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【過去問解説】青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 解説

本記事は聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩20秒!“逆転合格”の「武田塾聖蹟桜ヶ丘校の講師による

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問

の解説記事です。

第一問の解説はこちら↓

https://www.takeda.tv/seisekisakuragaoka/blog/post-124472/

第三問の解説はこちら↓

https://www.takeda.tv/seisekisakuragaoka/blog/post-124723/

青山学院大学・社会情報学部の国語は、現代文3題。試験時間は60分

古文の出題はありません。

レベルはいずれも標準的なレベルで、ほとんどがマーク式での出題です。

一部、漢字文章の抜き出し記述させる問題が出題されます。

 

今回は2018年の出題分の第二問を解説します。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 随筆 『柳宗理 エッセイ』

難易度:標準

講評:1983年に書かれた、デザインに関する随筆からの出題。言葉遣いが古かったり、評論とは違い理路整然とはしていないため、主張が追いにくかったかもしれない。本文では、今日のデザインに対する批判と、デザインのあるべき姿について述べられている。今日のデザインがなぜ醜いのか?どのようなデザインが素晴らしいデザインなのか?といった内容を押さえよう。

 

各設問の解説

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問一:漢字 / 基本

「ウキミ」を漢字に直す問題。

ウキミを含む一文では、流行を追うだけのデザイナーを批判する内容が書いてある。

マイナスのイメージを持つウキミと言えば「浮身」。

江戸時代に、辛い(憂き)世の中のことを浮世と読んだのを知っていれば、「浮身」は推測でも埋められるはず。

「憂き身(浮身)を窶す」で、「あまり生産性のないことに夢中になること」の意味の慣用句なので、覚えておこう。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問二:読解, 語句補充 / 標準

ヒントが少ない中で補充語句を推測し、選択肢から選ぶ問題。

どの選択肢も「流行を/と〜」という内容で、選択肢を絞り切るのに苦労したのではないだろうか。

焦らず、消去法で対処しよう。

文脈を理解するために、空欄までの内容を整理しよう。

 

<整理>

よく売れるデザイン良いデザイン

良いデザイン≠よく売れるもの

→今日のデザイナーは良いデザイン&よく売れるものの接点を見出さねばならない。

多くのデザイナー→良い物を造るよりも、よく売れそうなものをデザインするほうが簡単

<=> 良心的なデザイナーはその逆(=苦労して、良いものを造ろうとする)

今日では、ほとんどのデザイナーが商品を売るために駆り出されている。

ほとんどのデザインは流行におもねらされている。しかし、本当のデザインはAところにあるのだ。」

 

上記に整理したように、流行(売れること)に流されがちな今日のデザインと、本当のデザインの対比を押さえた上で選択肢を検討しよう。

流行に流されるものと対比されているので、

本当のデザイン=流行には流されない、商品を売るためではないもの

と考えられる。

1「流行を作る」→本当のデザインは流行に流されないので不適。

2「流行を売る」→これは今日のデザインのことなので不適。

3「流行と遊ぶ」→意味をなさないので、不適。

4「流行と戦う」→本当のデザインは、流行と対置されるものなのでおかしくはない。キープ。

5「流行を選ぶ」→本当のデザインは、流行に流されない、という意味ではおかしくはなさそうだが、流行を選ぶだと、流行を選んで商品を売る、という話になるので不適。

 

よって、4「流行と戦う」が正解。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問三:読解 / 標準

傍線部の理由を答える問題。

傍線部「恥」を含む一文を見ると、

今日のデザインが後世にまでを曝して残ることは言うまでもない。人間の造ったものは終局的には土に戻してやらねばならぬ。」

とある。

前後を含めてまとめると、以下のようになる。

 

<整理>

今日のデザイン=流行に乗って売ることを目的とする+人々の浪費を促す

浪費によってゴミが大量に出る+高分子化学や合金術によって出来た製品のゴミは半永久的に残る

今日のデザイン後世にまで恥を曝す

 

ここまでを読むと、半永久的に残るゴミを出すデザインが問題であると読めなくもない。

しかし、筆者が「恥を曝す」とまで言うほどの根拠は、ここまでだと不十分だ。

なぜなら、半永久的に残るゴミというのは科学技術や、それを浪費する人間の問題であって、直接的には今日のデザインの問題とは言えないからだ。

 

そこで、以降の段落へ進み、その内容を整理してみよう。

 

<整理>

人間は物を造ることより、捨てる方が本当は苦手

これからのデザインは、物を捨て去った後のことまで考えねばならない

<=>

今日のほとんどのデザイン醜いため、デザインはない方がいいと言われても仕方ない

<=>

今日の機械時代でも素晴らしいデザインは、僅かだが存在し、生まれつつある。

→各技術が有機的に融合されている「アノニマス・デザイン」=大変美しい。不純物がない。

→今日の汚れたデザイナーが到底タッチできないほど素晴らしく神聖

民芸もアノニマス・デザインの一種。民芸の人間性純粋性に美の源泉がある。

純粋さは美の根源であり、人類普遍的なもの。

民芸品には、庶民の用に供するということからのみ、輝かしい美が生まれてきている

民芸は地域文化 / デザインは人類の文化。

→デザインは手工業時代から機械時代への移行期=近代化による種々の矛盾を起こしている。

→先進国における近代化は、ずべき最低の醜悪さを曝け出している

伝統の美は意識して出来るものではなく、生まれるもの。

時代、民族、地域環境、社会、素材等が構成する有機体全体の中より自然に生まれ出るもの。

→真似しようとしたり一部を取り入れようとするとその生まれ出た必然性, 自然に生まれ出た必然性を無視することになる

ex. ジャポニカ調→日本の特徴を一部盛り込んだもの→似て非なるわざとらしい嫌らしさが窺われる

 

以上、かなり多くの内容を追ってきました。

要するに、

民芸などのデザインが美しいのは、伝統や人間生活の用(=必然性)から自然に生まれ、不純物が入っていないから

今日のデザインが醜いのは、近代化によって、必要なくとも生産し、浪費を促すもの(=必然性なし)であるから

という内容を押さえてください。

 

正答は、以上の内容を踏まえた3「ほとんどのデザインは生活上の必要性より、よく売れることを重視しているから。」となります。

生活上の必要性=美 / 売れること=浪費=恥 

 

4「今日のデザインは、伝統と真剣に向き合わず、その美を模倣しようとしていないから。」は、伝統の美を模倣するから恥、というわけではないので不適。

5「地球の限られた物資を、不要なデザインのために浪費しているから。」は一見正答のようだが、「不要なデザイン」については本文では言及されていないため不適。

 

このように、傍線部の周辺だけでは正答の判断がつかない場合は一旦先まで読み進めて、その上で解答するよう心がけよう。

結果的に、他の設問も一気に解けることがよくあるのでおすすめだ。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問四:読解 / 基本

傍線部の意味を答える問題。

傍線部3は「どうやら人間は物を造ることより、物を捨てることの方が、本当は苦手のようである」。

この「本当は」の意味を問われているが、基本は同じである。傍線部の内容を適切に言い換えたものを選べばよい。

ポイントは、物を造ること / 物を捨てること / 捨てることの方が苦手、という内容が含まれているかどうかである。

ここでは問三の検討時にまとめた内容を踏まえて、消去法で選択肢を検討しよう。

1「半永久的に残るゴミが多いのに、浪費によって捨てるゴミは増え続けていること。」

→「物を造る」の内容がないので消去。

2「機械時代になって、技術は発達したのに、ゴミを土に戻す方法がないこと。」

→1と同じ理由で消去。

3「人口が減る一方であるのに、商品を売るために量産化を続けること。」

→「物を造る」の内容はあるが「物を捨てる」の内容がないので消去。

4「量産化によって商品の回転は早いのに、売れ残った商品の始末を考えないこと。」

→量産化=「物を造る」の内容。それに対して、売れ残った商品の始末=「物を捨てる」の内容がある。それを考えない=造るよりも捨てるのが苦手の内容を押さえている。キープ。

5「良いデザインは存在するのに、流行にだまされて捨てるべきものを判断できないこと。」

→「物を造る」の内容がないので不適。消去。

 

よって、答えは選択肢4「量産化によって商品の回転は早いのに、売れ残った商品の始末を考えないこと。」。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問五:読解 / 基本

傍線部の理由を答える問題。

本問も、問三でまとめた内容を踏まえて答えよう。

傍線部4「アノニマス・デザインと言われていて、大変美しいものである」とあるが、なぜ美しいのか?が問われている。

まとめたように、

民芸などのデザインが美しいのは、伝統や人間生活の用(=必然性)から自然に生まれ、不純物が入っていないから

なので、選択肢3「その用途のための必要性から、自ずと生まれたデザインであるから。」が正解。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問六:漢字 / 基本

「シンオウ」の漢字を答えさせる問題。

「民芸のシンオウに、人間生活の原点を窺い取ることができる」とあるので、奥深くといった意味だと推測できる。

よって、答えは3「深奥」

かなり基本的な用語なので、これができなかった受験生は猛省を。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問七, 問八:空欄補充 / 基本 - 標準

空欄を埋める語句を選ぶ問題。

問七は以下の文。

「プロダクト・デザインに係わる人は、手造りによるかつての民芸品に、庶民のように供するということからのみ、[  B  ]的に輝かしい美が生まれてきているということに注目すべきである。」

民芸や伝統の美の話をしている。問三でまとめたように、

民芸などのデザインが美しいのは、伝統や人間生活の用(=必然性)から自然に生まれ、不純物が入っていないから

なので、ここには2「必然」が適当。

問八は以下の文。

「民族の文化より人類の文化へと向うデザインは、各地域文化の交差・融合によって(以下略)いずれは統合された人類文化の[  C  ]性を確保するだろうが、今のところは非常に困難である。」

続く文では「それは手工業時代から、機械時代へ移るに伴っての混乱であり、すなわち近代化による種々の矛盾の勃興である。」とある。

ここでも、問三でまとめた以下の内容を思い出そう。

 

民芸もアノニマス・デザインの一種。民芸の人間性純粋性に美の源泉がある。

純粋さは美の根源であり、人類普遍的なもの。

民芸品には、庶民の用に供するということからのみ、輝かしい美が生まれてきている

民芸は地域文化 / デザインは人類の文化。

→デザインは手工業時代から機械時代への移行期=近代化による種々の矛盾を起こしている。

→先進国における近代化は、ずべき最低の醜悪さを曝け出している

 

また、民芸に関する記述をもう少し深堀りしてみると、次のような記述を見つけることができる。

「民芸は地域文化であり、民族の伝統によって徐々に凝結したものであるから、すこぶる純粋たり得た。」

「手造りのものが美しいからとて、そのままそれを機械に乗せて量産することは馬鹿げている。」

「手造りと、機械生産は異なっている手段であるから、それによって表現されている美は自ずと異なっている。手工業は手造りの美しさを追求すべきで、プロダクト・デザインは機械生産の美しさを追求すべきである。」

 

要するに、

手工業にせよ、デザインにせよ、美しいものは実現できる。

しかし、デザインはいずれは人類文化の[  C  ]性を確保するはずが、現在近代化による混乱期にあり恥ずべき醜態を晒している。

ということである。

 

ここに入るのは選択肢5「純粋」のみ。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問九:漢字(読み) / 基本

「同じを踏む」の読みを答える問題。

そのまま「てつ」である4が正解。これはできて当然の問題。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問十:読解 / 標準

傍線部の意味を説明する選択肢を選ぶ問題。

傍線部7「強固なゲマインシャフト的社会」の、"ゲマインシャフト"の意味(=血縁・地縁・精神的連帯などによって自然発生的に形成した社会集団)を知っていれば非常に簡単な問題であるが、知らなかった場合は文脈から判断しよう。

<整理>

日本人が日本の土地で、日本の技術と材料を使って日本人のためにものを造れば、必然的に日本的な形態が出現する

→この態度こそ日本の伝統の美を継承

→かつての強固な伝統美は、強固なゲマインシャフト的社会より生まれた

↓ 略

デザインは社会問題。

良い社会とは?→ゲマインシャフト的に結ばれている社会

ゲマインシャフト的精神に結ばれていればごまかしたり、欺いたりするデザインは生まれてこない

 

上記を見るに、とかく「ゲマインシャフト=良いもの」という風に筆者が捉えていることが読み取れる。

また、「強固な伝統美」の生まれる背景・環境でもあることが文章構造から読み取れる。

加えて、問三でまとめた内容を振り返ると、

伝統の美は意識して出来るものではなく、生まれるもの

時代、民族、地域環境、社会、素材等が構成する有機体全体の中より自然に生まれ出るもの

であるので、この内容を踏まえて選択肢を検討すると、

2「時代、民族、地域環境、社会、素材等が有機的に結ばれている社会」

が答えとなる。

 

青山学院大学 社会情報学部 2018年国語 入試 第二問 問十一:本文趣旨 / 基本

本文全体の趣旨として合致するものを選ばせる問題。

このような問題では、本文の趣旨に合致していないものを消去法で消していこう。

1「機械時代は人口や生産を制御することで、文化史上かつてない繁栄をみた。」

→機械時代はむしろ生産を過剰にし浪費を促しているし、筆者は否定的に捉えているので不適。消去。

2「今日のデザインはすべて人の購買意欲を刺激するために、見せびらかしの媚を売るものである。」

→すべてのデザインが... という内容ではない。一部のデザインは美しいと言っている。不適。消去。

3「近代化にともなって人口が増えたために、質より量の機械生産に転換された。」

→人口が増えたために機械生産になったのではなく、技術革新によってなったので不適。消去。

4「デザインの性格には、その製品が生まれた社会の性格よりデザイナーの個性が反映される。」

→伝統の美の説明で、社会の性格等が反映されるという内容が書いてある。不適。消去。

5「伝統の美を継承しようとしたジャポニカ調には似て非なるわざとらしさがある。」

→ex. ジャポニカ調→日本の特徴を一部盛り込んだもの→似て非なるわざとらしい嫌らしさが窺われる、の内容を説明している。これが答えである。

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