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1月のテーマ「現代文の小説ってどうやって解いたらいいの?」

はじめに

皆さんこんにちは!

埼玉県久喜市にある予備校、武田塾久喜校です!

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1月も半ば、本当に寒い日が続いていますね。

さて、今回は現代文の小説の解き方についてお話していきたいと思います。

(※このブログは以下に述べる「国語の問題の解き方」が正解で、他のやり方は間違っていると主張するものではありません。国語の問題の解き方が分からない、うまく解けないからどんな風に解いたらいいか考えたいという方の参考にしてもらうことを意図して書いています。)

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現代文の小説ってどうやって解いたらいいの?

現代文の小説で求められる力は大きく分けて以下の2つです。

①場面展開を理解する力 

②登場人物の心情の変化を追う力

小説というのは基本的に出来事の連続で構成されています。主人公がただ黙ってそこにいるだけ、それで終わりなんて小説はありません。小説の中では自分の家に来客が来てその応対をするだとか、電車に乗るだとか、火事が起きるだとかそういった「出来事」が次々と発生します。小説を読む上ではまず、それら出来事の展開を正しくとらえられることが重要です。基礎的なことですが、初歩から確認していきましょう。

①場面展開を理解する力

夏目漱石の『吾輩は猫である』を例に考えます。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々をえてて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼のに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。その猫にもだいぶったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうとを吹く。どうもせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌のでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。

 

この中でも出来事が連続して展開していきます。しかし、ただ単に出来事の描写が連なっているわけではありません。間々に当時の「吾輩」の心情や現在の「吾輩」の言葉が挟まっています。ここでいったん出来事を表している文を追ってみましょう。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々をえてて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼のに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。その猫にもだいぶったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうとを吹く。どうもせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌のでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。

これらの文を追ってみると、以下のような出来事が連続して起こっていることが分かります。

薄暗いじめじめした所で泣いている

➝その時に人間に出くわす

  ➝人間が自分を掌にのせて持ち上げる

   ➝掌の上で人間の顔を観察する

    ➝人間が鼻から煙を吐く

     ➝人間の掌の裏で座っている

      ➝人間が自分を抱えて動き出す

       ➝人間が自分を落とし、目から火がでて(目の前がチカチカして)気を失う

ちなみにはじめて見た人間が書生という人間中で一番獰悪な種族であったことは後で聞いたことです。先に記述した出来事の連続中に起こったことではありません。つまり、もう少し詳しく記述すると

薄暗いじめじめした所で泣いている

➝その時に人間に出くわす

 ➝人間が自分を掌にのせて持ち上げる

  ➝掌の上で人間の顔を観察する

   ➝人間の掌の裏で座っている

    ➝人間が自分を抱えて動き出す

     ➝人間が自分を落とし、目から火がでて(目の前がチカチカして)気を失う

      ………➝自分がはじめて見た人間が書生という人間中で一番獰悪な種族だったと知る

といった流れになります。小説は回想シーンが挟まったり、回想シーンの途中で現在の主人公(視点人物)の感想が挿入されたりします。

 

小説を読むときはどのような時系列で何が起こったのか、頭の中で1つ1つ整理しながら読んでいきます。

 

このようにして作中で起こった出来事の展開を正しくとらえていくのが小説読解の第一歩です。

 

②登場人物の心情の変化を追う力

では今度は『吾輩は猫である』の「吾輩」の心情を推定してみましょう。今度は心情を表す部分をおおまかに追ってみます。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々をえてて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼のに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。その猫にもだいぶったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうとを吹く。どうもせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌のでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。

 

「ーと思った」といったわかりやすい心情表現がたくさん出てきていますね。では、これをさっきの出来事と合わせてみてみましょう。

 

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々をえてて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼のに載せられてスーと持ち上げられた何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。その猫にもだいぶったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうとを吹く。どうもせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌のでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗に眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。

 

ここから、わかる範囲でそれぞれの出来事が起こった際の「吾輩」の心情を推定してみましょう。

薄暗いじめじめした所で泣いている

➝その時に人間に出くわす【別段恐ろしいとは思わなかった】

 ➝人間が自分を掌にのせて持ち上げる【何だかフワフワした感じがあった】

  ➝掌の上で【少し落ち着く】人間の顔を観察する【妙なものだと思う】

   ➝人間が鼻から煙を吐く【咽せぽくて弱る(困る)】

    ➝人間の掌の裏で座っている【よい心地だと思う】

     ➝人間が自分を抱えて動き出す【到底助からないと思う】

      ➝人間が自分を落とし、目から火がでて(目の前がチカチカして)気を失う

 

といった心情の流れを見つけることができます。

つまり、小説は出来事の連続があり、それに伴う心情の変化の連続がある、というわけです。それら2つを追っていくのが小説読解です。

 

+α 行動と心情を結び付ける力

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「エアコンをつける」「踵を返す」「にらみつける」といった行動を私たちが起こすのはなぜでしょうか。「エアコンをつける」のは寒いと思ったから、「踵を返す」のは嫌なものが目の前にあった、もしくはなにか忘れたことに気づいたから、「にらみつける」のは対象に嫌悪感を抱いたからでしょう。基本的に心情と行動は表裏一体です。

再度、『吾輩は猫である』の場面を例にとって考えてみましょう。

(「吾輩」は書生によって笹原の中へ棄てられ、やっとのことでそこから這い出してとある邸の中に入り込む。)

今から考えるとその時はすでに家の内に這入っておったのだ。ここで吾輩はの書生以外の人間を再び見るべき機会に遭遇したのである。第一に逢ったのがおさんである。これは前の書生より一層乱暴な方で吾輩を見るや否やいきなり頸筋をつかんで表へり出した。いやこれは駄目だと思ったから眼をねぶって運を天に任せていた。しかしひもじいのと寒いのにはどうしても我慢が出来ん。吾輩は再びおさんのを見て台所へった。すると間もなくまた投げ出された。吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。その時におさんと云う者はつくづくいやになった。この間おさんの三馬んでこの返報をしてやってから、やっと胸のが下りた。吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、このの主人が騒々しい何だといいながら出て来た。下女は吾輩をぶら下げて主人の方へ向けてこの宿なしの小猫がいくら出しても出しても御台所って来て困りますという。主人は鼻の下の黒い毛をりながら吾輩の顔をしばらくめておったが、やがてそんなら内へ置いてやれといったまま奥へ這入ってしまった。主人はあまり口を聞かぬ人と見えた。下女は口惜しそうに吾輩を台所へり出した。かくして吾輩はついにこのを自分の住家める事にしたのである。

 

「吾輩」が何度投げ出されながらも台所へ這い上ったのはひもじい(おなかがすいた)のと寒いのが我慢できないからです。小説の問題では青のマーカーの部分に傍線が引っ張ってあって、「このような行動をとったのはなぜか答えなさい」という問題が出たりします。これは直前にその行動に至った心情がそのまま書いてあるのでわかりやすいですが、行動の原因となる心情が遠くに書かれていたり、「嬉しい」「悲しい」といったような直接的な言葉で描写されていないことがしばしばあります。

しかし、心情と行動は表裏一体です。その行動をとったのには必ず何かしらの心情が理由としてあるのです。

そして、小説問題にはかならずどこかに根拠となる文が隠されています。それを探して答えていけるとよいでしょう…!

では1つ問題を出してみましょう。おさんが「吾輩」を見るや否やいきなり頸筋をつかんで表へり出したのはなぜでしょうか。

 

答えは、簡単に言えば子猫が台所に入ってくるのが嫌だったからです。根拠となる文は「下女は吾輩をぶら下げて主人の方へ向けてこの宿なしの小猫がいくら出しても出しても御台所って来て困りますという。」です。ここに、表へり出すというおさんの行動の理由となる心情がはっきりと書かれています。台所に入ってくるのが嫌だから、入ってきた猫をり出す。心情と行動の間に不自然さはなさそうですね。

なんとなく「猫が嫌いだったのかな?」なんて考えてはいけません。確かに猫が嫌いなら頸筋をつかんで表へり出したりもするでしょう。心情と行動の間に不自然さは無いように思います。しかし、本文中におさんが猫を嫌っている描写はありません。小説の問題を解くときは、あくまで本文中の記述を根拠に回答をできるとよいでしょう。

 

コラム

小説がどうしても苦手な人はまず自分が出来事の展開を理解できていないのか、心情の変化を捉えられていないのかを把握しましょう。

出来事の展開を捉えられていないなら、本文中の語を1つ1つ丁寧に見ていくことをおすすめします。回想に入るシーンの「"当時"、私は…」といった言葉がを見落としてはいませんか?回想シーンに挟まれている「あの行動はバカだった。"今なら"わかる」といった語を見落としてはいないでしょうか。また、起こった出来事は時系列順に頭の中で整理していくとうまく場面展開を理解できるかもしれません。

心情の変化を捉えられていないならば、まず心情がわかりそうな表現を抜き出してみましょう。「嬉しい」「悲しい」といった直接的な表現以外にも、「目をそらした」や「頭をかいた」といった表現も一種の心情表現です。そこからどんな心情が読み取れるか、考えてみましょう。そして、それがどの出来事と結びついているのか考えてみましょう。

それらはできるけど、小説の点が取れない人は、短めの小説を1つ持ってきて、それの考察をしてみましょう。なぜここではこんな描写がされているんだろう、なぜこんな行動をとったんだろう、なぜ彼はこういったのだろう。ここでいう考察とは「なんとなく」ではなく本文を根拠としてなにかしらの回答を出すことです。それをやっていくと、小説の問題の解き方がつかめるかもしれません。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

このブログが皆さんの現代文の勉強の一助になりましたら幸いです。

 

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