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ノーベル化学賞のおさらい ~2019/10/7からノーベル賞発表~

豊田市周辺にお住まいの皆様、および武田塾生の皆様こんにちは!
逆転合格専門の予備校・個別指導塾の武田塾豊田校です!

突然ですがみなさん、今日(2019/10/7)は何の日でしょうか?
タイトルを見たら分かりますね。笑
そうです。ノーベル賞の発表日です。
7日のノーベル生理学・医学賞の発表を皮切りに、8日に物理学賞、9日に化学賞、10日に文学賞、11日に平和賞が発表されます。
ノーベル経済学賞は、正確にはノーベル賞ではないですが、14日に発表されます。
ノーベル賞発表の直前になると、毎年候補者が誰なのか、また、関連する企業などはどこかなど盛り上がります。
ノーベル賞の発表により株価が変動するほど、世間・世界では結構注目される1大イベントなんです。
候補者が誰なのか予想するのも楽しいですが、今回は過去のノーベル賞受賞者とその功績をおさらいしましょう。
今回取り上げるのは、ノーベル化学賞を受賞した日本人です。
みなさんも日本人として、日本人のノーベル賞受賞者を1回は知っておきましょう。
覚える必要はないですが、教養として知っておくべきだとは思います。
受賞理由などはみなさんでも理解できるように、易しく説明します。
がんばって読んでください。笑

※分かりやすさを重視するため、厳密な説明ではないのでご了承下さい。

 

目次

0. 受賞者一覧

1. 福井謙一

2. 白川英樹

3. 野依良治

4. 田中耕一

5. 下村脩

6. 根岸英一・鈴木章

まとめ

 

 

「ノーベル化学賞」の画像検索結果

 

0. 受賞者一覧

受賞年/氏名(敬称略)/受賞理由

1981/福井謙一/化学反応過程の理論的研究

2000/白川英樹/誘導性高分子の発見と発展

2001/野依良治/キラル触媒による不斉反応の研究

2002/田中耕一/生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発

2008/下村脩/緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と生命科学への貢献

2010/根岸英一・鈴木章/クロスカップリングの開発

 

 

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1. 福井謙一

初めは、ノーベル化学賞を受賞した福井謙一さんの「化学反応過程の理論的研究」の説明です。
おそらくみなさんは、化学反応過程の理論的研究って何??って感じだと思います。笑
これまでに教科書で様々な化学反応式を見たり、実験で化学反応を起こしたことがあると思います。
その化学反応がなぜ起こるのか説明するため、反応を起こす前にどのような結果になるのか予想するために、化学反応の理論を研究するのも化学の一つです。
そして、福井謙一さんは新しい理論を考え付き、その理論が有用であるために、ノーベル化学賞を受賞されたのです。
その理論とは、「フロンティア軌道理論」と呼ばれるものです。

フロンティア軌道理論って何かすごそうで、難しいそうな名前ですよね。笑
私も初めて聞いたときは、何そのかっこいい名前の理論はと思いました。
この理論を説明する前に、補足説明として、軌道を説明します。

軌道とは、電子が入る部屋のことです。
みなさん、化学基礎の共有結合の説明で結合を作る腕や、電子の部屋には2個電子が入ると説明されたと思います。
実は、電子は原子核を中心として、存在できる場所が結構きっちり決まっています。
電子が2つまで入る部屋が多数あり、そこに電子が入って、原子を形成します。
この電子の部屋を軌道と呼びます。
軌道の図を下に載せておきます。
そして、他の原子の軌道と自分の軌道が作用しあって、結合をしたり様々な変化が起きます。
軌道には特徴があります。
それは電子にとって居心地の良い部屋から、居心地が悪い部屋まであり、すべての部屋の居心地が違うという点があります。
もちろん電子は、居心地の良い部屋から順番に入っていきます。
つまり、ある部屋までは満員で、特定の部屋からは空になります。
さて、いよいよフロンティア軌道理論の説明です。

フロンティア軌道理論は、この居心地がぎりぎり良くて最後の電子が入っている軌道と、居心地がぎりぎり悪くて入らなくなり始めた軌道に着目する理論です。
この2つの軌道をセットでフロンティア軌道と呼びます。
結合する2原子の、この2つの軌道を見ることで反応が進行するのか、また、どのような結果になるのかを予想できます。
つまり、反応で大切な軌道や男子は、フロンティア軌道とその電子ということが分かりました。
フロンティア軌道の相性が良いと、反応が進行します。
では、なぜこの理論が素晴らしいのでしょうか?

それまでの化学、特に有機化学では、共有結合を作る2原子に着目していました。
つまり、共有電子対のことですね。
この電子がどのように動くかを説明することで化学反応を理論的に考えていました。
しかし、この説明だけでは絶対に説明できない反応が現れたのです。
そんな時、このフロンティア軌道理論はどの化学反応も十分に説明が出来ることが分かったのでノーベル化学賞の受賞に至ったのです。

 

福井謙一氏の写真
福井謙一さん

 


軌道

 

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2. 白川英樹

次に、白川英樹さんの「誘導性高分子の発見と発展」についてです。
これは、意味が分かりやすいのではないでしょうか。
高分子とは、プラスティックを想像してください。
みなさんがよく目にするプラスティックは電気を通しますか?
レジ袋などは電気を通さないですよね。
電気を通すプラスティックを発見したのが、白川英樹さんです。

当時は、電気を通すプラスティックを作るだけでも中々の衝撃だったと思います。
この研究によって、大きく発展した分野があります。
何だと思いますか?
それは、タッチパネルです。
みなさんが普段使用するスマートフォンの画面を見てください。
他には、DSの画面などもそうですね。
タッチすることで反応するプラスティックは白川英樹さんの研究による賜物といっても過言ではないのです。

理論系のノーベル賞は難しくてピンとこないと思います。
しかし、こういった身近な研究の成果は、研究の成果が分かりやすいですよね。
やはりノーベル賞を受賞するような研究はどれも素晴らしいです。

 

「白川英樹」の画像検索結果
白川英樹さん

 

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3. 野依良治

3番目に紹介するのは、名古屋大学の野依良治さんの研究です。
「キラル触媒による不斉反応の研究」でノーベル賞を受賞されましたが、理系で化学を学習した学生さんなら理解できると思います。

まずは、キラルや不斉について説明します。
全く同じ構造式を持つにも関わらず、180度回転しても重なり合わない関係をキラルと呼びます。
性質をキラリティーといい、キラリティーがあるとも言います。
図で見た方が分かりやすいと思います。

高校では光学(鏡像)異性体で習います。
このときの、中心の炭素を不斉炭素と呼びます。
化学反応でキラルな分子ができる反応を不斉反応と言います。

このキラルな2分子は、全く同じ化学式で作り方も全く同じです。
野依さんが発見するまでは、作り分けが全くできず、両方の分子が混じって合成されていました。
また、キラルな2分子の性質(融点や密度)もほぼ同じで、分離するのも困難でした。
しかし、生理活性は異なるという厄介な性質を持ちます。
生理活性とは、例えば、片方は薬になるが、もう片方は毒になるということです。
つまり、薬となる分子を合成しても、もう片方の毒でる分子も合成されてしまう、ということが問題でした。
しかし、野依さんは片方の光学異性体のみを合成する触媒(お助け分子)を作ることに成功したのです。
この研究は製薬分野においてブレイクスルーになったのです。
また、この研究を発展させ、多くの科学者が様々な不斉反応を進行させるキラル触媒の合成に励んでいます。

 

「野依良治」の画像検索結果
野依良治さん

 

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4. 田中耕一

田中耕一さんは「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」によりノーベル賞を受賞されました。
ソフトレーザー脱離イオン化法という新しい解析方法を見つけ出しました。
これは質量分析の一種で、質量分析とは、解析したい分子の分子量を特定するための分析方法です。

従来の質量分析は、特定したい分子を気化してイオン化する必要がありました。
しかし、生体分子のタンパク質などは気化しにくく、イオン化させるために多くのエネルギーを与えると、イオン化する前に分解してしまうなど、タンパク質を解析する手段がなかったのです。
しかし、田中耕一さんはグリセリンという分子と金属のコバルトを混ぜたマトリックスを使用することで、タンパク質を検出することに成功しました。
科学の発展により、生体分子や体内の化学反応の研究が増えつつあります。
必ず分析の工程は必要なため、いかに重要な発見であるかが分かると思います。

「田中耕一」の画像検索結果
田中耕一さん

 

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5. 下村脩

5人目は、名古屋大学にも関わりのある下村脩さんです。
「緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と生命科学への貢献」によりノーベル賞を受賞されました。
オワンクラゲやホタルなど発光生物の発光のメカニズムを解明し、オワンクラゲの発光物質を発見しました。
この発光物質が緑色蛍光タンパク質(GFP)です。

なぜGFPを発見したことがノーベル賞の受賞につながったのでしょうか。
それは、GFPが生物や医学の研究にとても有用だったからです。
特定のタンパク質にGFPをつけることで、体内でそのタンパク質を光らせることができます。
つまり、生体内の様子が光で分かるようになったのです。
また、GFPは緑色に光りますが、GFPをゲノム編集することで様々な色に光らせることができ、タンパク質ごとに色を変えて見ることができるようになりました。
「GFP」の画像検索結果

ちなみに、GFPの発見は、多くのオワンクラゲを潰し、タンパク質を抽出によるものだそうです。
天才的な発想や思考による成果もあれば、このように泥臭く研究した成果もあります。
ノーベル賞の受賞者によっても背景が異なり、一回調べてみると面白いですよ。

 

「下村脩」の画像検索結果
下村脩さん

 

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6. 根岸英一・鈴木章

最後に紹介するのは、「クロスカップリングの開発」によりノーベル賞を受賞した根岸英一さんと鈴木章さんの研究です。
実はこの2人は別の研究を行っていました。
まずはカップリングについて説明します。

有機化学において基本骨格の一種にベンゼンがあります。
高校では、化学で登場しますが、文系のみなさんも見たことがあるのではないでしょうか。
「ベンゼン」の画像検索結果
このベンゼン環とベンゼン環をつなぐ合成方法がカップリングです。
分子を合成するにあたって、基本骨格であるベンゼン環同士を繋ぐことはとても有用な方法になります。
しかし、この分野の研究が行われる以前にはベンゼン環を繋ぐ合成方法はありませんでした。

根岸さんが発見した根岸カップリング、鈴木さんが発見した鈴木・宮浦カップリングの以前にもカップリング反応は発見されています。
カップリングは有用かつ重要な反応なため、様々な方法やアプローチから新しいカップリング反応が次々に開発されていました。
根岸さん、鈴木さんがノーベル賞を受賞したのは、開発したカップリング反応が使いやすかったからです。

ちなみに、根岸カップリングは、有機亜鉛化合物と有機ハロゲン化物をパラジウムかニッケル触媒を用いて反応させる方法です。
鈴木・宮浦カップリングは、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリールをパラジウム触媒を用いて反応させる反応です。
おそらく何言ってるか分からないと思うので、大学入って化学やる人はそこで勉強してください。笑

「根岸英一」の画像検索結果
根岸英一さん

 

「鈴木章」の画像検索結果
鈴木章さん

 

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まとめ

日本人ノーベル化学賞の受賞者とその研究について取り上げました。
高校生の知識では理解するのになかなか難しいものもあります。
しかし、その人の背景や考え方名言などもネット上にはあります。
ノーベル賞受賞という偉業を成し遂げた研究者たちの思考は面白いですし、勉強になります。
化学賞以外にも、物理学賞、生理学・医学賞など他分野の受賞者もいます。
自分が興味のある分野だけでも良いので、一度調べてみてはどうでしょうか?

 

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