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現役東大生の旧帝大比較

現役東大生の旧帝大比較

武蔵小杉校の講師Mです。

現在は東大の大学院に所属していますが、難関国公立を目指している参考として、旧帝大の紹介をしていきます。

 

  1. 東京大学
  2. 京都大学
  3. 東北大学
  4. 九州大学
  5. 北海道大学
  6. 大阪大学
  7. 名古屋大学

 

この七大学を合わせて旧七帝大と呼びます。旧帝大というのは、大日本帝国時代の日本が設置した当時唯一の国立大学のことを指していますが、名前が今の呼び方に変わった後も戦前から続く伝統のあるブランドを指す言葉としてこの呼び方が使われます。

 

 

他の国公立大学はどう違う?

志望校を選ぶために大学を比較するときは、偏差値だけで比べるのではなく、大学ごとにどういった特徴があるのかを見ることが重要です。比較として、まず他の国立大学の場合はどうでしょうか。たとえば横浜国立大学が高等師範学校と工業専門学校の統合によって設立したように、旧帝大ではない多くの国立大学は、小学校や中学校の教員を養成する師範学校や、工業系や商業系など専門的な職業の技能を習得する専門学校などが戦後にまとまって、ひとつの国公立大学として設立されています。

 

そのため、それぞれの大学には特に地域的な強みのある学部や学科があることが多く、特定の分野や地元の企業に関して特に就職に強かったり、地元の市民から愛されることで地域と大学が協同して進める研究が進んでいるなど、ユニークな魅力がたくさんある大学が多いです。

 

旧帝大の特徴は?

対して、旧帝大の特色とは何でしょうか。ひとつは、冒頭で説明したような長い歴史的な背景を持つ伝統的な大学だということがあります。もうひとつ注目したいのは、他の国公立大学と比較しても、多くの専門学部が集まっていることで幅広い教養教育を受けられることがあります。

 

大学に入れば自分の専門学部、法学なら法学、数学なら数学、文学なら文学の専門の教育を4年間をかけて受けることになりますが、多くの学部では、1・2年生は並行して自分の教養を拡げるために一般教養科目として、自分の専門領域を超えて自由に授業を受けることになります。それは研究者として自分の専門に入る前に、幅広い学問の教養を身につけることが大事だと考えられていることと、学部を卒業したあとも社会人として通用する教養を身につけさせることが大学教育の課題でもあると考えられているからです。

 

分かりやすい例を考えてみましょう。多くの大学では(たとえ理系学部でも)、第二外国語として英語以外にフランス語やドイツ語、中国語を学ぶことになります。そのときに、大きな旧帝大であるほど選べる時間割の選択肢が多かったり、基礎的な授業のあとにも様々な専門的カリキュラムを組むことが出来るのです。大学によっては、外国語学科が充実しているために、マイナー言語を学べたりするので調べてみると面白いと思います。言語以外の例で言えば、一般教養の授業で社会人として実績を上げた有名な人の授業が開講されていることも珍しくはありません。そのようにして一般教養の授業は、学問の専門的な議論に新しい視点を招き入れる役割も担っているのですが、大きな大学であるほど、その分野で著名な講師に出会える機会が多くなります。

 

学部紹介

それぞれの大学にどんな学部があるか見てみましょう。

 

北海道大学

文学部 

教育学部

法学部

理学部

医学部(医学科・保健学科)

歯学部

薬学部

工学部

獣医学部

水産学部

 

東北大学

文学部

教育学部

法学部

経済学部

理学部

医学部

歯学部

薬学部

工学部

農学部

 

東京大学

法学部

医学部

工学部

文学部

理学部

農学部

経済学部

教養学部

教育学部

薬学部

 

名古屋大学

文学部

教育学部

法学部

経済学部

情報学部

理学部

医学部

工学部

農学部

 

京都大学

総合人間科学部

文学部

教育学部

法学部

経済学部

理学部

医学部

薬学部

工学部

農学部

 

大阪大学

文学部

人間科学部

外国語学部

法学部

経済学部

理学部

医学部

歯学部

薬学部

工学部

基礎工学部

 

九州大学

共創学部

文学部

教育学部

法学部

経済学部

理学部

医学部

歯学部

薬学部

工学部

芸術工学部

農学部

21世紀プログラム

 

こうして並べてみると、オーソドックスな名前の学部名が連なっていて、一見どこも同じように思えます。歴史のあるほど伝統的な学部の名前を尊重しているために、逆に時代によって変化してきた学部ごとの特徴が名前からは見えにくい実情があります。

しかし、同じ名前の学部でも中身の学科ごとにそれぞれ大きく毛色は違っているため、学部の名前よりも学科の中身まで見てもらうほうがより具体的にどういうことが学べるかの違いが分かると思います。学部の名前は学問を総称するときの名称になるので、逆に言うと学問の全体像が分かるくらいに詳しくならなければその学部がどういうところか想像するのは、難しいです。

ですから、旧帝大から志望校を探している方は、ゼミや研究室のホームページを除いて雰囲気を見てみたり、教授が書いた論文のテーマであったり、なるべく具体的な情報から、自分が行こうか考えている学科の情報を集めてみましょう。そうやって大学の情報を集めてみると、案外と試験問題の傾向も見えてきます。

 

理系と文系という分け方はよくされますが、旧帝大には理系も文系も充分に幅広く学部が揃っています。他の文系大学や理系大学とは違い、サークルや学部を横断して受講する授業などで、自分と全く違う分野の勉強をして就職していく友達が出来ることも大きな魅力のひとつです。理系の学部に入っても、才能のある若いアーティストと友達になれたり、文系の学部に入っても将来、世界の最先端の技術者になる人と友達になることは普通にあることです。幅広い繋がりを持つチャンスがあることは旧帝大に限らないことですが、総合大学の大きな魅力と言えるでしょう。

 

各大学の簡単な特徴

それでは各大学の特徴を簡単に見てみましょう。当然、何万人の人たちが通う大学のことを網羅的に話すことは出来ないですが、各大学の中でも筆者が気になる特徴をあげていきます。

 

北海道大学

北海道札幌市に本部があり、キャンパスの敷地面積は日本一です。北海道大学はもともと北海道開拓の指導者を育てることを目的にした札幌農学校が帝国大学になる前の前身としてあります。農学校だから農学部の農業が特に優れているはずだ! と早合点してはいけません。北海道開拓の指導者を育てるというかつての理念は、理学や工学など自然科学全般のみならず、人文・社会学にも力を入れた総合教育の伝統を作ってきたため、現在でも幅広い総合大学としての豊かな環境を持っています。

 

それぞれの学部・学科に北海道ならではの研究をしている場所があり、伸び伸びしたキャンパスで思いも寄らない研究に身を投じることも魅力のひとつです。それから、日本で唯一の獣医学部があることも有名で多くの受験生がここを目指して猛勉強をしています。

 

北海道大学には総合入試という制度もあり、理系と文系それぞれでひとまず大学に入って教養科目などを勉強してから専門を選ぶことが出来る制度があります。高校生の時点で大学の専門を決めることはなかなか難しいなか、大学レベルの勉強がどういうものかを知った上で専門を決めることの出来る珍しい制度です。

 

東北大学

東北大学は宮城県仙台市にあります。キャンパスは、片平キャンパス、川内キャンパス、青葉山キャンパス、星稜キャンパス、三神峯キャンパスに分かれていますが、全て仙台市内にあります。

 

東北地方に住んでいる優秀な学生が集まる大学で、実際には大阪大学と争う難関国公立大学です。科研費競争も大阪大学と3位を争うなど、研究環境も充実しています。特に工学部系の理系学部が充実していることで有名です。

 

東北大学には大学発ベンチャーを支援する制度が整っていたり、短期留学など活発な国際交流を行なっているなど、大学が教室に閉じこもらず活発に外部との交流を推進しているアクティブな特徴を持っていることが分かります。「門戸開放」と呼ばれているのは、日本の国立総合大学ではじめて男女共学を実現したことや、旧帝大時代に旧制高校を卒業していなくても入学を認めていたことなど、伝統的に様々な学生に開かれた大学を作ってきたということを言っています。

 

東京大学

東京大学は大きく駒場と本郷にキャンパスが分かれています。1年生と2年生の間は駒場キャンパスで自分の興味のある分野の基礎的な授業を受けることになります。そのあと、3年生からは(一部の専門分野を除いて)本郷キャンパスでそれぞれ専門的な学問分野の勉強をすることになります。

東大には他の大学にない3年生に進級する際に専門分野を選択する進振り制度と呼ばれる独自の制度があります。受験の際には文科Ⅰ類・文科Ⅱ類・文科Ⅲ類、理科Ⅰ類、理科Ⅱ類、理科Ⅲ類の大まかな分類で入学をしますが、そのあと3年生に進級する際に自分の希望する専門分野のコースを選択することになります。その際、科類の違いによって入りたい専門のコースに入れるかどうかの難易度に若干の差があることになりますが、希望によっては入学時の大まかな分類とは大きく違う分野の専門へ進むことも可能です。受験時にはなかなか把握し辛い専門的な学問がどういうものかを知った上で自分の専門を決めることが出来る東大ならではのシステムです。ですので、大きく1・2年生は駒場、3・4年生は本郷という括りになるのです。

 

東大は最高学府としてあらゆる分野の学問が日本最高峰の水準で学べる場所になっていますが、同時に教養を重んじるところがあり、駒場での教養教育を終えたあとも、他学部の授業を履修出来る制度があったり、分野横断的、学際的に自分の問題関心の枝をドンドンと拡げていくことの出来る環境になっています。

 

名古屋

名古屋大学は愛知県名古屋市にある大学で、その立地から東海地方だけでなく関東や近畿圏からも多くの受験生が集まります。

 

名古屋大学は、2001年以降の日本人ノーベル賞受賞者の13人の内6人が名古屋大学の関係者でもあり、特に名古屋大学の理学部は人気がある学部です。それから2017年には新しい時代に対応した情報学部が新設され、コンピューターサイエンスからメディア論や認知・心理学まで、情報という現代の重要な概念を巡って幅広いアプローチから学ぶことが出来る環境も出来ました。

 

それから近年では日本社会のジャンダー問題(性別、人種などで社会的な格差・差別が生まれること)がニュースで取り沙汰されています。残念ながら多くの大学組織にも、まだまだ古い体質は残っているものです。名古屋大学は率先してジェンダー問題の改善に取り組んできたことが評価され、「ジェンダー平等・女性の活躍推進を進める世界の10大学」に選ばれています。

 

京都大学

京都大学は、宇治キャンパスと桂キャンパスに一部の大学院があるのみで、ほぼ全ての学部が吉田キャンパスで学びます。

 

京都大学と言えば、ニュースでよく見る卒業式の風景や、独特の学生寮など、偏差値の高さとともに「自由」なイメージを持っている人が多いと思います。学生たちの間で各学部に代々続く別称が与えられていたり、伝統のある校風を学生たちがいまになっても受け継いでいることが、「自由」のひとつの大きな要因でもあると思います。

 

また、京大の学部生からの大学院進学率は国立大学の中でも特に高く、東京大学よりも高いと言われています。学問を更に先まで極める姿勢が学生の間に広がっていて、意識の高い環境で学べることは、研究者志望ではない学生にとっても有意義なことだと思います。

 

また、京都市はいろいろなところに自転車で行くことが出来るので、キャンパス内だけでなく自転車で移動する学生が多いこともひとつの特徴です。

 

大阪大学

大阪大学には豊中キャンパス、吹田キャンパス、箕面キャンパスの3つのキャンパスがあります。それぞれ学部ごとに、豊中キャンパスには文学部、法学部、経済学部、理学部、基礎工学部、吹田キャンパスには人間科学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、箕面キャンパスには外国語学部と分かれています。もともと大阪外国語大学が大阪大学に統合されたために、外国語学部だけが別のキャンパスに位置しているのですが、逆に言うと大阪大学では外大並みにマイナーな言語も含めた語学の授業を受けることが出来ます

 

大阪大学では、現在朝日新聞の日々の言葉を書いている鷲田清一さんが元総長でした。鷲田さんは哲学・ファッション研究で有名ですが、哲学カフェという全国で広がっている試みを始めたのも大阪大学時代が始まりで、そうしたこともあってか、学生の間で議論をする雰囲気が他の大学と比べて高いことも印象的です。

 

大阪大学には、有名なアンドロイド研究者の石黒浩先生がいますが、その石黒先生と劇作家・演出家の平田オリザ特任教授と共同で進めるロボット演劇プロジェクトなどが数年前に話題になりました。このように最新の理系の技術と文系の知が共同して、新たな研究プロジェクトを進めていく風土が大阪大学の環境にあることも大きな特徴です。

 

九州大学

九州大学は福岡県福岡市にある大学で、九州の東大と言われるくらい地元の間で評判の良い大学です。九州大学には共創学部や芸術工学部、21世紀プログラムなど聞き慣れない名前の学部が多いことは特徴のひとつです。

 

それぞれの学部を見ていくと共創学部は「構想」「協働」「経験」というプロセスを通して複雑・多様化するグローバル社会に対応する力を身につける学部として、英語で学び、英語で会話する学部として2018年より新設されています。文・理融合で、実践的な課題解決に向かう国立大学としては珍しい現代的な学部です。

 

2003年には九州芸術工科大学を統合し、新たな学部として芸術工学部を創設しました。いわゆる文学部よりも、デザイナーなど技術的な分野に特化しているところが特徴です。また21世紀プログラムには、決められたカリキュラムがなく、教員による個別指導のかたちを取るチュートリアル・システムを用いながら学部や分野を横断して学生が自律的に研究を進めていく新しい学科となっています。

 

九州大学は、このように新たな学部を設けながら現在も発展を続ける大学ですが、逆に工学部は非常に大きく伝統的に有名です。様々な基礎的分野が揃いながら、地球環境工学科、機械航空工学科と他の大学にはない専門に特化した学科があることが大きく全国から学生が集まってきます。

 

まとめ

このように旧帝大と呼ばれる難関国立大学は、総合大学として様々な学部が集まっていることを生かした特徴があります。教養を重視して専門は入学後に決められるシステムを作っているところや、グローバル化に合わせた国際性に力を入れていたり、文理を超えたプロジェクトや産学協同のプロジェクトを進めることでより実践的な取り組みをしているところなど、各大学の特徴はどんどん豊かに発展しています。

 

ここで紹介しきれなかった特徴はたくさんあります。旧帝大のキャンパスはとにかくどこも広いです。大きなキャンパスに足を踏み入れると、たくさんの外国人留学生や研究者が行き来していて、どこか別の国に来たかのように感じる人もいるかもしれません。大学生活を主に過ごす場所はキャンパスの一部で、あまり知られてない学問が小さな場所で脈々と受け継がれて大きな世界的成果をあげていることも珍しいことではないのです。大学の学部、そして学科を調べてみることは宝探しに近いので、ぜひこの記事をきっかけに調べてみてください。

 

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