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「学校9月入学案は検討不十分」すぐに変えられない理由【後編】

こんにちは、武田塾小牧校です。

コロナウイルスの影響により、学校は4月、5月とずるずると休校が決まってきています。そして、昨今、学校の9月入学案が浮上してきました。今回はこの「9月入学案」を批判的に検討します。

なお、前編と後編に分けて執筆しています。前編をご覧になっていない方は、先にそちらからご覧ください。

「学校9月入学案は検討不十分」すぐに変えられない理由【前編】

 

目次

  1. 教育の機会均等と入試の側面
    1. 本当に差は出てきているのか?
    2. 具体的にどんな差が出てきているか?
  2. オリンピックと入試の被り
  3. 甲子園やスポーツ大会と入試の被り
  4. 我々が今考えないといけないこと

 

教育の機会均等と入試の側面

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「教育の機会均等」は昔からよく言われています。最近ではSDGsにおいて、教育は「質の高い教育をみんなに:すべての課題解決のために」と掲げ、「2030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果 的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。」ことなどが挙げられています。

学校が休校になってから空いた期間は、地域や学校によって差が出てきているでしょう。ですが、考えてみましょう。

 

本当に差は出てきているのか?

今議論されている方は、皆さんマクロな視点から物事が語られています。教育を考えるのであれば、コロナの影響で本当に差が出てきているかという点から考える必要があるのではないでしょうか。

東京大学の本田先生は以下のようにコメントをしています。

これまでも日本には家庭背景や進学先の高校・大学の教育環境によって巨大な「教育格差」が存在してきたのだが、行政が一応平等な義務教育機会を保障していることを標榜できたことで、格差は「能力」「学力」の差に媒介されて「仕方ないね」扱いされてきた。

しかし、コロナ流行下では、地域間や設置者間での対応の相違により教育提供者側が大きな教育格差や学習の欠落を生み出しており、これまでの「仕方ないね」扱いが通用しない状況をもたらしている。

特に中高の受験生にとっては、とうてい容認できない状態になっているだろう。その対応をどうするか。それは卒業時期を半年延期することによっては解決されない。

重要なのは、すでに教育の格差や欠落が2ヶ月間、そして今後もさらに生じていることだ。どう考えても本人の責任とは言えない教育格差に対応するためには、少なくとも直近の高校や大学の選抜方法を変更することが必要なのではないか。

 

例えば、Studysapuriは学校が申請することで中学生や高校生は無料で動画を見て学習の機会を保証しようとしました。しかし、皆がこのような機会が保証されているとは限らないでしょう。

具体的に、地域や設置者間での対応の違いと、それによって格差は出てきているか、ミクロな視点から考える必要があるでしょう。

 

具体的にどんな差が出てきているか?

ではミクロな視点になった時、どのような差が出てきているのでしょうか。

まず挙げられる点として、『みんながみんなネット環境があるわけではないし、PCやタブレットを持っていない子どももいる』が挙げられるでしょう。

しかし、これは地域格差ではありません。「東京都」と「田舎」で変わることは何かは議論が必要です。

 

『私立学校の方が家庭にオンライン授業などをしており、公立学校では学習の遅れが出る』

私立学校でもオンライン授業をしている学校もあれば、していない学校もあります。ここで考えなければならないことは、「オンライン授業をしているか否かで、学習の遅れは本当に出るのか?」です。授業を受けられないのはみんな同じです。

しかし、この数ヶ月の空白を急いで埋めることはナンセンスにも感じます。というのも、夏休みに詰め込んだところで子どもたちに学びは起きているのでしょうか。とはいえ、だから9月入学というのも安直です。

オンラインでできることとできないことを見極めること、できることをやってみることも大事ではないでしょうか。先生方のアクションも大事ですし、学び手側の姿勢も大事になります。

 

オリンピックと入試の被り

皆さん7月末にあるビッグイベントはご存知ですか?そう、オリンピックですね。

そこで高校3年生はよく考えてください。9月入学になると共通テスト、国公立大学2次試験、私立大学の入試はいつありますか?そう、大体6月下旬から8月の中旬です。

気づきましたか?被ってしまうのですね。さらに皆さんの代から新入試となります。これによる影響はもう少し丁寧に、深く考えていかなければなりません。オリンピックやコロナのせいで大学入試がおざなりになるということは必ずしもあってはなりません。

 

甲子園やスポーツ大会と入試の被り

いつも夏に行っている甲子園やスポーツ大会の時期もよく考えなければなりません。単純に5ヶ月後ろにずれるのであれば、1月に行うことになります。

とは言えど、夏のままにするのであれば高3で大会に出ることは事実上無理でしょう。

 

我々が今考えないといけないこと

何かアクションを起こす際には必ずメリットとデメリットが存在します。我々は今多数の意見に賛同すれば良いのではありません。もっと自分事として考えなければなりません。

文部科学省は「対面授業でないと授業とは認めない」と述べていますが、ここからまず変えていくのも1つの手です。

今は皆さん1つのことだけに焦点を当てすぎています。もっと幅広く、多面的に、多角的に検討していかなければなりません。自分に直接影響がないからといって公の場で好き勝手に意見を述べている方が多いではないでしょうか。

感情で政治家を動かしてはいけないし、政治家も感情で国を変えてはいけないですよね。こうならないためにも教育は大事です。もっと慎重に議論されていくことを願います。

 

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