大学入試は、私たちが受験生だった時と大きく変わっています。
いわゆる「大学入試改革」によって、大学入試センター試験が終了。
「共通テスト」に名称が変わり、出題形式が一新されました。
それ以外にも、思考力を問う問題の導入、新科目「情報」の追加など、
大学入試をめぐる状況は刻一刻と変化しています。
この記事では、「入試改革」時代の大学受験で、知っておくべき内容をまとめました。
記事の最後に、大学入試改革に備えるための、武田塾の冬期講習を紹介しています。
是非最後までご覧ください。
今の高1生・高2生は浪人できない
新学習指導要領が2022年より施行される
「学習指導要領」という言葉をご存じでしょうか。
「学習指導要領」とは、文部科学省が10年に一度発表している、各学校で指導する内容などを定めた文書です。
新しい学習指導要領が施行されるたび、学校で指導される内容は大きく変化します。
当然、入試の難易度や出題傾向も、学習指導要領に伴って変わります。
「学習指導要領」で起こった教育の変化で、最も分かりやすいのは「ゆとり教育」。
「ゆとり教育」のスタートは、2002年に発表された学習指導要領です。
週休5日制の導入を筆頭に、学校での授業数や学習内容が大きく削減され、
当然入試で問われる内容も、それ以前と比べて大幅に狭くなりました。
要するに、ゆとり教育の時代は、入試が比較的簡単になっていたのです。
では、2022年度から施行される学習指導要領では、大学入試はどのように変化するのでしょうか?
脱・ゆとり 2022年度から科目内容が一新される
新学習指導要領は、2022年度に高校1年生になる生徒から適用されます。
つまり、今までの教育を受けられるのは現在の高校1年生までで、
「来年の高校1年生(≒現在の中学3年生)」以下の世代は、全く別の内容を高校で勉強するのです。
2022年度以降の大学受験は、次のように変化します。
・勉強する内容が増加し、新科目が追加される ・知識の暗記は大前提。大量の文章を読みこなす技術が必要となる。 ・学校で「教えてくれる時間」はむしろ減少する。 |
それぞれを詳しく見ていきましょう。
学習内容の増加、新科目の設置
まず、2021年度と2022年度の高1生で大きく異なるのは、「学習する内容」です。
以下の表に新学習指導要領による変化をまとめました。
今の中学3年生は、現在とかけ離れた授業を受けることが分かります。
2021年度までの内容 | 2022年度以降の内容 (新学習指導要領) |
備考 | |
社会科 | <地歴> 日本史・世界史・地理から選択 <公民> 現代社会・倫理・政治経済から選択 |
<地歴> 歴史・地理が必修。 <公民> 新科目「公共」が必修 |
|
国語科 |
評論・小説・古文・漢文 |
評論・実用文・古文・漢文 |
小説や詩などの文学はほとんど扱われなくなり、代わりに企画書や契約書などの実用文を読む。 |
英語科 |
高校卒業までに約3000語を覚える
|
高校卒業までに約4000~5000語を覚える ディベート・ディスカッションの追加 |
授業は英語で行うことを基本とする。 |
数学科 | 数Ⅰ・数A・数Ⅱ・数B・数Ⅲ 数Aでは「整数の性質」、 数Bでは「ベクトル」を取り扱う |
数Ⅰ・数A・数Ⅱ・数B・数Ⅲ・数C 数Aでは「数学と人間の活動」、 数Bでは「数学と社会生活」を取り扱う |
「ベクトル」・「複素数平面」は数Cに移行 |
理科 | 「ヒトの生命現象」を筆頭に複数の科目が新設 | ||
情報 | 必修。大学受験の教科として利用される。 |
勉強する量は現在よりも増しており、勉強する内容も大きな差異があります。
当然、大学受験も「学校で勉強した内容」を元に作られるわけですから、
今の中3生の大学受験は、現在よりもずっと難易度は高くなるのです。
今の高1・高2生こそ、下の学年の入試の変化を知っておくべき
もしかして、「我が子はもう高校1年生・2年生だから関係が無い」と思っていませんか?
今の高1生・高2生は現役で合格してしまえば、何の影響もありません。
問題は、大学受験に失敗して浪人する場合です。
今の高2生は「2浪」、高1生は「1浪」した時点で、新教育課程の大学入試を受けることになります。
その場合、高校で勉強する内容そのものが変わっていますので、浪人のわずか1年間で、高校3年間分の勉強が必要です。
その上で、3年間しっかり勉強した現役の高校生の成績を上回らないといけないのですから、
今の高1生・高2生が浪人した場合の苦労は計り知れません。
今の高1生・高2生は現役合格しなかった場合のデメリットが非常に大きいことは心に留めておきましょう。
大量の知識が必要なのに、教わる時間は減少する
大学受験で問われるモノが変わった
いわゆる大学入試改革によって、「センター試験」から「共通テスト」に変わったことも忘れてはいけません。
共通テストになって変わったポイントは次の2点です。
1.知識を持っていることが前提にされ、その活用が問われるようになった。 2.現実に即した場面設定がなされた。 |
1.知識を持っていることが前提にされた
センター試験時代と共通テストでどう変わったか、英語の第2問を例にとって考えてみましょう。
センター試験時代は「文法問題」が出題されていました。
ここでは、"apart from"や"whether"など、高校で確実に学習した単語・文法を覚えているかが問われます。
しっかり学習していれば難なく解け、短期で学習する場合も暗記で得点源に出来ます。
一方、共通テスト時代には「長文問題」が出題されています。
高校で勉強した単語・文法を知っているのは前提。単語・文法を使った長文を読み解けるかが得点を左右します。
元から読むのが苦手な生徒にとっては極めて厳しい変化ですし、短期間での得点アップも困難です。
そして、勉強が苦手な生徒に追い打ちをかけるように「問題文」そのものも変化しています。
2.現実に即した場面設定がなされた
数学の第2問を例にとると分かりやすいですね。
問題文が異常に長くなり、どの公式を使えば良いか分かりづらくなっています。
このほかに、理科・社会の共通テストでも、同様の異常な長さの問題文が取り入れられています。
このように、一般的な参考書と明らかに異なる問題が共通テストで出題されるようになりました。
独学での学習は困難。国語が苦手な場合は、そもそも入試のスタートラインにすら立てないような状況です。
こうした問題に対応するには、時間をかけて長い文章の入試問題に慣れるしかありません。
そのためには、大学入試のための必要な知識を早い段階で吸収し終える必要があるのです。
でも、学校で教える時間は減らされる
しかし、新学習指導要領によって、高校側は大学受験対策に時間を割けなくなりました。
学習指導要領の方向性と、大学入試共通テストの方向性がずれているのです。
英語が分かりやすいので、英語を例にとってみていきましょう。
新学習指導要領では、今まで以上に「話す」「書く」を重視した指導を学校に要請しています。
「話すこと」、「書くこと」を中心とした発信力の強化を図るため、(中略)「論理表現Ⅰ」、「論理表現Ⅱ」、「論理表現Ⅲ」を設定した。[文部科学省(2018)p.8]
一方、大学入試共通テストは「読む」「聞く」が中心です。
英語(外国語)
引き続き「読むこと」「聞くこと」(IC プレーヤーを使用)を中心としつつ、高等学校までの教育で培った総合的な英語力を可能な限り評価できるよう、問題作成の方向性を検討します。[大学入試センター(2021)p.2]
大学入試で「読む・聞く」能力が必要なのに、高校では真逆の「話す・書く」指導が行われる。
大学受験で、高校が頼りにならない時代が到来しようとしています。
まもなく、大学受験で、高校の指導を信用できない時代がまもなく来る
今までの内容をまとめましょう。これからの大学受験の特徴は、次の3点に集約されます。
1.必要な知識・技能を全て習得しても、十分な量の演習を積まなければ、入試に失敗する 2.一方で高校は、大学受験とあまり関係のない授業を始める 3.大学受験失敗(浪人)のリスクが、センター試験時代よりも高くなっている。 |
私たちは、どのように大学受験を対策すればよいのでしょうか。
大学受験対策は、できるだけ早く始めるべき
まず、大学受験対策は可能な限り早く始めるべきです。
共通テストの出題形式に慣れるためには、高校3年生の1年間は問題演習に使いたいところ。
そのためには、高校2年生までに必要な知識・技能を全て習得し終える必要があります。
現在苦手な科目がある(=知識・技能を習得できていない)場合は、今すぐ手を打たなければなりません。
少なくとも、高校3年生になってから知識の習得を始めるのは遅すぎます。
独学での合格はこれからますます厳しくなる
次に、独学での合格は今まで以上に厳しくなります。
センター試験時代は暗記の要素が多分にあり、とにかく覚えれば点数が伸びる時代でした。
一方で共通テストはいたるところに落とし穴があり、なかなか点数が思うように伸びません。
1.知識・技能が無ければ、問題が解けない(センター試験と同じ要素はこれだけ) 2.長い文章を読み解く国語力が無ければ、問題が解けない 3.長い文章を読み切る読解力が無ければ、解答時間に間に合わない 4.見慣れない文章を読めても、使う公式を思いつかなければ、解答できない |
共通テストは、国語力がある人・苦手分野のない人に対して、圧倒的有利になるよう作られています。
そうでない場合は、「そもそも問題文を読み解けず、スタートラインに立てない」可能性すらあるのです。
国語力がある人・各教科まんべんなく得点できる人は、独学で合格できるでしょう。
そうでない場合は、何かしら対策を打たなければなりません。
塾に通う場合は、どこを選べば良い?
では、塾に通わせる場合、どの塾を選べば良いのでしょうか。
これからの大学受験の性質を考えると、選択肢は絞れてきます。
今から必要なのは、指導の速さと演習量
これからの大学入試に求められる要素は、次の2つです。
1.高校2年生までに、高校3年間の内容を学習できること 2.高校3年間の内容を学習した状態で、実践的な演習を一定量行うこと |
1を実施するのであれば、個別指導塾が良い
高校2年生までは、バランスよく全科目をこなしていくことが重要です。
苦手分野が残った状態で高校3年生を迎えてしまうと、
「問題演習の量を積みたいのに、知識が足りず問題が解けない」状態に陥ります。
そのためには、1人1人の状態を丁寧に見てくれる個別指導がおすすめ。
解けない問題が生まれた時に、その原因がどこにあるのか。
解いている本人が気づくのは難しいです(前の学年の内容まで遡る必要があるかもしれません)。
個別指導であれば、講師が生徒1人1人と向き合い、解けない原因を正しく見つけ、
致命的な苦手になる前に解決することが出来ます。
必ず、塾に入る前に「1人でどんどん先に進められるか、それとも学校準拠か」聞いてください。
大学受験の基本は、高校2年生までに3年間の内容を終わらせること。
「1人でどんどん先に進められる」方が、基本的には大学受験に向いています。
例外として、推薦入試をメインに考えている場合は「学校準拠」の塾を考えた方がよいでしょう。
2を実施するのであれば、自習室のある塾が良い
高校2年生の段階で各科目がバランスよく出来ている場合は、自習室のある塾が良いでしょう。
なぜなら、受験の後半戦で必要なのは次の2つだからです。
・志望校を見据えた適切な問題の提供 ・問題の演習量(=問題を解くのに集中できる環境) |
順調に受験勉強が進んでいれば、高校2年生の段階で高校の内容は終了。
後は、志望校に向けた問題をどれだけ解いたかで、受験の勝敗が決まります。
自習室のある塾を選べば、塾で指定された問題を即座に自習室で解けるため、1年間入試問題を解くことだけに専念できます。
逆に、塾に入ったのに「問題を解くよりも、授業を聞いている時間が長い」場合は要注意。
入試の終盤戦で必要なのは「知識・技能の習得」ではなく「問題演習(の量)」。
高2後半~高3なのに授業メインのコース・内容だった場合、塾の変更を検討しましょう。
中学生・高1生・高2生の大学受験対策のルート
以上をまとめると、大学受験の基本ルートは次の通りです。
高校2年生までと高校3年生で求められるものが変わるので、塾を使い分けることが大事です。
1.高校2年生までは、個別指導塾で「苦手を無くし、高校3年間の内容を終わらせる」。 2.高校3年間の内容が終わった段階で、自習室のある塾に移り、問題演習を中心とする。 |
塾・予備校の冬期講習を受けて、塾の性質を把握する
何のために冬期講習に通うのか
しかし、実際に塾に通わせることを考えると、
「この塾は本当に希望している学習指導を提供してくれるのか」が気になります。
「ホームページ上では良いことを書いていても、実際には……」というのはよくある話。
そこで、塾の「季節講習」を活用しましょう。
初めはとりつくろえても、1ヶ月ほど通えばその塾の特徴が見えてきます。
・1人1人の苦手を解決しようと、心を砕いてくれるか?
・学校の進度よりも速いペースで進ませてくれるのか?
・十分な問題量は解かせてくれるか?
「近所にあるから」、「有名だから」、そういった理由で塾を決めてしまうのはもったいないです。
通う目的に見合った塾かを見定めてから入塾しましょう。
最後に、冬期講習の一例として、武田塾佐賀校の季節講習を宣伝いたします。
武田塾佐賀校の季節講習「冬だけタケダ」
記事執筆者が校舎長を務める「武田塾佐賀校」にも、「冬だけタケダ」という名前の季節講習があります。
大学受験する上での塾選びの参考としてご利用ください。
季節講習「冬だけタケダ」
対象
中学1年生~高校2年生 (高校3年生以上は別記事にて案内しております)
申し込み期間
2021年11月1日(月)~2022年1月31日(月)
実施期間
サービス提供日から1か月間
提供する代表的なサービス
・週1回以上の個別指導
・1ヶ月間佐賀校の自習室利用可
・独自のカリキュラムに基づいた学習状況管理
料金
科目数や個別指導の回数等によって異なります。詳しくはお問合せください。
場所
武田塾佐賀校 (佐賀市駅南本町6-7 第一ウチダビル5F)
※アクセス・設備・自習室について更に知りたい方はこちらの記事を参照してください
申し込み方法
インターネット・電話(0952-37-7767)での相談のお申し込み後、
校舎長が、学習状況などをヒアリングの上、生徒さんの学習プランを提案いたします。
相談の上で納得いただきましたら、契約しサービス開始となります。
「冬だけタケダ」申し込み希望の方や詳細な話を伺いたい方は、以下のボタンからお申し込みください。
記事執筆者紹介
名前
出口純也(でぐち じゅんや)
コメント
はじめまして。武田塾佐賀校の校舎長を務める出口と申します。
教育学の修士号と 中高の教員免許を所有しており、
培った知見とヒアリングを元に最適な学習プランを提案します。