第一志望に惜しくも届かず、「浪人して再挑戦するか」「大学に進学してから編入を目指すか」で迷う受験生は少なくありません。
浪人と編入、さらに仮面浪人という方法も含めると、試験内容や科目、難易度、費用などが大きく異なります。
本記事ではそれぞれの特徴やメリット・デメリットを整理し、浪人と編入のどちらが良いかを選ぶための判断基準を解説します。
浪人と編入の基本的な違い

浪人と編入は、いずれも希望する大学へ進むための方法ですが、そのプロセスや受験のタイミング、生活スタイルが大きく異なります。
まずは、それぞれの概要を理解することで、浪人と編入のどちらが良いかを考える第一歩となります。
浪人とは
浪人とは、高校卒業後に進学せず、1年間受験勉強に専念して翌年の合格を目指す方法です。
自宅学習や予備校通いなど学習環境はさまざまですが、いずれの場合でも受験勉強に集中できる時間を確保できます。
第一志望合格を最短で狙える一方で、精神的・経済的な負担も伴います。
編入とは
編入とは、一度ある大学に進学した後、別の大学へ再び進学しなおす制度です。
多くの場合、現在の大学で2年次を修了した段階で、別の大学の3年次に編入するという形になります。
編入試験では、専門科目、英語、面接などが重視されます。
大学生活を送りながら受験準備ができる一方で、編入試験の情報が限定的であることや募集枠が少ないことに注意が必要です。
仮面浪人との違い
仮面浪人とは、大学に在籍しながら浪人生と同じように再び受験を目指す方法です。
合格した場合は、現在の大学を退学し再び1年生から始まります。
外見上は大学生として講義を受けつつも、裏では受験勉強に時間を割きます。
形だけ大学生という状態になることも多く、授業・課題と受験勉強を両立させるためには高い自己管理能力が求められます。
年次・費用・生活面の違い

浪人・編入・仮面浪人は、学力面だけでなく、かかる費用や卒業までの年数、生活の仕方にも大きな違いがあります。
進路を選ぶときには、経済的な負担や日々の生活も含めて検討することが大切です。
浪人と編入のどちらが費用を抑えられるかを解説していきます。
浪人の学費・生活費の目安
予備校に通う場合、年間の授業料はおおよそ100万円程度が目安です。
夏季講習や特別講座を多く受講すると、150万円程度かかることもあります。
一人暮らしを選んだ浪人生は、予備校代に加えて生活費も必要となるため、経済的な負担が大きくなります。
なかには、予備校代を賄うためにアルバイトと両立して浪人生活を送る人もいます。
編入の費用と在籍年数
大学編入には、編入前と編入後の両方で学費がかかります。
編入を目指す場合は、高校卒業後に大学、短期大学、専門学校などで2年以上在籍することが条件です。
そのため、最初に通う学校の入学金や授業料を支払わなければなりません。
授業料は1年間で、国公立大学であれば年間50万円前後、私立大学では学部によって100万円以上かかる場合もあります。
さらに、編入試験を受ける際には受験料が必要です。一般的に1校あたり約30,000円で、複数校受験する場合はその分費用が増加します。
編入試験に合格して進学先が決まった場合、編入後の学費が必要です。
多くは3年次編入のため、編入後は改めて入学金と2年間分の授業料を支払う必要があります。
浪人や仮面浪人と異なり、編入では合計4年間分の学費で卒業できる点が大きなメリットです。
仮面浪人での両立の難しさと出費
仮面浪人は在籍中の大学に通いながら受験勉強を進めるため、学費を払い続ける必要があります。
その結果、予備校に通う浪人よりも出費がかさむ傾向にあります。
さらに、大学の講義・課題・試験と受験勉強が重なれば、時間のやりくりが非常に難しくなります。
学業と受験対策を両立させるには、効率的なスケジュール管理と強い自己管理能力が不可欠です。
浪人のメリット・デメリット

これまで、浪人と編入のどちらにするべきなのか、違いやそれぞれの特徴をご紹介してきました。
浪人は、第一志望合格を目指す上で最も一般的な方法です。
しかし、学力向上のチャンスがある一方で、精神的・経済的負担が伴います。
ここでは、浪人生活の主な利点と課題を整理します。
メリット
浪人は1年間を受験勉強に充てられるため、学力の大幅な向上が期待できます。
第一志望に大きく届かなかった場合や、さらに上の大学を狙いたい場合には特におすすめです。
現役時代の反省を活かし、弱点補強や志望校対策に集中できるのが大きな強みです。
デメリット
浪人生活では「何としても合格しなければならない」という強いプレッシャーが常につきまといます。
結果が出なかった場合の不安や焦りも大きく、精神的な負担は避けられません。
また、1年間遅れることで就職時期や生涯年収に影響する可能性もあります。
編入のメリット・デメリット

編入は、一度大学に進学した後で希望大学へ移る方法です。
浪人のように在籍期間が延びないのが特徴ですが、試験の特殊性や枠の少なさには注意が必要です。
メリット
編入は、現役で大学生活を送りながら志望校に再挑戦できる点が魅力です。
浪人のように1年間を空白にすることなく、在籍している大学で単位を取得しながら準備を進められます。
編入試験に不合格となった場合でも、在籍している大学でそのまま卒業できる安心感があります。
デメリット
編入試験は募集人数が少なく、大学や学部ごとに出題形式が異なっています。
対策方法や過去問が一般入試ほど公開されておらず、独自の情報収集が必要です。
英語や専門科目に特化した対策を求められるため、準備には計画性と専門的な勉強法が欠かせません。
編入できる難関国公立大学一覧(文系・理系別・学部)

志望大学が編入に対応しているかどうかは、事前に確認することが大切です。
編入制度は大学や学部ごとに異なるため、希望校の募集実績を確認することが第一歩です。
下記に、編入が可能な難関国公立大学を文系・理系別にまとめました。
文系編入が可能な難関国公立大学
- 北海道大学
- 経済学部、法学部、教育学部
- 東北大学
- 経済学部
- 筑波大学
- 社会・国際学群、生命環境学群(文系系統)
- 東京外国語大学
- 言語文化学部、国際社会学部
- 名古屋大学
- 経済学部、法学部、教育学部
- 京都大学
- 経済学部、法学部
- 大阪大学
- 経済学部、法学部、外国語学部、人間科学部
- 神戸大学
- 経済学部、経営学部、文学部、国際人間科学部
- 九州大学
- 経済学部
- 広島大学
- 法学部、文学部、教育学部
理系編入が可能な難関国公立大学
- 北海道大学
- 理学部、農学部、工学部、医学部医学科
- 東北大学
- 理学部、工学部、農学部
- 筑波大学
- 理工学群、生命環境学群、医学群医学類
- 名古屋大学
- 理学部、工学部、農学部
- 京都大学
- 理学部、工学部、農学部
- 大阪大学
- 理学部、工学部、基礎工学部、歯学部
- 神戸大学
- 理学部、農学部、工学部
- 九州大学
- 理学部、農学部、工学部
- 広島大学
- 理学部、生物生産学部、工学部、情報科学部
どちらを選ぶべきか判断する基準

浪人・編入・仮面浪人は、それぞれメリットとデメリットがあり、人によって向き不向きが異なります。
「結局どちらが良いのか」自分に合った方法を選ぶための主な判断基準を紹介します。
第一志望へのこだわりの強さ
「どうしてもこの大学で学びたい」という強い思いがあるかは、進路を決める上で非常に重要な判断材料です。
特定の学部やゼミ、教授のもとで学びたい、憧れのキャンパスで生活したいといった明確な理由があれば、その熱意は受験勉強の大きな原動力になります。
一方、そこまでのこだわりがなく、将来のキャリアや就職を見据えてより高い学歴を獲得したい場合は、編入がおすすめです。
第一志望へのこだわりが非常に強く、合格まで挑戦し続けたいのであれば浪人が適しています。
しかし、「費用を抑えつつ学歴アップを狙いたい」場合は、編入の方が現実的な選択です。
費用や生活環境
費用面では、浪人と編入のどちらが負担が少ないかを考えることが大切です。
一般的に、1年間の予備校代や生活費が追加でかかるため、浪人は経済的にも精神的にも大きな負担が生じます。
一方、編入は在籍している大学の学費を払いながら受験準備を進めますが、最終的には4年間分の学費で卒業できるため、総額では浪人よりも抑えられる傾向があります。
ただし、仮面浪人の場合は学費と受験費用の両方が発生し、時間や生活面での負担も大きくなるため、経済状況や自己管理能力をしっかり考えた上でどちらにすべきか判断することが重要です。
まとめ
浪人・編入・仮面浪人は、どれも志望校を目指すための有効な手段です。
浪人は受験に専念でき、第一志望合格の最短ルートとなります。
編入は現役合格を確保しつつ、後から挑戦できる安心感があります。
仮面浪人は両立が難しいものの、うまくバランスを保つことができれば有効な手段です。
大切なのは、自分の学力、モチベーション、経済的状況、そして大学で何を学びたいかを明確にすることです。
自分の価値観や環境に合った選択をすることで、将来振り返ったときに後悔のない進路を歩むことができます。
進路を考える上で参考になれば幸いです。