コラム

反転授業は効率が良い?メリット・デメリットや事例をご紹介!

2020年10月21日(水)

授業の形式でも、映像授業や対面授業など種類がありますが‟反転授業”という言葉をご存じですか?
従来の授業と異なる授業の形式で、実際に大学で導入されるなど、注目を集めている授業形式です。

今回は「反転授業」について、内容とメリット・デメリットをご紹介します。

反転授業とはどんな授業?

反転授業とは

反転授業とは従来の授業形式を反転させた授業形式のことを言います。

学校の授業を例にすると、学校で授業をし、自宅で宿題をするのが普通の授業形式です。

しかし反転授業は自宅で授業をし、学校で宿題を行うという形式です。

実際に自宅で授業をするのではなく、ビデオ講義等のデジタル教材を用いて個人で予習、インプットをします
従って授業では演習形式でアウトプットをするという形です。

2000年代にアメリカで導入されて以降、東京大学をはじめ諸大学が導入をするなど注目を集めています。

反転授業のメリットは?

自学自習

今までとは正反対の授業形式ですがメリットはどうなのでしょうか。

反転授業のメリットについてご紹介します。

問題解決力の育成

まず大きなメリットとして、アウトプットする機会が増え問題解決力の育成が可能になる点にあります。

従来の授業では聞いて学ぶ、インプット形式がほとんどでした。

しかし、反転授業では授業の際に演習を含めディスカッションやグループワークが主体となります。

従来の授業と比較してアウトプットが増え、コミュニケーション能力表現力を身に付けることができるようになります。

教員の生徒の状況把握が可能

従来の授業に比べて演習やディスカッションが行われるので、教員が生徒の理解度や弱点などを把握しやすいというメリットがあります。

また黒板を使って行われる一方的な授業と比較して、教員が生徒とコミュニケーションをとるタイミングも増えます。

わからない点や疑問点の質問もしやすくなり、どの生徒が何を理解してて、どの生徒が何をわからないのか、教員も把握することができるため‟更なる学習効果の向上”に繋がります。

学習の効果・理解度向上

予習の段階で自分のペースで進めることができるため、学習の効果や理解度の向上につながります。

また予習を自宅で行うことによって自宅学習の習慣がつき、学習時間が増えます

さらに予習の段階で分からないところをなくすことが可能になります。

自習形式なので、わからないところをわかるまで繰り返し行うことが可能になり、自分で習得した内容を学校の授業でアウトプットするので理解度を深めることができます。

生徒の学習意欲向上

授業内で仲間とコミュニケーションを取り合ったり、グループワークをすることによって生徒の学習意欲が向上されます。

予習してきた内容に沿ってグループワークやディスカッションが行われるため理解していないと付いていけません

従ってクラスメイトと同じスタート位置から始めるためにも、授業に参加するためにも、自宅で予習を欠かさずにやるようになります

繰り返し学習が可能

自宅で予習をして、授業でアウトプットをする、しかし、完璧に理解できない時もあります

そんな時でも自宅で繰り返し学習できるのが反転授業のメリットです。

また、理解したけれど時間がたつにつれて少しわからなくなってしまった、という時でも、繰り返し学習することが可能になります。

反転授業のデメリット

デバイス

たくさんのメリットがある反転授業でしたが、もちろんデメリットもあります。

デメリットについてもご紹介します。

ネットやデバイスの不可欠

自宅で予習をするにはネット環境やパソコンなどのデバイスが不可欠です。

この反転授業は、自宅で映像をみたり、配信されるものを見て予習する形になります。

そのため、ネット環境が整っていない、閲覧するためのパソコンなどのデバイスがない場合は映像を見ることも、配信されたものを受け取ることもできません

環境がすでに整っている場合は大丈夫ですが、整っていない場合は準備しなくてはいけません。

保護者のサポートが不可欠

反転授業は、自宅であらかじめ予習をすることが大前提であるため、自宅学習の習慣がついていない生徒は慣れるまでが大変です。

最初は保護者の方が予習に付き合ってあげたり、やらせる必要があるご家庭もいらっしゃいます。

生徒の負担

またやる気のある生徒と、やる気のない生徒で差が大幅にできてしまうというデメリットもあります。

先ほども述べたようにもともと学習習慣のない生徒であったり、やる気のない生徒の場合は予習をするのも一苦労です。

やる気のない生徒であったり、予習をしてこない生徒は周りに取り残されてしまい、遅れを取り戻すのにも苦労が付いてきます。

武田塾とは違い、支持をしてくれる講師も、確認をしてくれる講師もいません。

またやる気もあって、自宅学習の習慣がついている生徒でも、習い事や部活動が忙しく、予習時間の確保が難しい場合もあります

また大学生の場合は、サークルに加えて授業準備、アルバイトで忙しい場合もあります。

そんな生徒の場合は予習時間の確保がかなり難しくなり、負担が大きくなってしまいます。

反転授業の事例

映像授業

反転授業のメリットやデメリットについて紹介してきましたが、実際に反転授業を導入した事例があるので、ご紹介します。

University of Saskathchewan

カナダのサスカチュワン州のサスカトゥーンにある州立大学であるサスカチュワン大学で反転授業を導入しました。

授業前に15枚程度のパワーポイントを用いて予習してきてもらい、授業内では予習段階で疑問に思ったことやわからなかったことをお互いに質問しあう形式を用い、先生の作ったテストに答えるという授業を行いました。

もう一人の先生は20分程度の動画を配布して予習してきてもらいます。

授業内ではディスカッションやグループワークを行います。

生徒の反応としては何度も見返すことができるからすごく助かっているという反応が多かったとの結果が出ています

山梨大学

山梨大学では反転授業を導入後、高得点取得者の割合が大幅に増えたという結果も出ています。

実際のどのような内容だったのか見ていきましょう。

授業前は15~30分程度の事前学習動画で予習してきてもらいます。

動画を視聴したらノート作成をします。

このノートを通じて動画の視聴状況確認します。

授業中は教室に入る際にワークシートを配布し出席確認をします。

ワークシートにポイントと疑問点を記入し、その内容だけについて授業中解説します。

内容理解を深めるために個人で演習問題を解き、グループワークで意見交換をします。

生徒全員で解答例を共有し、同じ作業を繰り返します。

時間があれば予習内容の振り返りをしますが、基本的に予習内容には触れずに授業が進んでいきます

反転授業の特徴まとめ

反転授業は従来の授業形式とは反対の授業形式で行われる、新しい授業形式です。

自宅でインプットし、学校ではアウトプットをする流れになります。

また、文部科学省推奨のアクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)と反転授業がかなり一致しているので、今後全国的に広がる可能性もあります。

学習効果の向上や教員が生徒の理解度を把握できるなどメリットはたくさんありますが、生徒の負担が大きくなってしまう点や、家庭学習の習慣のない生徒には厳しいというデメリットもありました。

学習意欲のある生徒や家庭学習習慣のある生徒にとってはおすすめの授業形式です。

反転授業に興味のある方は、導入している大学や塾で実際に体験してみてはいかがでしょうか。

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