高校生の中には、将来消防士を目指している方もいるでしょう。
火災の現場で人命救助を行う姿はとても格好よく、多くの人が憧れますよね。
そこで今回は、消防士になるための方法や、消防士を目指すうえで有利とされる大学・学部について詳しくご紹介していきたいと思います。
将来消防士を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
消防士とは？
まず、そもそも消防士とは普段どんな仕事をしているのでしょうか？
火災の消火活動や人命救助だけでなく、訓練や設備点検なども仕事の一部として扱われます。
まずは、消防士の仕事内容や消防士という職業の扱いについて解説していきます。
消防士の仕事
消防士は火災の消火活動・救助活動・救急活動を日常業務として行っています。
また、自然災害が起こった際には警察や自衛隊と連携して人命の救助に赴くなど、命の危険とも隣り合わせの仕事です。
そういった非常事態に備えるため、出動要請が無い時は車両や装備の整備・点検を行ったり救助活動や消火活動の訓練をしています。
そのほかにも、事務処理の仕事や町の人々に防災を啓発する活動など、その仕事は多岐に渡ります。
消防士は地方公務員として採用される
消防士は、各地方自治体で採用される地方公務員です。
その地域に住んでいる人々の安全と福祉を任せられており、専門知識と訓練された技術を用いて業務にあたっています。
消防士の平均年収は？
消防士は地方公務員なので雇用が安定しており、収入も高い水準で安定しているのが大きなメリットといえるでしょう。
例えば消防士の平均年収はおよそ632万円で、正社員の平均年収である約508万円から100万円以上も高いとされています。
こうした給与水準の背景には、災害現場での活動など危険性の高い業務や、深夜・早朝を含む不規則な勤務体系が挙げられます。人命を守る役割を担う職種として、高い責任や負荷が考慮されています。
消防士は人気の職業
消防士は、憧れの職業であることや、高年収の職業であることから倍率も非常に高いです。
例えば東京消防庁の場合、例年倍率は5〜10倍程度になっているなど、採用倍率は高く、難関といわれています。
この高い倍率の試験を突破するためにはきちんと勉強をして、しっかりと試験対策をすることが大切です。
消防士になるには？
そんな人命にかかわる仕事、消防士になるにはどうすれば良いのでしょうか？
ここでは、消防士になる方法と合わせて確認すべきポイントについて解説します。
消防士になるには年齢制限がある
消防士になる試験には受験資格があり、年齢制限があります。
年齢制限の内容は各自治体によって異なりますが、例えば東京消防庁の場合では主にⅠ類、II類、Ⅲ類、専門系の4つに分かれており、受験資格は以下の通りです。
| Ⅰ類 | 大学（短期大学を除く）を卒業、または卒業見込みの人 ※年齢要件は試験年度により異なる |
|---|---|
| Ⅱ類 | 年度により実施なし。 当年度要項による |
| Ⅲ類 | 試験日翌年度4月1日現在で18〜21歳 |
| 専門系 | 試験日翌年度4月1日現在で22〜35歳 |
消防士になりたい人は受験を希望する自治体の募集要項を事前に確認しておきましょう。
消防官採用試験への合格
消防士になるためには各自治体で実施されている消防官採用試験に合格する必要があります。
そもそも消防士は公務員の一種ですので、この消防官採用試験に合格し公務員として認められないと消防士にはなれません。
消防官採用試験は先ほど説明した年齢の条件さえ満たしていれば申し込むことができるため、実際は高校卒業後すぐに消防士になることも可能です。
消防官採用試験に合格したら、半年間の消防学校に入学して消防士になるという流れになります。
消防官採用試験の試験内容
地方公務員としても扱われる消防官採用試験の試験内容はどのようなものなのでしょうか？
消防官採用試験では、筆記試験のほかに、「体力検査」と「面接」が行われ、消防士にふさわしい人材か判断されます。
学力と合わせて、体力も必要な文武両道がなくてはならない職業です。
消防官採用試験の内容①筆記試験
消防官採用試験の一次試験では筆記試験が行われます。
筆記試験の内容は高校で勉強するような一般教養科目と論作文が行われます。
一般教養科目では、政治経済や日本史・世界史、数学、物理、科学などかなり広範囲に渡り出題されます。
一次試験突破のために必要な勉強時間は、高卒程度なら300～800時間、大卒程度では800～1500時間とかなりの時間を勉強に費やす必要があります。
消防士は倍率も高い人気の職業であることを加味しても、かなりしっかりと勉強しないと簡単に落ちてしまうので注意してください。
消防官採用試験の内容①体力検査・面接
消防官採用試験の二次試験では体力検査と面接が行われます。
体力検査では文部科学省が発表している「新体力テスト実施要綱」に基づいて、文部科学省の基準に基づき、上体起こしやシャトルランなどが行われます。
特別な技術などは必要ありませんが、その分純粋な体力勝負であるとされていますので、勉強と合わせて体力づくりも大切です。
これらの他に、場合によっては面接なども行われて最終的な合否が決定します。
消防士になるには大学を出るべき？
消防士になるには必ずしも大学を出る必要はありませんが、大卒で消防士を目指す場合にはいくつかのメリットがあります。
まず、東京消防庁のⅠ類など大卒レベルの学力を要求される試験を自力で勉強して突破するのは大変です。
また、それら大卒レベルの試験に合格して消防士になった方が初任給が高く、昇進もしやすい傾向があると言われています。
これらのメリットのことを考えると、給料のことや出世を重視するなら大学を卒業してから消防士を目指した方が有利になる場合があります。
消防士になるにはどの大学・学部が有利？
では、大卒で消防士を目指す場合にはどの大学・学部・学科に進むと有利になるのでしょうか。
消防官採用試験を有利に進めるためには、採用試験や合格後に役立つ経験を積める大学を選ぶことが大切になります。
消防士になるのに有利な大学①国士舘大学
消防士を目指す場合に実績が多く人気が高いのは「国士舘大学」です。
国士舘大学は消防士の採用数がずば抜けて多いことでも有名で、中でも特に体育学部スポーツ医学科からの採用が多くなっています。
理由としてはこの体育学部スポーツ医学科で救急救命士の資格が取得できるというものがあります。
非常に実践的な講習を行っているため救急救命士の合格人数も多く、また海外の消防署を見学するという実習もあるなど、消防士になることを後押しするような授業も魅力の1つです。
消防士になるのに有利な大学②帝京平成大学
他には帝京平成大学も数多くの消防士を輩出しています。
こちらは健康メディカル学部医療科学科救急救命士コースという救急救命士を目指すことに特化したコースがあるのが特徴です。
また、千葉キャンパスには健康医療スポーツ学部医療スポーツ学科救急救命士コースというコースもあります。
どちらのコースでも学べるため、自分に合った環境を選べます。
有利な学部・学科は「健康・医療・スポーツ科学系」
消防士になるのに有利な学部・学科としては、主に医療やスポーツ科学系の学部などが挙げられます。
スポーツ科学系の学部がおすすめの理由としては、消防士は体力やチームワークが欠かせない仕事のためです。
採用試験でもかなり厳しい体力測定が行われますし、実際の現場でもほとんどが体力勝負でチームワークが重視されることから、消防士の中ではスポーツ系の学部卒の方が多いと言われています。
他には、スポーツ科学や医療系だと救急救命士の資格を取得できることが理由の1つです。
救急救命士は消防官採用試験を受ける場合に必ず必要になるわけではありませんが、救急搬送の場合などに医師の指示のもとで「特定行為」と呼ばれる医療処置を行うことができるようになります。
法律・建築系もおすすめ
先述した通り、消防官採用試験には”専門系”という区分けがあり、これは専門的な知識や技術を活かして消防に携わる場合の試験です。
ここでいう専門的な知識には例えば法律や建築、理系などの専門知識があります。
専門系の受験資格も年齢以外にはありませんが、法律分野の専門系で受験するなら法律系の学部・学科で勉強しておくなど、それぞれの分野に合わせた学部を卒業しておくと多少有利になるかと思われます。
消防士になるのに有利な大学はある？まとめ
この記事では、人気の職業である消防士になるための方法や消防士になるのに有利な大学について紹介してきました。
消防士は地方公務員であるため、各自治体で実施されている消防官採用試験に合格して消防学校を卒業すれば消防士になることができます。
受験資格は基本的に年齢以外ありませんが、大学を卒業しておくと年収が高くなったり、出世がしやすくなるなどのメリットがあります。
また、スポーツ系や医療系に進めば救急救命士などの資格を取得し、採用試験を有利に進めることができるためおすすめです。
消防士になるのも様々な方法が考えられるため、自分が何を重視したいのかよく考えて決めることが大切です。
