こんにちは、武田塾川口校です!
今回は、教務主任の出身校でもあるラ・サール学園(中学・高校)について紹介したいと思います。
ラ・サールはお得な進学校?
先日、雑誌の記事で、「早慶の付属校よりお得な進学校」として、ラ・サールが紹介されていました。
全国的にもネームバリューがある学校ではあるのですが、実際のところラ・サール中学校の偏差値は、首都圏・関西圏の進学校や、早稲田や慶應の付属校・系属校と比べてそこまで高いわけではありません。
たとえば早稲田実業や慶應中等部、慶應湘南の方が合格は難しいと言えます。
しかし、
卒業後の大学進学実績を見てみると、内部進学で早慶に進学するより「お得」と言えるのではないか
というのが元の記事の趣旨でした。
付属校には付属校の良さがあるので、単純な比較はあまり意味がないですが、中学校の偏差値で同等かそれ以上の首都圏・関西圏の進学校と比べると、確かに入学時の偏差値以上の結果を出していると言っても良いのではないかと思います。
また、後程詳しく述べますが、ラ・サール生は在学中に塾や予備校に通うことがほぼ無いので、そういう意味でも「お得」なのは間違いありません。
そんなラ・サールですが、寮・下宿がしっかりしているため、全国どこからでも受験して入学することが可能です。
首都圏の難関私立中・高の受験を検討されている方は、是非選択肢のひとつに加えていただければと思います。
県外受験者必見! 寮生活について
県外からの生徒は、
・中学生は基本的に全員寮
・高校1,2年生は寮もしくは下宿
・高校3年生は全員下宿
で生活することになります。中学寮は学年バラバラの8人部屋で、高校寮は個室です。
私が在学していたころは、まだ寮が建て替わる前(2014年に建て替え)で、全体的にとにかく「古い」という印象だったのですが、現在はそのころからすると考えられないほど快適な環境になっています。
▲懐かしい当時の高校寮の空き部屋。今は建て直してとてもきれいな部屋になっているので、公式サイトでチェックしてみてください。
中学生も義務自習で毎日3時間勉強!
寮生活で特徴的なのは義務自習のシステムで、中学も高校から19時半ごろから義務自習の時間があるため、毎日3時間は絶対に勉強をしなければなりません(ちなみに在学当時は高校寮に義務自習はなかったため、20時以降は比較的自由に過ごせていました)。
夜は外出・他室訪問も禁止で、塾や予備校に通ったりすることもほぼできません。
また、スマホなど通信のできる電子機器や、テレビ・ゲーム機の持ち込みも全面的に禁止されています。
灘・東大寺・筑駒・開成に代表されるような超進学校は、普通の高校と比較しても自由な校風のところが多いですが、ラ・サールは「勉強をさせる」タイプの学校なので、その点は注意が必要です。
学校提携の下宿もあります!
ここまで聞いて、「寮はちょっと……」と思った方に朗報なのですが、ラ・サールには「学校指定の下宿」というものが存在します。中学生は基本的に全員寮に入ることになりますが、高校生に関しては希望すれば高1から下宿に住むことが可能です。
下宿は寮と違い、点呼や義務自習などはありません。20時以降の外出や他室訪問は禁止ですが、完全に一人部屋で、食事や洗濯もやってもらえるため、安心して生活することができます。
また寮と違ってスマホの持ち込みが可能です(テレビやゲーム機は不可)。下宿は生徒本人が選ぶことになっているため、仲の良い友達同士で一緒に住むことが多いです。
食事や設備、部屋の広さ、細かいルールなどは下宿によって異なりますが、私の感覚としては一人暮らしにかなり近いです(隣の部屋に友達はいますが)。高校寮の一人部屋は4畳ほどの広さですが、私は最終的には下宿で7畳ぐらいの部屋に住んでいました。
このように、快適かどうかで言えば間違いなく快適な下宿生活ですが、義務自習も消灯時間も無いため、自分をコントロールする力が必要になります。
保護者目線だと寮、生徒目線だと下宿に分があると言えそうです。ただ、本人が寮生活に対して不安を抱いている場合は、下宿も選択肢としてオススメです!
カリキュラムについて
一番大変なのは数学の予習
進学校の中高一貫校は、中学生のうちにかなり前倒しでカリキュラムを進めているところも多いですが、ラ・サールの場合はこのような「先取り」はあまりしていません。
中3になると徐々に高校の範囲の学習も進めていくことになりますが、どちらかというと先取りよりも深く学ぶことを重視しています。そのため、高校入学組も、カリキュラム的には一年で内部進学組にほぼ追いつきます。
高校入学組は、数IAIIBの全範囲を高1の間に終わらせることになるため、数学に関してはかなり大変で、授業が週8コマもあります。数学の授業は完全に予習が前提で、基本的には解いてきた問題の解答を生徒に書かせ、その添削を行っていくというスタイルでした。
▲学校オリジナルの数学のテキスト。高1のうちはこのテキストを自分で読み進みながら学んでいきます。現在の学習指導要領の数学IA・IIBなどの範囲にとらわれず、関連する分野をすぐに学べる体系的な構成になっています。
国立メインなのでやることが多い
高1の間は、他の科目も、理科3科目(物・化・生)、社会3科目(地歴2つ+政経)がそれぞれ2コマずつあるため、とにかくやることが多くて忙しかった印象です。
高1の夏休みには、全科目合わせて200時間かけないと終わらない宿題が出されました。課題の表の横に、それぞれの問題集の目安の時間が書かれているのですが、その合計が200時間で、本当にそれくらいかかった記憶があります。
高校2年生になるときに文系クラス・理系クラスに分かれます。理科と社会については選択科目によって受ける授業が変わりますが、文系内、理系内での細かいコースなどは無いので、たとえば3科目で私大を第一志望にする場合でも、全ての科目を受ける必要があります。
テスト漬けの日々!
できるまで追試
ラ・サール高校の特徴はなんと言ってもテストが多いことです。高1から英数国の「朝テスト」というものが始まり、単語や漢字、現代文の単語、古典文法、計算などを週3のペースでテストされることになります。
これ自体は、同じようなことをやっている学校は少なくないと思うのですが、科目によっては合格点が設定されているのが特徴で、特に数学は合格点をとるのが非常に難しかったです。
20分ほどの試験で8割とれないと不合格で、合格になるまで追試(問題変更あり)を受けなければならないのですが、普通のスピードでは解き終わらないぐらいの量が毎回出題されるので、「解けるのは当たり前。多少数字を複雑にしてもミスなく最後までスラスラと解ける」ぐらいのレベルまで仕上げておく必要がありました。
当時は大変でしたが、今となっては、このシステムのおかげで基礎が固められたと思います。
伝統の「週テスト」とは
高2の後半になると、今度は「週テスト」というものが始まります。学校的にはこれを一番の売りにしていると言っても過言ではないくらい重要なものです。
仕組みとしては、英数国理社それぞれで授業とは別に問題集が指定され、その定着度を見るというものでした。今思えば武田塾のシステムとも似ているのですが、問題集をやってきている前提で類題の入試問題が出されたりもするので、テスト自体も非常にヘビーでした。
難易度的にはだいたい毎年同じ感じになるように設定されているとのことで、私が在学していたころは「週テストで平均65%とれている生徒は現役で東大に受かる」と言われていました。
卒業生の週テストの平均点と合格した大学が見られる資料があったのですが、確かにおおむねそのラインで合否が分かれていたので、模試よりも正確な指標だと思いました(範囲があるテストなのに65%で東大に受かると言われていることからも、いかに問題が難しいかがわかるかと思います)。
頻度としては、週に3回テストがあるので、たとえば「今週は月曜日に国語のテスト、木曜日に地歴のテスト、土曜日に数学のテスト」というようなスケジュールになります。ここで、私が高3のときの実際の時間割を紹介したいと思います。
▲これを見ても、塾や予備校に通うのは難しいというのはわかるのではないでしょうか。
進路について
進路の特徴としては、
①国立第一志望が圧倒的に多いこと
②理系は半分程度が医学部志望であること
が挙げられます。先ほど述べたように、学校のカリキュラムそのものが国立大学の受験を前提としており、私立専願は少数派です。
医学部も、九州大学、熊本大学、鹿児島大学など、九州内(地元)の国立大学を受験する人が多くなっています。
学年によって多少雰囲気は異なるかもしれませんが、私が在学していたころは、理系は東大or国立医学部、文系は東大を目指すのが当たり前という風潮でした。
浪人は普通の選択肢
一方で浪人生の割合が非常に多いのもラ・サールの特徴です。国立医学部志望が多いのも影響していると思いますが、現役で大学に進学するのは学年の3分の1程度で、残りは浪人します。
これも当時の話になりますが、たとえば文系の中位~下位層で、現役合格は現実的に厳しいということがわかってきても、志望校のランクを下げたり私大対策をして現役で私立に行こうと考えたりする人は稀でした。
一浪で受験する際はそのあたりももちろん考えますが、「現役時は行きたいところだけを受ける。ダメだったら浪人すればいい」というような、ある種のおおらかさ(良い言い方をすればですが……)があったと思います。
実際学校で言うと半分より下の成績でも、現役で一橋や慶應に合格する人は何人もいましたし、現役時は到底届かなかったレベルから一浪で東大に受かった人も多くいました。
参考までに、私が受験した当時のセンター試験の学年平均を紹介しておくと、学年平均は900点満点中757.6点でした(基本的にほぼ全員900点満点で受験します)。中でも英語の平均177.2(200点満点)と、数IAの平均92.5はすごい数字ではないでしょうか。
最大の名物? 体育祭
意外に思われるかもしれませんが、ラ・サールは体育祭に力を入れている生徒が多い高校で、普通の学校ではありえない数の生徒が体育祭の応援団に入っています(応援団に入っていない方が少数派です)。
そして高3の体育祭は、自分たちが主役になれるハレの舞台であるため、高3生の多くは夏休み明けからの約1ヶ月間を体育祭の練習に捧げます。
それもあってか、学年の雰囲気が完全な受験モードに切り替わるのは、一般的な高校生よりもむしろ遅い印象です。
その他の行事で言うと、年に1,2回登山があるほか、桜島を歩いて一周(約38km)するという過酷なイベントもあります。決して体育会系ではないのですが、寮生が多い男子校ということもあって、昔ながらのバンカラさも残っています。
▲城山公園から望む桜島。
おわりに
冒頭の繰り返しになりますが、ラ・サールは入学するのが極端に難しい学校ではありません。また、東大の合格者数のランキングを見ると、昔ほどの勢いは無いように見えてしまうかもしれません。
しかし、「学校の勉強だけで難関国立大学に合格できるか」という観点で考えると、やはり今でも唯一無二の魅力がラ・サールにはあると思います。
6年間の長い学校生活でダラけてしまう人ももちろんいますが、それでも浪人生活が始まって本気を出せば一浪で国立医学部や東大などに受かる人が多いのは、決して元のポテンシャルの高さだけによるものではなく、普通の学校とは比べ物にならないほどの課題やテストで、自然と基礎が身に付いているからだと思います。
九州外からの受験も是非!
コロナ禍になる以前は、関東での学校説明会もあり、昨年はオンラインでの学校説明会がありました。
全国どこからでも受験することができますので、お子様に将来難関大学を受けさせたい保護者の皆様は、是非選択肢のひとつとしてご検討ください!
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