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【生体防御反応】血液型の仕組みを解説

こんにちは!武田塾小牧校講師のTです。今日は、「血液型」についてお話していこうと思います。

 

目次

  1. ABO血液型とRh血液型
    1. ABO血液型
    2. Rh血液型
  2. 練習問題
    1. 解説

 

ABO血液型とRh血液型

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私たちの血液には、非常に多くの血液型があります。なかでも、ABO血液型とRh血液型は輸血をするうえで極めて重要な血液型となります。

 

ABO血液型

1900年、オーストリアのカール・ランドシュタイナーは、ある人の血清に他人の赤血球を混ぜると、凝集する場合としない場合があることを発見しました。これが今日でいうABO血液型であり、現代輸血の出発点になった発見であるといわれています。

赤血球の表面にある血液型の物質を“抗原”(凝集原)とよび、血清の中にある赤血球と反応する物質を“抗体”(凝集素)とよびます。ABO血液型では、赤血球(抗原)の検査と血清(抗体)の検査を行って、血液型をA型、B型、O型、AB型の4種類に分類します。赤血球上にA型はA抗原、B型はB抗原、AB型はA抗原とB抗原がありますが、O型にはどちらの抗原もありません。

一方、血清中にA型は抗B抗体、B型は抗A抗体、O型は抗A抗体と抗B抗体を持ちますが、AB型はどちらの抗体も持ちません。

こうした抗原と抗体の組合せから、たとえばA型の患者さんにB型の赤血球を輸血すると、A型の患者さんが持つ抗B抗体が輸血した赤血球のB抗原を攻撃(赤血球を破壊)して、重い副作用が起こります。したがって、輸血は同じABO血液型で行うことが大原則となります。

まとめると・・・

ABO血液型 赤血球(抗原) 血清(抗体) 日本人の頻度
A型 A抗原 抗B 40%
B型 B抗原 抗A 20%
AB型 なし 抗Aと抗B 30%
O型 A抗原とB抗原 なし 10%

このようになります。

 

Rh血液型

それでは次にRh血液型についてです。

1939年、レビーンとステップセンは、人の赤血球に対する凝集素から新たな血液型を発見しました。1940年、ランドシュタイナーとその弟子ウィーナーは、人の赤血球にアカゲザル(Rhesus)と共通の血液型があることを発見し、Rh血液型と命名しました。

しかし、後に、これらは別の血液型であることがわかり、レビーンとステップセンが発見した血液型をRh血液型、ランドシュタイナーとウィーナーが発見した血液型をLW血液型として整理がされました。

Rh血液型には数多くの抗原がありますが、最も強い抗原性を持つのがD抗原であり、D抗原がある場合をRh陽性(Rhプラス)、D抗原がない場合をRh陰性(Rhマイナス)と呼びます。ABO式と異なり、Rh式血液型では、Rh抗体は先天的に誰も持っていません。

Rh血液型において問題となるのは輸血の問題だけではなく、母子間のRh式血液型不適合も問題となります。これは、Rh(-)の女性が、Rh(+)の胎児を宿した場合、1回目の妊娠では問題になりませんが、1回目の出産時にRh(+)の血液が母体にまじり、母体内にRh抗体が産生される場合があります。

この女性が2回目にRh(+)の胎児を宿した場合、母体のRh抗体が胎盤を通過し胎児に移行することで、胎児の赤血球を壊してしまいます。そのために、胎児の造血作用が盛んになり、未熟な赤血球が増え、胎児が重度の貧血症状を表すようになります。

これを新生児溶血症といいます。

これを防ぐために、現在では第1子出産直後(72時間以内)に、Rh抗体をRh(-)型の母親に接種し、母体に侵入したRh因子を除去することでRh抗体が産生されないようにし、第2子が新生児溶血性になるのを防いでいます。

 

練習問題

100人の集団で調べると、A型血清で凝集反応を示す人が30人、抗A血清で凝集反応を示す人が50人、いずれの血清でも凝集反応を示さない人が30人であった。各血液型の人数を調べなさい。

 

解説

A型血清は抗B抗体を含む血清です。抗B抗体で反応するのは、抗原Bを持つ人なので、B型とAB型です。
抗A血清は抗原Aと反応する血清で、抗A抗体を含む血清です。抗A抗体で反応するのは、抗原Aを持つ人なので、A型とAB型だと分かります。
いずれの血清でも凝集反応を示さないのは、抗原を持たないO型です。よって、

☺ B+AB=30
☺ A+AB=30
☺ O=30
☺ A+B+AB+O=100

となります。

以上より、A型=40人、B型=20人、AB型=10人、O型=30人と求められます。

 

血液型にはこのような仕組みがあることはわかっていただけましたか?

それでは、今後も頑張っていきましょう(^^)!

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