入試英語長文実況解説講座
漢字が多い!
それだけで見る気がなくなってしまいそう・・・いや、でも仕方ない、1番しっくりくるネーミングだから・・・!
県内最高峰の新潟大、素直に真面目に勉強すれば受かります!
私大は正直、運要素もあります(1点に何百人と乗っているので、たまたま知ってる問題で差がつくなんてことも大いにある)。また、各校で特徴が出るので各校の試験形式に慣れていないと足元をすくわれる問題も多いですし、テクニックを要するものも散見されます。というのも私大は膨大な数の受験生から合格者を出さなきゃいけない、しかも7割前後の合格最低ラインで定員ほど、となるとある程度の難易度を維持する必要があります。
他方、国公立大学は共通テストによる足切りがあるため、大学がオリジナルで問題を作る2次試験では基本的なものがどこまで確実にできているかを丁寧に見ながら採点されます。そのため東大や京大などの超難関校でない限り、至ってシンプルかつ実力をそのまま出せる試験となるわけです。
では、新潟県内最高峰の新潟大学の試験問題はどうでしょうか。
最新2021年の前期の問題を見ていきたいと思います。
まず、形式は長文の大問が2つ、和文英訳と英作文で構成された大問が1つ。英作文は自分の意見も交えて書かなければいけないものですね。ちなみに2020年から過去3年間を見ても、意見を交えて書く出題形式は継続されているので、今後もこの形式には慣れておいた方がいいでしょう。英語で書く前に日本語で自分の意見をまとめておかなければいけないので、いろんなテーマについて意見を持つよう日々意識しておくことが大事ですね。
さて、このブログでは英語長文についての実況解説なので、英作文についてはこの辺にしておきましょう。
新潟大学 2021年 英語 大問1
では今回は大問1の実況解説です。
英文和訳が2問、内容理解の日本語記述が2問。
ね?シンプルでしょ?
実直に文法と単語と長文対策をやっていれば、真正面から解ける問題です。
「そうはいっても、そもそもの文章が難しいんでしょ?」
そんなことありません。
400語前後で、しかも語彙レベルもシステム英単語標準編で対応可能なレベルです。
武田塾に通っている塾生なら、ルートをきちっとこなしていればこのレベルの英文読解は絶対に解けます。
著作権の関係上、問題文を載せることができないので、過去問集かネット上の過去問データベース(某T進運営など)などで閲覧しながら読み進めていただくと理解が深まると思います。むしろ何も見ないでこれだけ読んでもよくわからないと思いますので・・・。
2021年の大問1は、第1段落でパキスタン航空8303便の、おそらく事故の話?から入っていきます。
perishという単語はシステム英単語標準編にも掲載がない単語ですが、technical problemsやlost two enginesから連想しましょう。死んだと言うことですね。正確には「滅びる」と言う意味なんですが、なんとなくそう言うことだというのがわかればいいです。
1段落は「Mayday!」についての導入でした。2段落以降で詳しく述べていきます、どうやらこの文章は「Mayday!」についてなのでしょう。「Maydayは国際的な苦しみの呼びかけ、飛行機のパイロットや船のキャプテンが使う」というのが直訳ですが、映画なんかで見たことないですかね?ないか。(お願い、あって!笑)
緊急事態発生の飛行機や船の乗務員が無線でメイデイ、メイデイ!と叫んでるの。なければ仕方ない。
3段落は、このメイデイという信号(暗号?)は第1次世界大戦の後に出てきたと、イギリスとヨーロッパ大陸諸国の間に空中交通(つまり飛行機)が劇的に増えた時。合図がないとぶつかりますからね。
そして次の文章が英文和訳。
問1です。
All nearby nations needed an internationally understood signal that would alert authorities to urgent aircraft problems.
さあ、まあまあ長い一文ですね。耐性がないとウゲっとなってしまいそうです。まあ国公立大学の2次試験です、仕方ありません。SDやKWの記述模試なんかでもありますよね、これくらいの長さだと。
まずSVを振ってみましょうか。
SはAll nearby nations、Vはneeded ですね。あら簡単。この文の核はAll nearby nationsがneededということなんです(ルー大柴か)
All nearby nationsて何?nationsは国々ですよね?nearbyは、近くのという意味です。実はこのnearbyはシステム英単語標準編のみ掲載があり、ベーシック編には掲載がありませんでした(衝撃)。neededは必要だった、ですね。
全ての近くの国々→全ての近隣諸国とでも訳しておきましょうか。全ての近隣諸国は必要だった。何が?
an internationally understood signalですよね。ここがOの部分になります。
国際的に理解されたシグナル(合図・サイン?)を必要としていた。
これ、すなわち、のちのメイデイってことですよね?文脈追えていますか?
で、that以下にその説明があります。
alert、authority、urgent。
これらの単語の意味、ちゃんと覚えてますか?
be alert toは用心する、authorityは権力や権威・当局という多義語、urgentは緊急の。
ちなみにalertはシステム英単語標準編にしか掲載がありませんが、後二者はベーシック編にも掲載されています。
まあ、問題になっている部分の単語ですから、新潟大学レベルの大学を受験される方はシステム英単語標準編をやっておかなければいけないということですね。
that would alert authorities to urgent aircraft problems.
ここはさっきも言いましたがsignalを修飾する部分ですよね。
be alert O to の形になっているのでやや訳しづらいですね。
先にurgent aircraft problemsから訳をしましょうか。和訳の問題はできるところから訳をするというのもポイントですね。
緊急のエアクラフト問題。エアクラフトというのは飛行機のことです。ベーシック編にも載っている基礎単語ですよ?
緊急の航空機の問題。航空機の緊急事態のことですね。エンジンが止まった!とか。
これを、authoritiesにalertさせると訳すれば自然な日本語になりませんかね?(ルー語ではない)
用心させる相手は権力・権威・当局 この中では、当局が1番しっくりくるのではないでしょうか。
飛行機が落ちそう!やばい!みたいな状況で飛行機から連絡をするのはどこだと思いますか?
管制官ですよね?飛行機詳しい人でなくてもなんとなくわかりそうな気がしますが・・・。
要は空の道の案内人です。管制官、なるのめちゃくちゃ難しいんですよね。
権力や権威というと政治家とかになっちゃいそう、というか意味が広がりすぎるので、ここは当局とした方がいいでしょう。当局もある意味では権力なのかもしれませんが。笑
じゃあ、すべてのパーツをそのまま並べてみましょう。
「全ての近隣諸国が、必要としていた、国際的に理解されたシグナル(合図・サイン?)を、当局に用心させる、緊急の航空機の問題を」
これを自然な日本語の文章にすると
「近隣のすべての国々は、航空機の緊急事態を当局に用心させる国際的に理解された合図を必要としていた」
のような感じになるのではないでしょうか。これで十分合格点がつくように思います。
ちなみに、和訳の問題で議論になるのが「意訳」です。
意訳をしすぎると、採点者に「私はわかっているぞ!」ということが伝わりづらく、点が乗りにくいという問題があります。あなたが翻訳の仕事を依頼されて書くのであれば意訳で結構なんですが、試験は採点者に理解度を伝えられないと意味がありません。だって落とされるんですから。
なので、自然な日本語を意識しつつ、少しアピールするような書き方を見せつけることが大切なように思います。この辺のサジ加減は演習を繰り返す中で、身近な先生に添削してもらってブラッシュアップしていきましょう。和訳問題の正解は複数存在しますからね。その点は楽しいです!
では続き読んでいきましょうか。
続いて次の下線部です。
問2
Why not just use the standard "SOS" call that navy captains used when they were in trouble?
これは問題の指示が和訳ではなく、これ「に対する答えを」書け、ということです。
なぜ(彼らは)、海軍のキャプテンがトラブルに陥った時に使っていたスタンダードなSOSを使わないのか?
という疑問です。
まあ、段落の冒頭にこの問いかけがあるということはこの部分以降にその理由が書かれていることは明白ですね?
ちなみにnavyが海軍であることはみなさんご存知ですよね?(ベーシックにも載ってるのでもちろん知ってますよね?色じゃないですよ?)
telegraphは下の注にもありますが電信です。船はモールス信号(これも下に注がありますね?)を使って電信でコミュニケーションをとってると。モールス信号知ってます?トントンツーツーってやつですよ。余談ですが、私、昔自衛官の結婚式の披露宴会場で音響の仕事をした時に、余興でモールス信号クイズをやっていて面白かったのを思い出しました(笑)
それはさておき、モールス信号はunmistakableと書いてます。めちゃくちゃ大事な単語!
要は電気信号です。正しく入力すれば、機械が故障さえしていなければ誤って伝わることがないんですよ。
そしてその直後のBy contrast、「他方」ですね。「対照的に」の方がわかりやすいですか。つまり逆のことをここから述べることになります。
飛行機のパイロットはラジオを使う。電波・無線のことですかね?"SOS",owing to its consonants・・・consonants!?これなに!?
そんなこと気にしなくて大丈夫。その後が大事。
misheard as other letters,like "F".
大体想像つきませんかね?Fに聞き間違えると。misheardは単語帳で直接掲載がなくても意味を導いてほしい単語です。misは誤る、heardは聞こえるです。
「エスオーエス」をラジオ(無線)、つまり声だけで伝える(受け手は耳からの情報だけで受ける)とエフオーエフみたいに聞き間違えませんか?ということが言いたいわけです。連想力ですね。
仕事で無線使っていたこともありますが、本当に聞きとりづらいです。
なので、問2はこの辺りを100字以内の日本語でまとめてあげればいいわけです。
解答例としては、
「船においてはモールス信号という電気信号を打ち込むので間違えることはないが、飛行機においては無線で呼びかけるため、SOSという文言だとSをFに聞き間違えるなど誤って伝わる可能性が高いから。」
あたりでいかがでしょう?字数は96字です。
では続きです。5段落目いきましょうか。
スタンレーさんはまともなコードが何かないかを探る担当になった。
in charge of これの意味忘れてませんか?大丈夫!?
彼はイギリスの人です。彼は、パリとの間の飛行機が頻繁に飛んでいるからフランス語由来のものならいいんじゃないか、と考えたと。
で6段落。Mayday はフランス語のm'aider(助けてくれ!)から来てると。
アメリカはメイデイを苦しい時のサインとして1927年に公式に採用した。
adopt忘れてませんよね!?
7段落に入ると、due to は覚えてますか?「〜のため」ですよね?
interferenceは障害(シス単ベーシックにも載ってますよ)、うるさいノイズのため、Maydayを3回繰り返せと。ここに下線部があります。
問3。3回繰り返す理由について60字以内で述べよと。
まず、無線のマイナスポイント、この段落の冒頭にも「Due to radio interference and loud back ground noise」とありますし、上でも書きましたが、背後の音がうるさい/聞き間違えをしてしまう点でした。
無線の音とか聞いたことありませんか?もしくはカーラジオ。あまり鮮明に聞こえてきませんよね。特にAMラジオ、ざらついてると言いますか(あのチープな音で聞く野球中継は味があるんですが笑)。
雑談はさておき、この後です。「The repetition also serves to distinguish the transmission from others that simply refer to the mayday call」
ポイントは「also」
「〜も」。
ということは、前にも述べたことに加えて、という文脈になるわけです。前に述べたことが理由であるならば、それに加えて述べていることも理由である可能性が非常に高いです。
repetitionはシス単標準編にも載っていないので、とりあえずは知らなくても仕方ないですが、その後の文から導きましょう。serveは仕える、与える的な。distinguishは区別、transmissionは伝える/伝達です。いずれもシステム英単語ベーシック編にも掲載されている基本単語ですのでね、知っておいてくださいね。transmissionは車が好きな方なら馴染みがあるかもしれません。あれは簡単にいうと動力を車輪に伝える装置です。「伝達」装置だからトランスミッションと言います。
すると、repetitionはserveする。to以下は、区別する。何と?他の伝達とです。that以下は、「単純にメイデイに言及していること」です。ここのthatの使い方は少々わかりづらいかもしれませんが、文脈から文章の意味を捉えることができそうです。
そうすると、「repetitionは他の伝達する言葉と区別するためにもなされる」的な意味になります。
で、repetitionて何!?
ですね。
答えは「繰り返し」です。repeatから連想できればいいですが、ちょっと難しい。でも、maydayを3回繰り返した後に、The repetition also~ とあるので、勘のいい方なら導けたかもしれません・・・!
で、問3は、60字以内の日本語で「本文に述べられている全ての理由」を述べさせる問題です。
素直に考えればこの2つを書ければいいと思われます。
要求通りにまとめると、「無線の障害や背後のうるさいノイズなどのために聞き間違えたりすることを防ぎ、他の伝達する言葉とメイデイの宣言とを区別するため。」でどうでしょうか。56字です。
模範解答では「〜と同時に」と付け加えているのでさらにわかりやすいですが、ざっくりとこういった訳ができていればそれなりの点数はつくと思います。
その後8段落では、こうした状況はパニックに溢れてるからパイロットを勇気づけるためにFAAが要求した、次の手順で情報をくれと、緊急の返答者が、あなたたちが何のトラブルに陥っているかが正確にわかるから、と。
これがちゃんとわからないと助ける方も助けられないですからね。
11個、書いてあります。
で、9段落。まとめの段落。分詞構文ですかね。訳に気をつけましょう。
重要性を挙げると、多くの人がメイデイシグナルに敬意を表し、本当に必要な時にこれを使うようになった。
といったあたりでしょうか。
その直後のSadlyは逆接的な使い方だと気づけましたか?
その直前で、功績を述べているんです。その直後に「悲しいことに」と来たわけですから、文脈的には逆接ですよね。
下の注にもあるように、いたずらが多かったと。
で、下線部。
問4です。
As a result, hundreds of thousands of dollars and countless hours may be wasted trying to rescue people who were never in danger.
これは和訳ですね。
出だしは「結果として」でいいですね?その後のSVを掴みましょう。
hundreds of thousands of は「何十万」というイディオムです。(私普通に「何百ドルも何千ドルも」と書いてしまいました)。
hundred(100)にthousand(1000)をかけてあげると100000になる、と覚えておきましょう。
するとSは「何十万ドルものお金」、Vは「数えきれない時間が費やされるかもしれない」、trying以下は「人々を救おうとした」、who以下はpeopleを修飾する節、「危険に遭遇していない」です。
これらをつなげて自然な文章にすると・・・
「結果として、何十万ドルものお金と数え切れないくらいの時間が、全く危険に遭遇していない人々を助けるのに費やされるかもしれないのだ。」
ちなみに私、may beも最初見落としておりました(集中力切れてきたかな・・・)
英文和訳問題は、解答を書いた後、訳し忘れがないか「必ず」確認しましょう!!!
次回は大問2の実況解説をやります。お楽しみに!!