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今回は、昨日行われた東工大 2019年 数学の入試問題の難易度と目標点と時間配分を東工大に通う講師が講評します!
【講師紹介②】東京工業大学に現役合格!東工大の入試傾向を解説!
東工大 2019年 数学 入試問題
こんにちは、武田塾溝ノ口校講師のKです。
昨日は国立入試1日目ということで東工大 数学 2019 を見ていきたいと思います。
難易度をA(易)~E(難)で(相対)評価し、各目標点とかけていい時間、解法とポイント、感想を書いていきたいと思います。
東工大 2019年 数学 の入試問題(難易度,目標点,時間配分)
()内は難易度、目標点、解答時間です。
数学 問1 (難易度B,60点,30分)
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不等式の議論に慣れていない受験生にとっては一番最初に見ると慌ててしまう問題だと思いますが、今年の東工大数学で最も簡単な問題でこれを飛ばして先の問題に進んでしまうと絶望が待っています。
なんとしても完答したいところです。
◆解法◆
(1)は実は界隈では有名な問題で、Weitzenbockの不等式というもので1961年の数学オリンピックで出題されました。
各点が座標で与えられており、長さの2乗も出てくるのでこれは座標で計算しろと言っているようなものです。
与えられた三角形に対して
S=1/2(t-s)h
P^2=h^2+s^2
q^2=h^2+t^2
r^2=(t-s)^2
となるので、p^2+q^2+r^2-4√3を計算し2乗の和を作ることで≧0を示します。
等号成立は2乗の中身が0となるときなので、それを計算すると答えは正三角形であるときだとわかります。
(2)は座標などを定めておらず抽象的な問題ですが、(1)の立体verなので(1)の不等式を利用すれば証明できます。
四面体の4つの面それぞれに対して⑴の不等式を当てはめて、それらの和を取り両辺を2で割ることで不等式はすぐに求まります。
⑴の等号成立条件より、⑵のは四面体が正四面体のときに等号成立するとわかります。
◆ポイント◆
・座標が与えられているので、各要素を座標で計算してみる
・不等式の証明の基本は(左辺)-(右辺)≧0を示すこと
・⑵は⑴の不等式の応用を考える
◆感想◆
他の問題に比べて明らかに簡単なので基本的な解法に忠実になって時間をかけてでも解くべきです。
これを落としてしまったら合格は厳しいでしょう。
数学 問2 (難易度C,30点,50分)
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とりあえず両辺をxで微分することしか思いつきませんが左辺は微分するだけでキツそうですね。
ゴリゴリの計算が待っていそうです。
◆解法◆
左辺は積分範囲がxであるyの積分なのでxの関数、右辺は普通にxの関数ですから見るからに「両辺をxで微分する」タイプの問題です。
しかし、左辺の関数fがf(x)ではなくf(xy)となっているのでまずこのxyをzと置換します。
z=xyとするとdz=xdy, y:1/x→2/xのときz:1→2なので
となります。
|log(z/x)|=|logz-logx|が見るからに厄介ですから、1<z<xとx<z<2のときで場合分けして絶対値を外します。
このような変形をした与式を展開した式の両辺をx倍した式に対してようやくxで微分することになります。
1回微分するだけではf(x)を決定するには式が足りないので、積分範囲の両端が同じ値になるxを代入したり(x=1を代入すると1から1までの積分の項は0になり、logxも消える)、もう1回微分したりして関係式をできるだけ導きます。
あとは導いた方程式を連立してそれぞれを求め、それを代入してひたすら計算することで他のもの求めることが出来ます。
◆ポイント◆
・xyを置換することで関数の変数と積分範囲をきれいにする
・絶対値は落ち着いて外す
・積分範囲の両端が一致するxを代入する
◆感想◆
発想を得たとしてもとにかく計算がめんどくさい。
時間をかけてもいいのでゴリゴリ計算し、A、B、f(x)のいずれにもたどり着けなかったとしても途中点を稼ぎましょう。
数学 問3 (難易度B,40点,45分)
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複素数平面の問題ですが、実部と虚部が整数で表されることから格子点を求める問題に帰着されることに気づく必要があります。
◆解法◆
⑴ m,nを整数とするとz=m+niと書けます。
またu=z/(3+2i)とおくと、z=(3+2i)uより|z|=√13|u|なので、|u|≦r ⇔ |z|/√13≦r ⇔ |z|≦√13r
よって、原点中心の半径√13rの円の内部または周上にあるzの格子点の数を数え上げればいいことになります。
⑵ z=(3+2i)u ⇔ z=u√13(cosθ∔isinθ) ただしcosθ=3/√13,sinθ=2/√13
であるから、uが題意の領域内に含まれる ⇔ zが題意の領域を√13倍してθ傾けた領域に含まれる
となります。
あとは図を書いて数えるだけです。
◆ポイント◆
・uを数えるのではなくzを数えることでわかりやすい格子点の問題に帰着する
・複素数の掛け算は複素数の拡大と回転を表すことを利用して領域を動かす
◆感想◆
uだかzだか混乱してしまいそうですが落ち着いて命題を同値変形することで格子点の数え上げの問題に帰着できることに気づきましょう。
これも今年の中では簡単な方なので、時間をかけてもせめて⑴は解いておきたいです。
数学 問4 (難易度E,0点,10分)
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空間分割の最大数という今年一番意味の分からない問題ですね。
まず題意を読み取るのに時間がかかりそうです。
◆解法◆
平面を直線で分割することを考えます。
平面をn本の直線で分割するとき、分割によって生じる領域の最大値をanとするとa(n+1)=an+n+1を満たします。
この階差数列を計算するとan=(n^2+n+2)/2 となります。
ちなみに、平面の最大分割数は「どの2本も平行でなく、かつどの3本も1点で交わらない」です。
⑴n枚の面で領域数が最大になるように分割された空間にn+1枚目の面を加えるとき、n枚の面はn+1枚目の面をn本の交線で分割します。よって分割の最大数をT1(n)とすると、T1(n+1)=T1(n)+an
これを解いてT1(n)=(n^3+5n+6)/6
⑵n番目の平面を考えた時、交線がどれか1つだけと平行になるように入れればよいので、T2(n)=T1(n)-1=(n^3+5n)/6
⑶略
◆ポイント◆
・平面分割問題の空間バージョンだと考える
◆感想◆
平面分割問題の次元が1つ上がった問題だと気づけた受験生は何人いたでしょうか?
⑵⑶は解説を読んでもよくわかりません。
異常なほどに難しいので問題文を読んでとっとと諦めるのが吉です。
数学 問5 (難易度AC,30点,45分)
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見た目からごつそうなaの式がありますが、実際は微分法とちょっとした計算ですみます。
◆解法◆
f’’(x)>0よりf’(x)は単調増加関数。
またf’(x)のx→∞の極限は0なのでf’(x)<0である。よってf(x)は単調減少。
log(bk/b(k+1))=0となるkを、⑴を応用して探します。
◆ポイント◆
・bkが累乗や階乗で表されていることからbk/b(k+1)をすると値がきれいになることに気づく
・数列の最大値はbk/b(k+1)=1となるkを見つけること
・⑴を応用するためにlogを取る
◆感想◆
⑴は超簡単。
一度はやったことがある微分するだけの問題ですから絶対に落としてはいけません。
⑵はf(x)の形から対数をとることは容易に想像できますが、bkが階乗を含んでいてこのままではできないのでbk+1/bkを考えましょう。
bk+1/bkが1より大きいか小さいかの境が最大値を考えるうえで大切なのは常識ですから、これの対数をとることで(1)が応用できると思います。
最後に・・・
全体として今年は難化とみて間違いないでしょう。
難化したということは周りもみんなできていないので、あまり差がつきません。
逆に、合格するには取れるところは確実に取る必要があるので、取れる問題と取れない問題の見分けが非常に重要になります。
1問くらい捨てても大したことありませんから、解けない問題をずっと考えて時間を溶かさないでください。
(私も2018年入試では問2の整数の問題を白紙のまますっ飛ばしました)
問4は見るからに地雷ですから絶対に解かないこと。
また、飛躍的な発想が必要な問題は東工大はあまり出してきません。
問4以外は基本の解法に基づいているので落ち着いて頭を整理して臨みましょう。
ただ、今年の特徴として問題の背景に有名な問題が絡んでいることが多かったので、普通の問題集だけではなく東工大の過去問を何十年もさかのぼってみたり有名な数学の話題について知っていたりすると解きやすかったと思います。
かけていい時間は解き切るまでの時間ではなくあくまで目標点取るまでにかけられる時間なので、これ以上は時間かけられないかなという目安だと考えてください。
全体として点数が3桁いけば致命的にはならないと思います。
150点取れれば周りとだいぶ差をつけられるのではないでしょうか。
以上で東工大数学2019の評価を終わります。
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