こんにちは。武田塾北大路校講師の福島です。
今回は化学の解説をしていきます。実際に私が解いてみた受けた印象や、この模試を通して受験生の皆さんが意識すべきことを述べようと思います。
それでは早速大問別に分析していきましょう。
化学（理科②）
第１問
第１問は主に化学基礎で学習した内容に関する問題でした。
問１では化学基礎で学習した事項を包括的に理解していることが必要とされます。問１のように誤りを含むものを選ぶ問題はセンター試験においても頻出だったので、各分野の基礎知識の抜けを無くしていきましょう。
問２,問３は質量パーセント濃度とモル濃度の関係を正しく理解しているかが問われました。この手の計算は無機化学をはじめとする高校化学の様々な分野で現れるので、できなかった人は類題をこなしてスラスラとできるようにしてください。
問４-問６は化学反応式を正しく読み解く問題です。原子の数や物質量に関する方程式を左辺と右辺を比較してたてましょう。計算ミスを防ぐためには簡単な１次方程式でも落ち着いて書いて計算することが大切です。
問７-問９は理論化学における気体に関する出題です。特に問７問８は気液平衡にある物質は何なのかに着目して、各物質の分圧をそれぞれ比較する基礎問題なので確実にできるようにしておきましょう。
第２問
第２問は理論化学の物質の三態に関する基礎問題です。
問１-問３は状態図を正確に読み解くことが必要です。状態図における各点、各線がどの物質のどの状態にあるのかを把握しましょう。
問４,問５は二酸化炭素の三態に関する問題です。物質の状態図は液体、気体、液体と気体が区別できない領域、固体に分けられます。慣れない間はこれらを書き込んで問題で示されている部分が図ではどこに当たるのかを把握しましょう。どちらも基礎的な問題なので間違えた場合は状態図の復習をしてください。
第３問
第３問は理論化学の結晶構造に関する出題です。
問１-問３は面心立方格子に関する問題です。高校化学で問われる金属結晶の結晶構造はほぼ面心立方格子、体心立方格子、六方最密構造で尽きてしまいます。これらの中心間距離や格子の大きさの関係や、接している原子はそれぞれ定まっているので、類題を解いて抑えておきましょう。
問４-問６は塩化ナトリウムの結晶構造から密度等を計算する問題です。イオン結晶に関しても金属結晶と同様に格子間距離や密度など計算させる量は決まっているので、計算の流れをマスターすればこのタイプの問題はほとんど対応できるようになります。
第４問
第４問は主に凝固点降下に関する問題です。
凝固点降下を求める上で重要な質量モル濃度を正しく計算できるようにしておきましょう。問１と問４は難溶性易溶性を見極める基準を問われています。溶媒と溶質によって例外はありますが、何が親水基であるか、分子の極性と解けやすさの関係等を一通り復習して対応できるようにしましょう。
第５問
第５問はコロイドや浸透圧に関する出題です。
問１-問３で必要なのはコロイドに関する基礎知識なので間違えた場合はもう一度参考書等を見直してください。
問４は浸透圧がモル濃度、気体定数、絶対温度の積であることに注意して丁寧に計算しましょう。
総括
共通テストを意識したマーク模試ということで、出題形式は基本的にセンター試験を踏襲しています。しかし例えば第１問 問９や第２問 問２をはじめとして、基本的な知識を問うてはいるが解答にたどり着くまでには１ステップ考察を挟まないといけないような問題がセンター試験に比べて多いように感じました。模試であるが故にという部分もあるかもしれませんが、共通テストは思考力を問う試験を謳っていることもあり、本番もこのような傾向になることは十分に考えられます。対策として基本的な知識を固める部分は変わりありませんが、演習問題を解くときはより解答に至るまでの道筋を意識して学習していきましょう。
また、この模試は実施時期が６月ということもあり、出題範囲は化学基礎の範囲と理論化学が主でした。本番はこれに加え無機化学や有機化学も出題されるので、それに対する対策も今後必要になると思います。そう考えるとこの模試での点数が、この調子で勉強していった時に本番で獲得できる点数の目安になるでしょう。自分が目指している点数と現状がどの程度乖離しているか把握して、今後化学の勉強にどれほど注力すべきか理解しましょう。
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