みなさんこんにちは!武田塾小牧校講師のOです。
季節もめぐり巡り秋になってきました。受験生はこのまま突っ走るのみです。
とはいえど、間違った勉強の仕方で突っ込んでも成績が上がるとは限らず、上がったとしても一時的なことが多いです。
今回は数学の危険な勉強の仕方についてお話しします。
目次
知識の種類
勉強の仕方を話す前に、そもそも知識とはどのようなものか考えていきましょう。
知識(ちしき)とは、認識によって得られた成果、あるいは、人間や物事について抱いている考えや、技能のことである。(Wikipediaより)
つまり、知識とは成果?考え?技能?っていうようにごちゃごちゃします。「学習」という中での知識について詳しく考えていきたいと思います。
イギリスの哲学者Gilbert Ryleや、アメリカの心理学者John R. Andersonらは知識を「宣言的知識」と「手続き的知識」の2つに分類しました。この2つの知識を具体的に見ていきます。
宣言的知識
宣言的知識とは、ある領域を支配する原理やある領域の知識相互の関係の理解、あるいは概念的知識であり、出来事や事実、あるいは概念に関する知識です。宣言的知識は概念的知識(意味)と同義で考えられることが多いです。
命題的な使い方(AはBである)として「knowing that」と表されます。
手続き的知識
手続き的知識とは、問題解決のための行為の実行能力であり、技能や問題の解き方等の暗黙知と関連の深い知識です。
手続き的な使い方として「knowing how to」と表されます。ノウハウといった言葉を聞いたことがあると思いますが、それと同じです。
それではでは、なぜこの2つの知識を取り上げたのか、皆さんご存知の「暗記数学」を例にとって考えたいと思います。
暗記数学の危険性
暗記数学(あんきすうがく)とは、実際の入試問題を解くにあたってまず必要な解法パターンを理解・暗記し、既知の解法を組み合わせることによって問題を解く、数学の勉強法のことである。
「暗記数学」を提唱したのは、受験アドバイザー和田秀樹である。和田によれば、暗記数学は「自力で問題を解かず、模範解答を見て解法を覚えるやり方」と述べている。ただし年号や英単語の暗記(和田曰く「理解抜きの丸暗記」)とは異なり、数学の暗記は「理解型暗記」、すなわち解法を理解して覚えることだとしている。したがって何故そのような解法をするのかが理解出来なければ、解法暗記は成り立たない。和田の勉強法では、各個人の数学的能力の差を持っている解法パターンの量として捉える。したがって、まず学習者が取り組むべきはその解法パターンを理解・暗記し増やすこと解法暗記であるといえる。
和田氏が提起している「暗記数学」の暗記は、英単語や歴史の年号といった暗記とは異なります。しかし、たまに次のような人がいます。
- テストではよくできているのに、問題形式が変わると手も足も出ない。
- とりあえずこうすれば解けるけれども、なぜ解けるかわからない。さらには、わかっているけれども納得はしていない。
- 自分のわからないところがわからない。
この人たちの問題点は、問題を解けることに焦点が置かれるあまり、物事の意味(本質)がわかっていないことが第一の原因として考えられます。これは数学の中だけではなく、他のどの科目でも言えることです。
じゃあどうすればいいのか?
教育は万能ではありません。これが正解!という勉強法はなく、勉強の仕方による効果も1人1人で変わります。なので、藤澤(2002)の文献を借りつつ抽象的に述べていきます。
授業中に教科書を見ただけでは記憶には残らないので、授業中や復習やテスト前の準備などで、3つの学習行動が必要です。それを「深化学習」、「定着学習」、「発展学習」と呼ぶこととします。
深化学習
出てきた用語の意味を理解したり(有意味化)、イメージを浮かべたり(イメージ化)、学習内容の体系を把握したり、既有知識との関連を考えたり(体制化)することです。
これにより、学習内容を活用することができるようになり、記憶に残るようになります。
定着学習
記憶すべき内容を自分で抜き出して暗記カードなどを作って、意図的に覚えるとよく記憶に残ります。
暗記カードをつくったりするとそれだけでも覚えてしまったりしますが、これも定着学習の1つで、計算を反復して解くことでより円滑な処理が可能になることも同様です。
発展学習
自分の興味に基づいて学習内容をさらに発展させ、新しい事柄を調べたり日常生活への応用を考えたりすることです。
これにより「探究をする力」や「創作の力」がついて問題解決力や独創性を伸ばすきっかけになります。
3つの学習法を数学に落とし込む
3つの学習法を数学に落とし込むと
- 問題を解く上で何も求めるのか
- 解くためにはどのような方針を立てたほうがいいか
- その方針の下では何が必要か
- 本当にその方針でいいのか
が大切になります。
さらに加えると、問題を解いていく上では1つ1つの概念が必要です。概念的知識と手続き的知識あってこそ論理的なつながりが見えてきます。
暗記数学は概念的知識が抜け落ちる危険性を持っています。
「数学は考えるな!パターンを頭にたたきこめ」といった言葉もありますが、あなた方はAIではありません。人間だからこそ「考える癖をつける」と良いですね。
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