしまうのだと思います。

 

理解力を鍛えるには

では、どうしたら理解力を鍛えられるのでしょうか?もう少し具体化しましょう。

思考の型を学べ

こうした思考力は、幅広い教養思考の枠組みに支えられていると言って良いでしょう。だからこそ、基本的には自分が受けている学部がどのような思考力、どのような知識を求めているのかに興味を持って学習していく中で思考力を鍛えてください。結局、網羅的に学習することは出来ないので、基本になる考え方を応用していくような発想を持って欲しいです。

 

たとえば、先ほどの『善の研究』だと「経験そのまま」と言って、〇〇があってもダメで、〜があってもダメで、と否定語を積み重ねることで「経験そのまま」の純度を上げて定義するような考え方をしていきました。こうした操作を還元と呼んだりもするのですが、そうした専門用語は置いておいて、兎にも角にも考えることの根底にはある種似たような思考の型が存在するので、様々な文章を読みながら、議論の仕方そのもの、文章の流れそのものに慣れていくことが必要な勉強になります。

 

こうした型を身に付けるために音読やシャドーイングをしていくことも大事なのですが、実力を伸ばすためには、同じような議論の仕方が、あちらでもこちらでも、様々な分野で繰り返し現れてくることを感じ取り、その場その場で応用していく練習が必要になっていきます。そこで瞬時に反応する力こそ、本当の意味で重要な速読力と言っても過言では無いでしょう。だからこそ、同じ英文をずっと読んでいるだけでは不十分で、どんどん新しい英語を読んでいくマラソンのような学習が必要です。

 

日本語で自分の言葉に出来ないなら理解出来ていない

自分が理解しているかどうかを確認するためには、自分の言葉に出来るかどうかを基準にすると良いでしょう。哲学的に考えて、理解するとは自分の経験や知識の体系に紐付けていくことだと言うことが出来ます。そう考えたとき、外国語での理解力を育む上で課題となるのは、日本語で文意を説明できるかどうかを基準にして学習しなければいけないことです。

 

シャドーイングなどの、英語を英語のまま読めるようにする学習方法の弊害は、理解したつもりになって曖昧なままにしてしまうことです。綺麗な翻訳にはしなくて良いのですが、省略を補ったり、言いたいことのニュアンスを反映したりと、自分で日本語に出来ないのならば理解しているとは言えないでしょう。僕たちにとって、理解するための経験に根差した言語は日本語なのですから

 

そのため必須となる勉強方法が、解説の訳文と英文を照らし合わせて、なぜその訳になるのかを自分で説明出来るか確認することです。それから、理解力を育む上で効果的な練習は要約練習です。議論の構造は繰り返される傾向があるので、議論の対比構造などを図式化しながらまとめていき、ある段階からジャンルごとに整理していくとより理解力は伸びていくでしょう。

下は、今年早稲田に合格した生徒が作っていた過去問分析ノートを見てください。結局、解き方を含めて自分で赤本の解説を作る訓練最強の勉強方法でしょう。

 

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多読のススメ

正直なところ、早慶を受けようと思ったときに、その下のレベルの大学の文章はあまりにも簡単で練習になりません。だからといって自分が受けたい学部の英文だけを読んでいても、正直なところ練習量が足りないのではないでしょうか?

MARCHまでの英語を安定させるために同じレベルの英文を200読んだならば、早慶レベルの英文を200読むべきです。だからこそ、別の学部の過去問に触れたりすることが必要ですし、そもそも早慶がネイティヴが日常読むような英文を出している以上は、雑誌などの英文を毎日読んだりして、どんどん新しい英語を読む練習に入っていった方が良いと思われます。自分自身を小さく見積もって成長を止めないこと、大きな視野を持って学習することが早慶突破に必要な鍵だと考えます。

 

武田塾の参考書ルートでは早慶レベルの演習は参考書4冊で約44題ほどで、過去問を10年分やるとその中にそれぞれ5題ずつで50題、合計すると94題ほどでしか無いのです。ここまでは誰でもやる演習量だと思いますが、もし確実に合格したいならば、理解力という点で、まだまだ経験値が足りていないのが実際ではないでしょうか?

 

補足:読むスピードを文章ごとにコントールする力を磨け

最後に補足しておかなければいけないことがあります。

そもそも毎日毎日、多種多様な本を読んでいる自分であっても、文章ごとに読むスピードを変えて対応しています。それぞれの文章の呼吸を読んで、最も集中出来る適切なスピードで読めるように調整して読んでいくわけです。それに、自分の体調によっても読むスピードは変わります。理解が進まないときは、ゆっくりと考えながら読むことで先に進めるし、理解がパチっとはまったときはどんどん先に進めます。

 

これは入試問題を解いているときもそうでした。同じ大学の過去問でも年度によって、速く読める文とそうでない文の差がありましたし、自分が読むスピードの調整に失敗したときは必要以上に読み直しをしなければいけなくなったりして、結果も悪かったです。それでも、不思議と時間内に収まるように試験問題は作られていて、見事にコントロールされてると思っていました。

 

そうなると、ひたすらに速く読めることを目指して学習することよりも、上手くそれぞれの文のリズムに乗るような、自分の読むスピードをコントロールする能力の方がむしろ重要にすら思えるのです。そして、こうした力を根本的に支えているのも理解力そのものだと思います。最終的に受験の英語学習は、最低でもこうした境地を目指して進んでいかなければ成功出来ないと思っています。

 

まとめ

本日は、早慶入試に必要な速読力の真実についてお話ししました。どこまで納得が行くかどうかは分かりませんが、知的好奇心を持って難しい英語にチャレンジしていきましょう。難しいと言っても、ちゃんと勉強したらあの試験で8割9割の点数を取れるようになるので、結局は人間技の領域ですよ。そこに到達している先輩たちがいるので、小さな山では無く富士山に登る気持ちで勉強して欲しいです。

 

山の頂上はまだ見えぬ。それでも降りて来た人たちとすれ違う。頂上の景色は素晴らしかったと彼らは言う。君は噂でしか知らない頂上を目指し登り続けることが出来るか。登り続けたもののみが得られる栄光が日本一の私大早慶の合格なのでしょう。

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