数学必要論~数学を諦めた、あるいは諦めかけている人へ~

中山校・

こんにちは、武田塾中山校です!

筆者はまだ大学生なのですが、同級生の友達なんかとたまに話をしていると、こんな話をよく聞きます。

「高校に入ってから数学が分からなくなったから、数学はあきらめて文系に行った」と。

同級生に限らず、数学に参ってしまった後輩からもよく聞く言葉ですね。

また、それと同時に、周りの大人の方からはこんな言葉もよく聞きます。

「高校数学の知識なんて社会に出ても使わなかった」と。

これもある意味では真実だと思います。高校数学で習ったような微分積分などの知識を直接求められる職種は限られたものでしょう。

なんなら数学Ⅰの序盤で出てくるような二次関数の知識でさえ、知らずとも(あるいは初学者であっても)困ることはないという職種も多いはずです。

となると、数学は難しいからとさじを投げても、人によっては社会で生きていく上ではさほど問題ない科目だということになります。

さて、こんなデータを見てみましょう。

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400066194.pdf#page=12

こちらは、東京大学の学部卒業者(つまり、大学院に行かずに卒業した人)の就職先をまとめたものになります。

2017年度のデータなのでやや古いのですが、東京大学のホームページに載っている最新のものを持ってきているのでご了承ください。

これを見てみると、卒業後の進路は意外にも同学部内であれどかなり幅広い分かれ方をしています。

これらの職種の中には、小売業、各種サービス業など、経済学的な要素こそあれど、専門的な数学の知識を直接は要求しないような職種もあります。

数学Ⅲを受験したであろう理系学部の進路に至っては、その数学Ⅲレベルの微分積分、関数の知識が必要でない道もちらほらと存在しているように見受けられます。

ちなみに、リンク先のページを少し下に行くと、大学院卒業者の進学先も見られるのですが、こちらも幅広く進路が分かれています。

大学院こそ、自分の興味のあることをより専門的に掘り下げるような場所であると思うのですが、就職先はそこで掘り下げたものと必ずしも一致するとは限らないわけです。

理系大学院にもそのような傾向があるところを見ると、やはり数学という学問が必須ではない仕事も、誰に対してもありうると言えるでしょう。

東大の受験者は文理問わず二次試験でも全員数学を受けるので、この人たちは皆、当然数学に関してもすさまじい完成度で臨んでいたことになます。

では、東大を卒業してから数学をほぼ使わない仕事へと進んだ人にとって、数学は無駄なことだったのでしょうか?

いいえ、天下の東京大学ともあろう大学が、無駄なものを受験科目に制定し、その習得を学生に求めるなんて不合理なことは考えられません。

受験数学には、数学的な知識そのものではないところに、それを学ぶ意図が隠されているのです。

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高校数学を通して学ぶべきもの

それでは、実際に数学という学問を通して大学側が受験生の何を見たがっているのかを考えていきましょう。

それは、数学をどう勉強すればいいのかという、受験勉強において最もポピュラーな悩みへの直接の解答となっているはずです。

僕個人の見解だと、数学の試験で得点を獲得するためには、主に以下の4つの力が必要になると考えます。

・情報処理能力

・合理的思考力

・自己管理能力

・説明能力

もちろん、その他求められる条件は大学や個人により様々異なりますが、最低限この4つは必要になってきます。

そしてこれらは、数学という科目に固有のものなのです。

順を追って一つ一つ説明していきましょう。

 

情報処理能力

まず一番上の、情報処理能力です。

これは得られた情報をもとにして、問いに対する解を導くために必要なものを選び出し、使いこなす能力といえます。

これは、受験数学の根本といっていいかもしれません。

数学の試験で出される問題は、全てが初見問題です。問題集で解いたことのある問題がそのまま出る可能性はほぼ0です。

なので当然、それを解くために必要な知識を自分で選ぶ必要があるのです。

しかし、数学において頭に入れる必要のある知識というのは実に膨大です。

問題に対して自分の知識全てを一つ一つ試す、というのは、時間制限のある試験では無謀でしょう。

だから、問題を解くための知識のほかに、問題から情報を読み取り、その情報から必要な知識のあたりをつける力が必要なのです。

この能力は、他科目でも求められるものではあるものの、数学という科目ではとりわけ強く求められています。

というのも、数学以外の科目では、現実に起きていることを式にしたり、実際に使う言葉を掘り下げたり、歴史上の事実をそのまま答えたりします。

しかし数学では、使うのはイメージもしづらく、使い慣れてもいない「数」というもので、しかも一問一答形式で勉強してどうにかなる問題は出ません。

なので数学の試験では、非常にわかりやすく情報処理能力の優劣が現れるのです。

情報処理能力の差は、最初の一手を打つ速さを決定づけます。

その為数学の勉強では、この力を養うという視点を常に持つことが重要です。

 

合理的判断力

次に、合理的処理能力です。

これは簡単に言えば、最適解を求める能力になります。

必要なものを類推していくつか抜き出してくるのが情報処理能力とすれば、これはその抜き出してくる数を少なくする、あるいは候補の中から必要なものを素早く判別する能力にあたりますね。

これも数学固有と言ってしまっていいかもしれませんね。

他科目と違い、数学は一般常識や感覚的なイメージがあまり意味をなさないからです。

まあそれもそのはず、数学はもともと、そういった常識や現実を数字として定義するところから始まった学問なのですから。

ともかく、そういった背景のある数学においては、偶然持っていた教養で閃けるということはほぼ起こりません。

どんな閃きも、手にした情報をいかに「合理的」に処理するかにかかっているのです。

それゆえ、数学における合理的思考力は非常に重要な要素なのです。

さらに言えば、これは無数のアプローチの中から斬新な角度で問題に向き合うという応用力にもつながります。

この応用力もまた、初めて向き合う様々な問題を自らの手で解決できる力という意味で、非常に大事なものです。

なんなら、数学に限らずどんな場面にも使える力といえるでしょう。

 

自己管理能力

次に自己管理能力です。

これは数学に限らず求められる能力ではあるのですが、数学によって磨かれる部分が大きいように感じます。

というのも、数学の問題で解けるか否かはどこで決まるのかというと、先ほどまでに解説した情報処理能力と合理的思考力でほぼ決定づけられるわけです。

ところで、大学側は、平均点や偏差値に信用性が出るように、最低スコア者と最高スコア者の差を小さく、かつ半分の点数あたりにとどめようとする場合が多いです。

それを実現するために、どんな手法をとっていると思いますか?

答えは「まず間違いなく解けない問題」を作る、というものです。

難易度的な問題や、制限時間的な問題として、このような問題が登場する機会は非常に多いと思います。

これが俗にいう「捨て問」というやつです。

この捨て問への対応力に直結するものこそが、自己管理能力です。

つまり、自分の能力では時間内に解けない問題を瞬時に見分ける力と言えます。

この自己管理能力は、受験本番の際のところでかなり大きく影響してきます。

例えば、受験生全員が同じ情報処理能力と合理的思考力を持っているとします。

つまり、全員がある一定の難易度の問題までは同じ速度で解ききれるとするわけです。

このとき、「捨て問」は全員解けません。

しかし、無理矢理解こうとする人と諦められる人とでは、「解ける問題」に回せる時間に差が生まれます。

そうすると、後者の人は、「解ける問題」を全て解ききれる可能性が高くなります。

逆に前者は、解ける問題をみすみす逃してしまうことになりかねません。

点数の差が、まさにこの自己管理能力によって現れることが分かるでしょうか?

つまり、同程度の問題が解ける人たちと点数で争うなら、最終的には自己管理能力が勝負を決めることになるんです。

さらに、「解ける問題」に対するアプローチという意味では、もう一つ自己管理能力が大きく影響する部分があります。

それはケアレスミスへの対処です。

普段ならしないミスでも、普段から対策することはできます。

原因は油断も焦りも含めて様々なので、一概にこれをすればいいという対策が存在するわけではありません。

しかし、できるだけ大きな目線で、ミスの原因が自分のどんな性格によるものかというレベルまで掘り下げることはできます。

それをすることは、自己分析をして、自分の苦手が何に起因しているかを突き止めて、それに一つ一つ対応していくことと同じです。

これはまさに「自己管理能力」と呼べるでしょう。

凡ミスを「仕方ない」で流し、自己管理をしない人は、こと数学においては痛い目を見てしまいます。これは確実です。

 

説明能力

最後に、説明能力です。

これは国語のレベルじゃないの?と感じる方もいるかもしれませんが、何かを説明する能力は数学にこそ集約されると思っています。

なぜなら、数学においては、わずかでも曖昧な知識は一切言語化できないからです。

数学は基本的に数と専門単語によって構成される学問です。そして、論理的に正しいかが物事の絶対的な基準です。

論理が全ての基準となる世界では、論理的に曖昧なものを説明できるはずがありません。言語化できないなら当然ですよね。

しかしながら、数学の試験は多くの大学の二次試験では記述式が採用されています。

記述式というのは、論理的に説明させる形式です。なので、「説明」ができないと、記述式の問題が解けないということになります。

解くためには、論理立てて物事を理解し、その一つ一つの知識をさらに論理で説明する能力が必要です。

これは、自らの主張が正しさを示す証拠を見つけていく能力といってもよく、これこそが本当の意味で求められる説明能力なのです。

 

受験数学がなぜ必要なのか?

さて、ここまで受験数学の問題を解くための能力についてお話してきました。

ところで、こうして分解してみてみると、数学によって養われる力はどんな仕事にも役立つことだと思いませんか?

誰かに与えられた仕事を分析し、それを解決するためにしなければならないことをいち早く見つけ、自分の能力を理解して振る舞い、仕事について会議をするときは自分の主張を根拠をもって貫く…。

あるいは、自営業なら、自分がもうけを出すために社会を分析し、必要なものを最小コストで揃え、自社の価値を理解した振る舞いをし、従業員を論理的な説明で引き付けていく、という行為。

これらは全て、上に挙げた4つの能力値によって熟練度が大きく左右されるのです。

どんな局面でも、受験数学において要求される能力は、社会に出て仕事のできる人間になるためには必要なことなのです。

 

まとめ

最後に、もう一度断っておきますが、「受験数学」で学ぶべきことは、数学の知識より、数学の問題を解くために磨くべき力の方が大事だと思っています。

数学を大学以降で専門的に学ぶ人たちは、そういったスキルを磨くという意味で数学を捉えてはいないかもしれません。

自分の将来像に合わせて数学を学ぶ目的はもちろん変わってきますが、その目的が何であれ、受験数学というのはやっておいて損のないことなのです。

上に挙げてきた能力を具体的にどう磨くかは、自分の好きな勉強方法にもよってきます。

また、独学の人は自分なりに見つけていけばいいし、自分だけの方法が確立できていないのであれば、人に聞いたり塾に通えばいいのです。

この記事で言いたかったことは、どうやって数学を磨き上げるかということでなく、

数学の勉強がなぜ必要だったのか

ということです。

数学を諦めてしまった人、あるいは諦めかけている人へ。

この記事を読んでくれたのなら、受験数学が何を要求している学問なのかをもう一度捉えなおしてみませんか?

そうすれば、嫌っていた数学という学問に、あるいは能動的に取り組めるようになるかもしれません。

あわよくば、その勢いで数学が好きになってくれないかと、いち理系としては思うのでした。おしまい。

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