突然ですが、皆さんは帰国子女に対してどのようなイメージを持っていますか?
「英語ができてうらやましい」「大学受験に有利そう」「あこがれる」など人によって様々なイメージがあると思います。
大学受験には帰国子女入試という制度もあるため、なんとなく受験に有利なイメージを持っている方も多いかもしれません。
今回は、帰国子女について本当に大学受験で有利になるのかどうかメリットやデメリットを解説していきます。
そもそも帰国子女とは?
帰国子女と言えば「英語ができる」「海外に行っていた人」というイメージがありますが、実際の定義はどのようなものでしょうか?
この項目では一般的な帰国子女の定義や、大学受験における帰国子女の定義を紹介します。
帰国子女が大学受験において有利かどうか考える前に、帰国子女の定義についてしっかり理解しておきましょう。
一般的な帰国子女の定義
辞書によると、帰国子女とは1年間以上海外に住んでいた経験がある子供とあります。
似た言葉に”留学生”がありますが、留学生は自分の意思で勉強のために海外へ渡るのに対し、帰国子女は親の都合で海外に住まなくてはいけなくなった人のことを指します。
また、帰国子女という言葉には「女」という漢字が使われていますが、帰国子女が指すのは女性だけではなく男性も対象です。
帰国子女は、海外から帰ってくるという意味の「帰国」と息子と娘という意味の「子女」が組み合わさった言葉なのです。
大学受験における帰国子女の定義
大学受験で帰国子女入試(帰国生入試)を利用する際にはそれぞれの大学の帰国子女の定義、つまり出願資格を確認する必要があります。
多くの大学では帰国子女のことを”中学から高校までで海外の学校に2年以上在籍”したことがある人と定義しています。
しかし細かな出願資格は大学ごとによって異なってくるため、海外に住んだ経験がある人でも場合によっては帰国子女入試が受けられない可能性があるということに注意してください。
また、大学受験には帰国子女に当てはまらなくても国際生・グローバル入試という入試制度を設けている大学があるため、志望校の入試制度についてはしっかり調べてみましょう。
大学受験における帰国子女入試とは
大学受験には一般入試、推薦入試など複数の入試形態がありますが、その中の一つが帰国子女入試(帰国生入試)です。
多くの受験生にはあまり馴染みのない入試形態ですが、帰国子女にとっては非常に助かる入試形態になっています。
この項目では、そもそも大学受験における帰国子女入試とは何なのかを解説します。
大学受験における帰国子女入試の特徴
帰国子女入試では、高い外国語能力や海外に住んでいたころに得た経験が求められます。
帰国子女入試は志望理由書・TOEICやTOIFLなどの外国語資格・小論文・面接などが評価対象で、一般入試に比べて圧倒的に科目数が少ないのが特徴です。
そのため、科目数の少なさで言えば帰国子女入試は一般入試と比べて有利と言えるかもしれません。
また、一般的な大学受験は1~3月くらいからの選考ですが、帰国子女入試は9月頃から選考が始まるのも大きな特徴と言えるでしょう。
帰国子女入試で有名な大学
帰国子女入試で特に人気があって有名な大学として、上智大学が挙げられます。
理由としては上智大学は6つの学科で英語学位プログラムを取得できるなど英語に非常に強く、帰国子女入試で求められる英語力のハードルが、比較的高すぎないためです。
また、慶応義塾大学や早稲田大学、一橋大学なども大学受験に帰国子女入試を使用できる人気の大学となっています。
帰国子女入試の難易度は大学によって様々なので、一般入試と比べてどちらの方が有利か考えて受験形態を選ぶのが良いでしょう。
帰国子女は大学受験で有利?メリットは?
帰国子女入試は科目数が少なかったり面接で合否が決まることが多いため、なんとなく”ラクそう”なイメージがあり、大学受験で有利になると言われることもあります。
確かに帰国子女入試にはメリットも多く人によってはとても有利になるため、帰国子女の方なら積極的に利用しておくのが良いかもしれません。
この項目では、大学受験における帰国子女のメリットを紹介します。
帰国子女入試のメリット①競争率が低い
帰国子女入試を受けるメリットとして、競争率が低いという点が挙げられます。
帰国子女枠自体は少ないですが、海外在住経験があり大学受験のタイミングで帰国するという人はそこまで多くないため、倍率で考えると一般受験よりも有利になることが多いです。
高校受験でも難関私立高校では帰国生入試を実施しているところがありますが、選考は別枠で行われるため倍率が低くなっています。
帰国子女入試でも一般入試でも問題は同じですが、倍率を考慮すれば、帰国生入試の方が有利と言える場合もあります。
帰国子女入試のメリット②試験科目が少ない
帰国子女入試は一般入試に比べると受験科目が少ない傾向にあります。
帰国子女入試の科目は英語の試験と小論文、面接のみであることが多く、一般入試の大学受験で使う3~6教科に比べれば圧倒的に勉強量が少なくて済みます。
大学によっては帰国子女入試でも文系だと現代文、理系だと数学・理系科目を使用することもありますが、それでも一般入試に比べれば科目数は少ないでしょう。
帰国子女入試の場合は面接だけで合格できる大学もあるため、他の受験方式に比べると非常に有利であると言えます。
帰国子女入試のメリット③準備期間が短い
一般入試に比べ、受験のための準備期間が短くて済むというのも帰国子女入試のメリットです。
一般的な受験生は受験本番の1年前くらいから勉強に本腰を入れ始め1~3月に受験本番となるため、だいたい約1年ほどかけて受験に挑むことになります。
それに対して帰国生入試は受験科目が少ないため、受験にかける準備期間も短く半年程度でも合格できることもあります。
大学によっては9月入学を実施している場合もあるため、最速なら6月に帰国し7月から予備校に通い始め、8月に受験をしてそのまま9月入学をすることもできるのが帰国子女入試の有利な点です。
通常の4月入学の場合でも10月の中旬ごろから試験が始まるため、比較的早く合否が決まるのも特徴です。
帰国子女受験をするデメリット
このように受験科目が少なく一見するととても有利に思える帰国生入試ですが、見た目ほどラクなわけではありません。
特にネックになるのが英語の資格試験の点数です。
この項目では大学受験における帰国子女入試のデメリットをご紹介します。
帰国子女入試のデメリット①出願条件が厳しい
帰国子女入試を受けるためにはTOEFL iBTやIELTS、SATなど英語の資格試験で一定以上のスコアを取らなければ出願することができません。
そのスコアの基準は非常に高く、難関私立大学の多くでTOEFLの出願条件はなんと120点満点中100点以上となっています。
100点というラインをわかりやすく説明するなら、日本の英語の先生でもなかなか取れる人はいないというくらい難しく、このスコアを取ること自体がとても難しいものです。
100点に達していなくても受験できる大学もありますが、だいたい100点以上のスコアが無いと合格の確率がグッと低くなると言われています。
実質的に、科目数が少ない代わりに実質TOEFLが一次試験のような存在になっています。
帰国子女入試のデメリット②逆転合格が難しい
このようにTOEFLの結果が合否に大きく影響するため、逆転合格の可能性が低いというデメリットもあります。
帰国子女入試は英語の実力を認めてもらって合格をもらうという側面が大きいため、TOEFLで良い点数が取れなければその他の科目や面接でどれだけ頑張っても逆転合格することが難しい場合がほとんどです。
その点では一般入試なら本番で良い点数さえ取れれば合格できるのは一般入試のメリットと言えるでしょう。
そのため、英語に圧倒的な自信がある人以外は帰国子女入試の制度の利用はおすすめできません。
帰国子女入試のデメリット③受験対策がしにくい
帰国子女入試は受験する人自体が少なく情報が公開されることが少ないため、受験対策がしづらいというデメリットがあります。
ほぼ情報が無いため、ブラックボックス化してしまってることも多く、ほとんどの大学で面接が行われるため、対策が難しい点でもあります。
また、年度によって問題のばらつきが激しいとも言われており、前年度の入試情報を参考にしようとしても必ずしも役立つとは限りません。
大学受験で帰国子女入試を使用したい人は、塾や学校で徹底的な情報収集をする必要があるでしょう。
帰国子女入試のデメリット④書類の準備に時間がかかる
帰国子女入試は一般受験に比べると用意しなければならない書類が多く、準備に時間がかかるのもデメリットと言えます。
海外の高校に在籍していた証明となる書類を用意したり小論文を書いたりしなくてはならないため、書類の準備に多くの時間を要することになります。
複数の大学を受験する場合志望理由書だけならある程度使い回すことができますが、その大学が独自で提出を要求してくる書類があったりするため更に時間がかかる原因になっています。
大学受験で帰国子女入試を使用する場合は事前にしっかりとどんな準備が必要か調べておくことが重要です。
結局帰国子女入試は有利なの?
大学受験における帰国子女入試はこのようにメリットもデメリットもあり、有利かどうかは個人の実力に依るところが大きいです。
帰国子女入試はTOEFLなど英語のスコアで合否が大きく変わるため、長期間海外にいて英語の実力に自信がある場合は帰国子女入試を利用した方が有利になるでしょう。
ただしTOEFLなら100点という超高得点を取る必要があるため、そこまで英語に自信が無いという場合には普通に勉強して合格を狙ってもあまり変わらないかもしれません。
また、近年では帰国子女の枠が減らされている大学もあるため、倍率の面では、一般受験と大差がないケースも増えています。
そのため、自分が入りたい大学の倍率や自分のTOEFLのスコアなどと相談しながら、どちらの方が有利かを考えることが大切です。
帰国子女は大学受験で本当に有利?デメリットも踏まえて解説|まとめ
この記事では、帰国子女の大学受験における定義や帰国子女のメリット・デメリット、帰国子女が大学受験において有利かどうかを紹介してきました。
帰国子女は外国に住んでいた経験のある学生のことで、大学受験においての帰国子女入試の条件は各大学によって変わります。
また、帰国子女入試で特に人気のある大学は上智大学、慶応義塾大学、一橋大学が挙げられます。
帰国子女として受験する場合、帰国子女入試は一般的な大学受験に比べて科目数が少なく倍率も低いため一般受験よりもラクという点がメリットです。
しかし、そもそも受験のために必要な英語資格試験のスコアが非常に高いというデメリットもあるため、総合して考えると必ずしも有利になるとは限りません。
TOEFLなどのスコアが合否に大きく関わるという性質上英語力が合否を左右する試験と言っても過言ではないため、英語の実力に応じて受験するかどうかを決めてみてはいかがでしょうか。