こんにちは、武田塾川口校です!
前回の記事では、東大の文系学部・後期教養学部を紹介しましたが、今回は理系学部編です。
理系の学部学科は、名前を見ただけでは何をやっているのかがわかりにくいところも多いので、今回はできるだけ、学科ごとの特徴と、同系統の他学科との違いがわかるような説明を一言ずつ書いていこうと思います。
工学部
◆社会基盤学科
ホームページで、「公共という立場から、人、自然、そして社会を扱う学問」と紹介されているように、工学部の中でも特に幅広く様々なことをやっている学科です。旧称は土木工学科でしたが、社会基盤と名前を変えてから人気が高まり、比較的高い点数を持っていないと進学できない学科になっています。
社会基盤学科A(設計・技術戦略コース)
社会基盤学科B(政策・計画コース)
社会基盤学科C(国際プロジェクトコース)
◆建築学科
日本で最初にできた建築学科。建築学の扱う範囲は実は広く、建物だけでなく、建物の設計の根拠となる環境や人に対しても工学的にアプローチします。
◆都市工学科
工学部の中では珍しく、物理や数学が必修として設定されていない学科。コース紹介に「工学技術に基盤を置きながら法学、経済学、社会学、歴史学、心理学、美学、哲学など社会科学・人文科学と密接な関係を保ちつつ」と書かれているように、広く「人々の暮らし」を扱っていると言えるでしょう。
都市計画の専門家を養成する都市計画コースと、都市そのものというよりも、都市をとりまく環境をメインに扱う都市環境工学コースに分かれています。
◆機械工学科
機械工学A(機械工学)
数学や四力学(流体力学・熱力学・材料力学・機会力学)を駆使しながら、自動車など様々な機械を作るコース。
機械工学B(機械情報工学)
こちらはロボットなどがメインで、情報工学についても学べるそうです。
◆航空宇宙工学科
その名の通り、飛行機やロケット、小型衛星、惑星探査機などの航空宇宙工学分野の技術について学ぶ学科です。学科紹介には「天空を開拓する情熱と知性」という魅力的なフレーズが登場します。
◆精密工学科
「産業基盤を支える先端テクノロジー」を対象としてきた領域ということで、学科のホームページを見ると、非常に幅広い分野を扱っていることがわかります。
◆物理工学科
物理の基礎から工学の応用まで幅広く学べる学科です。理学部物理学科と比較されることも多いですが、学科紹介によると、理学部物理学科が、自然を観察し、真理を探究していく学科であるのに対し、物理工学科は物理を「制御」し、新しい価値を創造することに主眼を置いているとのことです。まさに理学部と工学部の違いであると言えるでしょう。
◆計数工学科
数学と物理の観点から、工学一般で普遍的に役立つ概念や原理を習得する学科です。計数とは「計測+数理」に由来するとのこと。ロボット・脳科学・ナノ・バイオから、医用工学や金融工学まで、様々な分野に対して数理的なアプローチで寄与することを目的としているようです。
◆電子情報工学科・電気電子工学科
合わせて電気系、EEICなどと呼ばれるこれら二つの学科は、いずれも情報・電気・電子などについて学ぶ学科で、基礎分野が重なりあっているため、履修できる科目も多くが共通しています。
◆マテリアル工学科
マテリアル、つまり科学技術の基盤となる物質・材料について学ぶコースです。生体材料を取り扱うバイオマテリアルコース、金属素材を中心に扱う環境・基盤マテリアルコース、電子材料などナノスケールの材料を扱うナノ・機能マテリアルコースの3つに分かれています。
◆応用化学科
化学を幅広い観点で学び、機械、エレクトロニクス、医療、生物学といった融合領域への応用を目指す学科です。理学部の化学系と比べると、より目的指向的であると考えられます。
◆化学システム工学科
名前からは研究内容がイメージしづらいですが、ひとことで言うと、化学とシステム的思考(複雑な事象を、目的に応じて階層化・単純化して取り扱おうとする考え方)の観点から、工学的に社会の課題を解決するのがコンセプトであるようです。
◆化学生命工学科
有機化学と生命工学をハイブリッド的に学び、「新物質・新機能の創造」を目指す学科です。
◆システム創成学科
環境、エネルギー、食料、人口などの問題を、様々な人々の経済的・政治的思惑が複雑にからみあったシステムとしてとらえ、それらの解決に向けた人材を養成することを目指す学科です。環境・エネルギーコース、システムデザイン&マネジメントコース、知能社会システムコースの3コースに分かれています。
理学部
◆数学科
後期教養学部以外の学生は、基本的には3年次に本郷キャンパスに移動しますが、数学科は例外的に1,2年次に学ぶ駒場キャンパスに研究科が設置されています。理系の学生は多くが大学院に進学しますが、東大の数学科は内部生でも進学が難しいほど院試の難易度が高いと言われています。
◆情報科学科
「情報系」と言われて想像する学科に近い面ももちろんありますが、計算機を道具として利用するだけではなく、まったく新しい動作原理の計算機を設計するなど、より原理的なことまで行うのが東大の理学部情報科学科の特徴です。
◆物理学科
「素粒子から光、物性、宇宙まで、あらゆる分野を網羅する、世界でも最大規模の物理学の研究教育拠点です。」(学科のホームページより)とのこと。物工(物理工学科)などと比べてもかなり理論寄りで、東大の中でも物理に自信のある学生が集まっています。
東大生でも、「リブツ」と聞くと「おお」となる……そんなイメージです。
◆天文学科
「宇宙はいかにして誕生し、どのような進化を経て今日の姿となり、今後どのような未来を迎えるのか」が天文学の研究動機であり、学科では天文学の分野において第一線で活躍できる研究者や教育者の育成を目指しているとのことです。
◆地球惑星物理学科・地球惑星環境学科
地球システムや、太陽系を構成する惑星・衛星から宇宙空間まで幅広く扱う学科です。いわゆる高校地学で扱うような事柄について専門的に学べると考えると良いでしょう。学科間の距離は近いですが、物理寄りなのが地球惑星物理学科で、地質学などを中心に行うのが地球惑星環境学科です。
◆化学科
化学系の学科は他学部にも色々とありますが、化学全般を扱うのが理学部の化学科です。学部の講義の英語化が進められているのが特徴で、その影響もあってか進振りの点数はかつてより下がりました。
◆生物学科
生命科学系の学科の中でも、「ヒトを含む多様な生物の示す生命現象に、直接接することを原点とした研究・教育」を行っている点が特徴とのこと。野外実習や解剖などを行う機会が多いようです。
◆生物化学科・生物情報科学科
本郷キャンパスには、本郷地区(ほとんどの学部)、弥生地区(農学部)、浅野地区(工学部と理学部の一部)という3つのエリアがあり、生物化学科と生物情報科学科は浅野地区が本拠地になります。生物化学科は、分子・遺伝子レベルでの研究を行う学科、生物情報科学科は、生命科学と情報科学両方の視点から生命システムを解き明かす学科となっています。
農学部
応用生命科学課程
◆生命化学・工学
バイオサイエンスを学び、食糧・医薬などの有用物質生産や、環境問題の解決に応用するための基礎的知識を修得する専修です。
◆応用生物学
植物や昆虫などについて専門的に学ぶ専修です。農業実習も実施されており、「農学部のイメージ」に一番近いところかもしれません。
◆森林生物科学
森林の植物、動物、昆虫、微生物などについて、生態系から遺伝子に至るレベルで研究を行う専修。実は、東大は日本の国土のおよそ0.1%を占める敷地を保有しているのですが、それは農学部の実習で使うような演習林を全国に擁しているためです。
◆水圏生物科学
海などの水圏環境に生きる生物について学ぶ専修。東大の学園祭である五月祭では、毎年水族館やうな丼の提供など魅力的な企画を実施しています。
◆動物生命システム科学
哺乳類を中心に動物について科学する専修。獣医学とも近い部分はありますが、こちらの方が研究寄りであると考えられます。
◆生物素材化学
植物、動物、微生物などが生産する「生物素材」について学ぶ専修。所属教員やカリキュラムなどを見る限り、木を中心に扱っているようです。
環境資源科学課程
◆緑地環境学
様々な緑地空間の修復・保全・創出に貢献できる人材を育成する学科。公園、オープンスペースの設計など、都市に近いこともやっているようです。
◆森林環境資源科学
森林生物科学と分野としては近いですが、森林生物科学が生物を中心に扱うのに対して、「森林の環境形成や森林環境の活用、森林資源の持続可能な利用およびそれらにかかわる制度設計」など、「環境」という切り口を重視していると思われます。
◆木質構造化学
木造建造物や、木製家具、木質材料の物性や材料開発などについて学んでいる専修です。建築士の受験資格が得られるカリキュラムも用意されているそうです。
◆生物・環境工学
農学・工学両方の観点から、環境問題について専門的にアプローチする専修です。
◆農業・資源経済学
農業や資源を広く経済の中で位置づけ、社会科学的な手法を用いながら、食料・農業・農村問題を解明することを目指す専修。農学部の中でも文系からの進学先として人気があります。
◆フィールド科学
生物多様性や自然環境の保全に関わる研究の知見を学び、問題を解決する実践力を養うことを目指す専修です。
獣医学課程
◆獣医学
獣医師の資格がとれる専修。卒業後の進路として思い浮かぶのは動物病院ですが、実際には臨床系だけではなく、獣医師の資格が必要ない職業に就く人も多いとのことです。
◆国際開発農学
国際協力や開発援助について学ぶ専修。農場実習、森林実習、臨海実習、牧場実習、海外実習など、実習系の科目が幅広く用意されています。
薬学部
基礎研究寄りの4年制の薬科学科と、薬剤師養成を目指す6年制の薬学科に分かれており、薬学科(薬剤師養成)に進学するのは約1割です(4年制でも追加で必要な課程を受ければ薬剤師になることは可能)。
医学部
医学科
健康総合科学科
医学部と聞いて一般的にイメージされる医学科の他に、健康問題について分野横断的に学ぶ健康総合科学科が設置されています。看護について学べるのもここです。
文理の垣根を越えて
以上、2回に分けて東大の学部を全て紹介してきました。
それぞれの学部の紹介を見てもわかるように、大学レベルの研究では、ある課題にアプローチする際、視野を広く持ち、ときに周辺分野の知見を活用することが求められます。
たとえば工学部でモノを作る場合でも、なぜそのモノを作らなければならないのか(≒社会的に必要とされる理由)を考えなければなりません。そのためにはいわゆる文系の分野の知見も必要になってきます。
一方で、たとえば社会学や心理学で「社会」「人間」といったものをとらえる際には、定量的な分析もしなければなりません。
「難解な文系の学問」というイメージを持たれがちな哲学でさえも、実は数学と密接な関係があります。ライプニッツやフレーゲ、フッサールなど、元々数学をやっていた研究者が哲学分野で功績を残している例はいくつもあるのです。
余談ですが、日本で言うと、入試問題でしばしば登場する大森荘蔵も学部時代は理学部物理学科で、教え子にあたる野矢茂樹、野家啓一も理系出身です(このお二人も入試現代文で頻出の、日本を代表する哲学者です)。
言語学も、やっていくうちに統語論などで「数学っぽい記号」がだんだん出てくるようになり、場合によっては統計的な手法を用いる必要も出てきます。
……と、このように、東大が要求する研究のレベルを考えていくと、文系でも数学、理系でも国語が二次試験の科目として課されていることは、単なる学力の選抜以上の意味があることがわかります。
リベラル・アーツを謳う東大は、単に既存の社会に「適応」するのではなく、社会のあり方を自ら問い直し、組みかえていけるような教養人の養成を目指しています。
東大の入試は求められることの幅が広く大変で、「なんで理系なのに国語をやらないといけないの?」などと思うこともあるかもしれませんが、一見遠回りに見えることが後々効いてくるということが、いつかわかる日が来ると思います。
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