コラム

帰国子女は大学受験で本当に有利?デメリットも踏まえて解説

2021年02月09日(火)

突然ですが、皆さんは大学受験での”帰国子女”に対してどのようなイメージを持っていますか?

大学受験なら帰国子女入試を利用できるようになるため、なんとなく受験がラクそうなイメージを持っている方も多いかもしれません。

今回は、そんな大学受験における帰国子女について、本当に受験で有利になるのかどうかメリットやデメリットを解説していきたいと思います。

そもそも帰国子女とは?

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帰国子女と言えば「海外に住んでいた経験がある子供」といったニュアンスで使われる言葉ですよね。

似た言葉に”留学生”がありますが、留学生は自分の意思で勉強のために海外へ渡るのに対し、帰国子女は親の都合で海外に住まなくてはいけなくなった人のことを指すという違いがあります。

また、大学受験で帰国子女入試を利用する際にはそれぞれの大学の帰国子女の定義、つまり出願資格にも気を付ける必要があります。

多くの大学では帰国子女のことを”中学から高校までで海外の学校に2年上在籍”したことがある人と定義しています。

しかし細かな出願資格は大学ごとによって異なってくるため、海外に住んだ経験がある人でも場合によっては帰国子女入試が受けられない可能性があるということに注意してください。

帰国子女は大学受験で有利?メリットは?

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帰国子女入試は科目数が少なかったり面接で合否が決まることが多いため、なんとなく”ラクそう”なイメージがあり、大学受験で有利になると言われることもあります。

確かに帰国子女入試にはメリットも多いため、帰国子女の方なら積極的に利用しておくのが良いかもしれません。

メリット①競争率が低い

帰国子女入試を受けるメリットとして、競争率が低いという点が挙げられます。

確かに帰国子女枠自体は少ないですが、海外在住経験があり大学受験のタイミングで帰国するという人もそこまで多くは無いため、倍率で考えると一般受験よりも有利になることが多いです。

高校受験でも難関私立高校では帰国生入試を実施しているところがありますが、試験問題自体は一般入試と共通していることがほとんどです。

しかし選考は別枠で行われるため、倍率を考えると問題は同じだったとしてもやはり帰国生入試の方が有利になると言えます。

メリット②試験科目が少ない

帰国生入試は一般入試に比べると受験科目が少なくて済みます。

多くの場合は英語の試験と小論文、面接、あとは文系か理系かによって現代文や数学・理系科目を受けなくてはならないこともありますが、それでもやはり必要な勉強量は少ないです。

大学にもよりますが面接だけで合格できるところすらあるため、他の受験方式に比べると非常にラクに受けることができるでしょう。

メリット③準備期間が短い

一般入試に比べ、受験のための準備期間が短くて済むというメリットもあります。

普通の受験生は受験本番の1年前くらいから勉強に本腰を入れ始め1~3月に受験本番となるため、だいたい約1年ほどかけて受験に挑むことになります。

それに対して帰国生入試は受験科目が少ないため、受験にかける準備期間も短く半年程度でも合格できることもあります。

大学によっては9月入学を実施している場合もあるため、最速なら6月に帰国し7月から予備校に通い始め、8月に受験をしてそのまま9月入学をすることもできます。

通常の4月入学の場合でも10月の中旬ごろから試験が始まるため、比較的早く合否が決まるのも特徴です。

帰国子女受験をするデメリット

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このように受験科目が少なく一見するととてもラクそうに感じてしまう帰国生入試ですが、見た目ほどラクなわけではありません

特にネックになるのが英語の資格試験の点数です。

デメリット①出願条件が厳しい

帰国子女入試を受けるためにはTOEFL iBTやIELTS、SATなど英語の資格試験で一定以上のスコアを取らなければ出願することができません。

そのスコアの基準が非常に高く、難関私立大学の多くでTOEFLの出願条件はなんと120点満点中100点以上となっています。

100点というラインをわかりやすく説明するなら、日本の英語の先生でもなかなか取れる人はいないというくらい難しく、このスコアを取ること自体がとても難しいものとなっています。

100点に達していなくても受験できる大学もありますが、だいたい100点以上のスコアが無いと合格の確率がグッと低くなると言われており、科目数が少ない代わりに実質TOEFLが一次試験のような存在となっています。

デメリット②逆転合格が難しい

このようにTOEFLの結果が合否を大きく左右するため、逆転合格の可能性が低いというデメリットもあります。

帰国生入試は英語の実力を認めてもらって合格をもらうという側面が大きいため、TOEFLで良い点数が取れなければその他の科目や面接でどれだけ頑張っても逆転合格することが難しい場合がほとんどです。

その点では一般入試なら本番で良い点数さえ取れれば合格できるのは一般入試のメリットと言えるでしょう。

デメリット③受験対策がしにくい

帰国子女入試は受験する人自体が少なく情報が公開されることが少ないため、受験対策がしづらいというデメリットがあります。

ほぼ情報が無くブラックボックス化してしまってることも多く、ほぼ全ての場合で面接が行われるのも対策がしにくいポイントです。

また年度によって問題のばらつきが激しいとも言われており、前年度の入試情報を参考にしようとしても必ずしも役立つとは限りません。

デメリット④書類の準備に時間がかかる

一般受験に比べると用意しなければならない書類が多く準備に時間がかかるのもデメリットと言えるでしょう。

海外の高校に在籍していた証明となる書類を用意したり小論文を書いたりしなくてはならないため、書類の準備にかなりの時間を取られることとなります。

複数の大学を受験する場合志望理由書だけならある程度使い回すことができますが、その大学が独自で提出を要求してくる書類があったりするため更に時間がかかる原因になってしまいます。

結局帰国子女入試は有利なの?

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帰国子女入試はこのようにメリットもデメリットもあり、有利かどうかは個人の実力に依るところが大きいです。

具体的には帰国生入試はほとんどTOEFLなど英語のスコアで合否が大きく変わるため、長期間海外にいて英語の実力に自信がある場合は帰国子女入試を利用した方が有利になるでしょう。

ただしTOEFLなら100点という超高得点を取る必要があるため、そこまで英語に自信が無いという場合には普通に勉強して合格を狙ってもあまり変わらないかもしれません。

また、近年では帰国子女の枠が減らされている大学もあるため、倍率の面で一般受験よりも有利とは言えなくなってきている場合もあります。

そのため、自分が入りたい大学の倍率や自分のTOEFLのスコアなどと相談しながら、どちらの方が有利かを考えることが大切です。

帰国子女入試まとめ

帰国子女として受験する場合、科目数が少なく倍率も低いため一般受験よりもラクという点がメリットになります。

しかし、そもそも受験のために必要な英語資格試験のスコアが非常に高いというデメリットもあるため、総合して考えると必ずしも有利になるとは限りません。

TOEFLなどのスコアが合否に大きく関わるという性質上ほとんど英語の出来次第で決まる試験と言っても過言では無いため、英語の実力に応じて受験するかどうかを決めてみてはいかがでしょうか。

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