[大学ってこんな感じ]東京大学大学院・大学の違いと大学院入試、就職について[第16回]

今日は，大学と大学院の違いについてお話します。「大学と大学院の違いって何ですか？」という質問を受けることがあります。

面倒くさがりの人のために結論から述べると，大学院の特徴は「高度化」と「専門化」です。そして，実は，「大学院」には2種類あり，それぞれ目的が異なります。

※面倒な人は，「3. 結論」だけ読みましょう。正直，それで十分です。

1. 大学院の種類
たったいま，大学院には2種類あるといいました。そこで，大学院の種類について，少しだけお話しします。

①通常の「大学院」
語弊を恐れず簡単に言うと，「より専門的に研究をするところ」です。
②「専門職大学院」
語弊を恐れず簡単に言うと，「より専門的に勉強をするところ」です。
（例）法科大学院（司法試験受験者のための大学院）
教職大学院（教員免許をランクアップするための大学院）
公共政策専門職大学院（平たくいえば，公務員を目指す人のための大学院）

※両者の違いをより正確に理解したいという熱意のある方は，学校教育法66条や，大学院設置基準3条・4条，専門職大学院設置基準2条あたりを参照してください。

2. 大学と大学院の違い
大学と大学院の違いは，細かいところまで挙げていけば色々とありますが，今回は，大学院進学という選択を考える際に役に立つかもしれないこと，3点に絞ってお話します。
（ここからは主観に基づくお話です。ご注意ください。）

①目的が違う！
これは，個人的な感想にもなるのですが，
【大学】＝＜入門＞＝専門領域の基礎を勉強するところ
【大学院】＝＜応用＞＝より専門的に追究するところ

目的の違いは，授業の形式の違いとしても現れます。
●大学では，専門領域の「いろは」を学ぶことが一番の目標となるため，基本的には，「講義形式」の授業が多くなります。
●大学院は，専門知識・技能の高度化したり，専門領域を深めて研究したり，ということがその目的となるため，自分で文献を読んだり，調べたり，発表したり，議論することが中心となり，基本的には，授業の形式としても「ゼミ形式」が多くなります。

②入試制度が違う！
入試は，大学院では，大学入試とは違い，入試制度が大学院ごとにバラバラです。そのため，きちんと制度について調べる必要があります。（ちなみに，試験の内容としては，それぞれの専門領域に関する知識が問われるほか，英語などの試験を課すところが多いと聞きます。なので，試験対策としては専門知識を固めておけば大丈夫です。）
また，大学時代に通っていたところとは別の大学の大学院も受験可能です。（例えば，私立のA大学を卒業後，国立のB大学の大学院に行く，ということも可能。）なので，ある意味，大学受験のリベンジを果たすチャンスでもあります。ただし，研究レベルの高低は，必ずしも偏差値順とは同じではないので，きちんと自身の関心領域に基づいて選びましょう。また，③で触れる，「就職のしやすさ」で問題が生じるケースもあるので，要注意です。

③就職のしやすさが違う！
最終的に，研究者ではなく，就職を考えている人は1点注意点があります。
それは，「大学院に行くと，就職に有利になる場合と，不利になる場合がある」ということです。（特に文系の人は気をつけましょう。）
ただし，就職状況は大学ごと，専門領域ごとに大きく異なるので，大学院進学を考える場合は，きちんと先輩などを通じて情報収集をしましょう。（もっとも，どんな専門に進もうが，「状況を有利にするも不利にするも自分次第」なので，大学院進学を少しでも考えている人は，進路を確定する前に一度，自分にはどのような進路が良いのかじっくり考え，実際に情報を集めてみてください。）

3. 結論
①大学院は，専門職や研究職に就くために「高度化」，「専門化」するところ。
②大学院にも種類がある。
③大学院ごとの差が大きいので，きちんと調べましょう。

以上，
文責：三山

年内ラストは、「大学ってこんな感じ」のまとめ的なものを武田塾御茶ノ水本校の卒業生であり、現在武田塾御茶ノ水本校講師として活躍をしている井伊先生に締めてもらいます。

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