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武田塾春日井校講師が贈る!「理系のための英文法再入門」第4講

皆さんこんにちは。武田塾春日井校の森山です。

ずいぶん間隔が空いてしまいましたが、

「理系のための英文法再入門」第4回目は「現在進行形」を取りあげます。

 

理系のための英文法再入門 第4講現在進行形~実は助動詞のお話し~

理系のための英文法 第4講現在進行形

「なぜ、ここで現在進行形?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

現在進行形自体は、「be 動詞 + 動詞の ing 形」という形を覚え、否定文・疑問文は、追加された be 動詞 の否定文・疑問文の規則・形式に従う、ということで、特に難しい部分はありません。

 

ですが、「理系のための英文法再入門」とうたう本ブログでは、文法事項をできるだけ例外事項なく機械的に理解することを目指しています。そうしたとき、現在進行形を「文法」的にどう解釈するかはなかなか難しい問題があります。そこで出てくるのが、副題の「助動詞の話」です。

 

現在進行形の be 動詞は助動詞?

教科書や参考書の「助動詞」の項を見ると、「進行形の be 動詞や完了形の have も助動詞である」と書いてあります。本ブログの第2講にも同様の記載があります。しかし、本当にこれでよいのでしょうか。

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仮に進行形の be 動詞が助動詞であるとします。助動詞の後ろに置かれる(本)動詞は「原形」のはずです。ところがそこには動詞の ing 形が置かれています。動詞の ing 形にはいくつかの用法とそれに応じた呼び名がありますが、この場合は「現在分詞」です。

 

現在分詞はもはや原型ではありませんし動詞ですらありません。「分詞」とは、「動詞の変化形で、形容詞として働き、形容詞の使用規則に従うもの」です。このような be 動詞を「助動詞」と呼んで良いのでしょうか。ところが、教科書や参考書にはしっかりそう書かれています。

 

進行形の be 動詞や、完了形の have などは助動詞の中の「例外事項」なのでしょうか。その割には非常に重要ですし、一般的な助動詞(can, may など)と従う規則が違いすぎます。どうもすっきりしません。

 

助動詞には二種類がある

この節の本題に入る前に、少し英文法の考え方についてお話しします。文法の考え方には、どの観点を重視するかによって、大きく分けて以下の2つの流儀があります。(もちろんそれ以外の考え方もたくさんあります)

a.意味論(Semantics)を重視する考え方

(文がどのような意味を持つかが大事)

 

b.統語論(Syntax)を重視する考え方

(ルールの一貫性が大事)

 

日本の教科書に載っている方式はa. の文の意味を重視する考え方です。また、b. の文法的整合性(できるだけ例外を作らない)を重視する考え方があります。英米ではこの考え方が主流のようです。

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日本では明治維新以降、西欧の進んだ文化・技術をできるだけ素早く取り入れて国内に普及させるため、「翻訳」が重視されました。その結果、多くの翻訳された書籍が出版されることによって、外国語に堪能でない人々にも西洋の文化・技術を学ぶことが可能となりました。そしてそれは我が国の急速な近代化に大きく資することになりました。このような歴史的背景があるため、我が国では意味論を重視してきたのだろうと言われています。

 

実は、「助動詞」(auxiliary verb)は二種類に分類されます。「法助動詞」と「第一助動詞」です。(「法助動詞」と同様の働きを持つ句助動詞(be able to など)を独立させて「疑似法助動詞」とする考え方もあります)

 

(1) 法助動詞(modal auxiliary verb

法助動詞の「法(modal)(の)」とは話し手(書き手)の心的態度を表す動詞の語形変化のことをいいます。「法」には直説法、仮定法、命令法の3つがあります。「法」の英語表記は通常mood です。

これはもともとmode(方法、様式、 (動詞の)法)であったものが、mood(気分、気持ち、ムード、など)という語の影響でmoodとなりました。話し手(書き手)の一時的な心的態度(a temporary state of mind or feeling)を表します。

その意味では日本語の「ムード」は当たらずといえども遠からず、かもしれません。ちなみに、形容詞形のmodalは、元々のmodeから派生したものです。

法助動詞は以下の規則に従います。   (以下、Auxiliary verb を Av と略記します)

  1. 主語の人称・単複によって変化しない

  → 主語が三人称単数で現在時制でも、三単現のsが付かないということ

  1. 後ろに動詞の原形をとる (間に副詞などの修飾語が入ることはある)
  2. 疑問文は、Av S V(原形) ~、否定文は、S Av not(n’t) V(原形) ~、の形をとる
  3. 「法助動詞」の後に「法助動詞」を使えない

  → 「法助動詞」は使えないが、後に述べる「第一助動詞」や「疑似法助動詞」は使える

  1. 話し手(書き手)の「心的態度」を表す

  → 「心的態度」とは、『物事に対して、話し手(書き手)が抱く心理状況のこと』ことです。
この中には、『ある物事を、どのくらい確信的に捉えているか』という「心理状況」もふくまれます。can, may, must の「確信度」の違いなどがこれに当たります。

  また、次に述べる「第一助動詞」がそれ自身は統語論(Syntax)上の機能は持っていますが意味論(Semantics)上の「意味」は持たないのに対し、「法助動詞」は意味論(Semantics)上の「意味」を持つことも大きな違いです。

上記の「心的態度」をもう少し詳しく考えましょう。

話し手(書き手)が法助動詞を用いて何かを表現しようとするとき、その心的態度は「主観的(認識的)」なものと「客観的(根源的)」なものがあり得ます。

この心的状況を表現する手段として適切な法助動詞が選択されるわけです。ただ実際には、はっきり区別されるものではなく、「客観性をおびながらも主観的な意味を含んでいる」といった状況も普通にあり得ます。

法助動詞の主なものを一覧表にしておきます。

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*個々の法助動詞の用法の詳細(よく似た意味を持つ法助動詞の使い分けなども含む)とその例文は省略しました。これらについては必ずお手元の文法書で補ってください。

*上の表には「現在時制」「過去時制」とありますが、法助動詞の過去形が実際に「過去時制」を表すことはそれほど多くありません。間接話法などの時制の一致で過去形をとる場合の他には、could の「能力(の一部)」「許可」「可能性」の用法や would  の用法の一部くらいでしょう。

 

(2) 第一助動詞(first auxiliary verb: primary auxiliary verb

上述の法助動詞はいくつもありましたが、第一助動詞は以下の3つだけです。

完了形の have

進行形・受動態の be

疑問文・否定文・強調の do

「法助動詞」が意味論(Semantics)上の「意味」を持っているのに対し、「第一助動詞」は意味論上の「意味」は持たず、統語論(Syntax)上の機能を持っています。

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法助動詞は以下の規則に従います。

  1. 主語の人称・単複および時制によって変化する
  2. 後ろに現在分詞・過去分詞をとる

(疑問文・否定文・強調文を作る際に用いられる do は後ろに動詞の原形をとる)

  1. 疑問文・否定文は、その第一助動詞を「動詞」と考えた際の規則に従う

  → 従って、Do you do ~ ? ; I didn’t do などの形が可能

  1. 「法助動詞」の後に「第一助動詞」を使うことができる
  2. 話し手(書き手)の「心的態度」は表さず、統語上の機能のみを持つ

 

完了形については本ブログシリーズの第3講で述べました。進行形については本ブログで解説し、受動態については次の第5講で取り上げる予定です。

疑問文・否定文・強調の do についての解説は省略します。(一番めんどくさいところを逃げている、と思ったあなた。あなたは正しい!)

 

法助動詞と第一助動詞については以下のようにまとめてしまった方がすっきりするかもしれません。
「助動詞」に関するモヤモヤが少しは晴れるのではないでしょうか。

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進行形の考え方

さて、やっと本題(?)の進行形です。

本ブログの冒頭で指摘したように、通常の文を進行形にし、さらに疑問文や否定文にする方法は簡単です。

では、出来上がった進行形の文を文法的に(少し厳密に)解釈するとどのようになるでしょうか。

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ここでは、
Naoko eats a hamburger.    (奈保子は[習慣的に]ハンバーガーを食べる)
Naoko is eating a hamburger.  (奈保子は[今まさに]ハンバーガーを食べている[最中だ])
という文をベースに考えてみましょう。

まず、元の文は
Naoko eats a hamburger.
    S       V             O

という構造をしています。

それでは、
    Naoko is eating a hamburger.
と、進行形になるとどのように考えることが出来るでしょうか。

ここで3つの考え方があります。

 is は助動詞、eating が(本)動詞

Naoko  is  eating a hamburger.
   S     Av  
   V             O

 教科書や参考書に載っている説明がこれですね。

この場合の助動詞 is (be) は第一助動詞です。eating が(本)動詞であると考えると a hamburger が目的語になるのも自然(というか、当たり前)です。

ですが、eating は(eat という動詞が元となっているとはいえ)現在分詞、つまり形容詞です。

こんなものを(本)動詞とするのはやはりヘンです。

 is eating を(本)動詞(句)と考える

Naoko is  eating a hamburger.
   S       
   V               O

ある意味、この解釈が一番すっきりしているかもしれません。

is eating を述語動詞となる動詞句(他動詞句)と捉えています。

目的語もすっきり収まっています。

 

文章読解のための構文解析としてはこれで十分だと思います。

ですが、この方式だとなんでもかんでも「動詞句」として捉えることとなるため、その意味や機能が雑多なものとなってしまいます。

純粋に文法的にはすっきりしません。

 isを(本)動詞、eating を形容詞(現在分詞)と考える

Naoko   is   eating a hamburger.
   S        V  
           C

is は be 動詞(ちゃんと主語に応じて変形しています)ですから、誰が何と言おうとこれは動詞です。

そしてeating は現在分詞ですから形容詞でありbe 動詞の補語となることができます。

ここまでは誰も文句のつけようがありません。

では、a hamburger はどうなるのでしょう。

形容詞の後ろの名詞なのだからこの名詞を形容詞が修飾しており、この文の補語の本体はa hamburger の方である、と考えることもできます。

 

しかしこれでは意味がおかしくなってしまいます(奈保子さんはハンバーガーではありません)。

種明かしをすると、「分詞(現在分詞、過去分詞)」には動詞が変身して分詞(すなわち形容詞)になっても、元の動詞が持っていた、補語や目的語をとるという性質を引き継ぎます。

このため分詞は、補語や目的語を伴って、形容詞句として働く、という機能・性質を持っています。

そう考えると、eating a hamburger は形容詞句として is の補語となることができます。

 

以上3つの考え方を紹介しましたが、ご自身が納得できるならどの考え方を取っても問題ないと思います。

前節の冒頭でお話ししたように、文法の考え方には大きく分けて以下の2つの流儀があります。

a.意味論(Semantics)を重視する考え方 (文がどのような意味を持つかが大事)

b.統語論(Syntax)を重視する考え方 (ルールの一貫性が大事)

 

日本の教科書に載っている上記①の方式はa. の文の意味を重視する考え方です。

また、③は b. の文法的整合性を重視する考え方です。

そして②の考え方は、細かいことは考えずに文章の内容を理解することに重点を置いた考え方です。

最近の大学入試の英語の問題を見ていると、文法問題が減少し、長文を重視する傾向が顕著です。

必ずしも十分ではない時間の中で課題文を理解するためには、この考え方は十分現実的な対応策となり得ます。

 

ここでちょっと完了形のお話

上記③の考え方を完了形に適用すると以下のようになります。

 Naoko has [just] eaten a hamburger.  

(奈保子は[ちょうど]ハンバーガーを食べ終わった)

    S      V                    O(?)/C(?)

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has (これも原形の have が主語に応じて変形しています)がこの文の動詞です。

have は他動詞ですから、その後ろには目的語が来るはずです。

目的語になれるのは名詞か代名詞だけです。

ところがeatenは過去分詞ですから形容詞であり、eaten a hamburger も形容詞句と考えるしかありません。

これでは have の目的語にはなれません。

 

さあ、困りました。

残念ながら(?)、この完了形の用法(統語法)は(大っ嫌いな)「例外」です。「例外」ではあるのですが、これが「完了」の表現方法として広く認められているのには当然理由があります。

動詞が変化した過去分詞は形容詞として「受身」と「完了」の意味を持ちます。

古くは、元の動詞が他動詞(目的語をとる)の場合に、動詞 have を第5文型の形(I have it done. など)を使って SVOC の形で完了の意味を表していいました。

これが時を経て SVCO の形に変化しました。

 

一方、目的語をとらない自動詞の方は第5文型をとれません。

そこで、be 動詞を使って、I am risen. (我は甦れり - risen は自動詞 rise の過去分詞)のように完了を表していました(この表現は、古風な感じを受けますが現在も見かけることがあります)。

そして自動詞の場合にも have の後ろに(自動詞の)過去分詞をおいて完了を表すようになりました。

こうして、自動詞・他動詞の別なく 動詞 have の後ろに(名詞ではなく形容詞である)過去分詞を置くという、現在の「完了形」の形が定着したようです。

動詞 have の目的語の位置に形容詞である過去分詞を置くという「例外」を認めることにより、過去分詞が持っている「受身」と「完了」の意味を、be 動詞を使った「受動態」と have を使った「完了形」という形ですっきりと表現し分けることが出来るようになりました。

 

第4回は以上です。今回も長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂き、まことに有り難うございました。次回は「受動態」を取り上げる予定です。次回のブログでまたお会いしましょう。

 

【参考文献】

・澤井康裕 著    「英文法再入門 」  中公新書

 

* 法助動詞や第一助動詞について解説した中学・高校生向けの参考書はあまり見かけません。ご興味のある方は、「法助動詞」「第一助動詞」などをキーワードにしてネット検索してみてください。結構な数のサイトが見つかります。ただ、そのサイトの筆者の立場や考え方によって内容はかなりバラバラです。ご自身の好みや目的にあったサイトを見つけてください。

ちなみに、よく「ググる」などといいますが、英語でも google が動詞として使われることがよくあります。

 

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