こんにちは。武田塾日吉校です。
倫理と名前だけ聞くと、
｢人たるものは、・・・｣｢人の道とは、・・・｣
みたいなことを教える道徳のような感じがするかもしれませんね。
確かにそう言えなくはないですが、
要は、哲学史または思想史で、
ここに社会学や心理学、政治学、宗教学などの内容もある程度含まれるものです。
高校では履修しないところもあると思うので、
世界史日本史に比べるとマイナー科目です。
実際、教科書も薄いです。
入試情報ということで、まずは入試の倫理に関することを次に書きます。
大学入試では、
｢倫理｣よりも｢倫理･政治経済｣として扱われることが多く、
皆さんが入試情報を探していて倫理が出てくるとしたら、
政治経済とセットになっていることの方が多いでしょう。
どういった場合に倫理が登場するのか、以下で整理します。
国公立大学･共通テスト
｢地歴公民｣のうち、文系は２科目、理系は１科目必須が標準的で、
大学ごとに指定するパターンで選択することになります。
公民科目に｢現代社会｣｢政治経済｣｢倫理｣｢倫理･政治経済｣があり、
倫理は、単独科目の｢倫理｣がある一方、
政経とセットで１科目にもなっています。
また、現代社会にも倫理の内容を含まれるので、
内容的には３科目に関連します。
｢倫理｣は、政治経済がない分、
学習範囲が｢倫理･政治経済｣の半分になるので、
必要な勉強量を最小限で何とかしたい人には、いい科目です。
実際には、政治経済の方が容量がやや多いので、
その点でも お得な科目と言えます。
ですが、一方で、単独の｢倫理｣を選択可能な科目に入れてない大学も多いので、
必ずこの大学を受け、他の大学は受験予定なし、
という場合に限って、それら大学で単独の｢倫理｣が可能なら、
かなり お得な科目です。
文系学部では、
地歴の｢世界史A、日本史A、地理A｣と、
公民の｢現代社会｣、単独の｢政治経済｣｢倫理｣に制限(選択不可)があることが多です。
つまり、地歴の｢世界史B、日本史B、地理B｣と、
公民では｢倫理･政治経済｣のみが、
いろいろな大学に有効ということです。
理系学部は反対で、
何でもいいから地歴公民から１科目
といった選択パターンがけっこう見られます。
国公立大学･２次試験
もともと、地歴公民がある大学は少数です。
理系は完全になし、文系でも、まずは英語、次いで国語、といった具合で、
地歴公民を必須科目にしている大学学部はいくつかしかありません。
他の教科と合わせた選択科目として、社会がある大学は、
時どきあります。
で、実際に倫理を受けることが可能な大学は、
筑波大学、東京学芸大学、信州大学、長崎大学のそれぞれ一部の学部で、
いずれも地歴公民の選択科目の１つなので、
他の科目を選ぶなら、倫理は必要ありません。
地歴公民があっても、倫理は選択できない場合がほとんどと言えます。
そんな中、一橋大学が、２０２１年度入試まで、
全学部で｢倫理･政治経済｣が地歴公民の選択科目の１つになっていましたが、
２０２２年度(２０２２年４月入学)から廃止になりました。
何というか、希少価値(？)があったのですが、
有名難関大学であっただけに、寂しいですね。
こうなったら、残り４大学に今後も続けてほしいです。
私立大学･共通テスト
英語、国語、地歴公民または数学から１科目選択、がふつうです。
これは数が多すぎて調べ切れませんが、
公民４科目のうち、｢倫理･政治経済｣は、おそらく ほぼ全大学で選択可、
｢政治経済｣もほぼ可ですが、
単独の｢倫理｣は不可の大学も一定数あります。
なので、教科書が薄いということだけで、
倫理だけを社会科目として、とりあえず始めたとかだと、
あとで｢！！！｣ということがあり得ます。
且つ、私立大学志望の人は、このあとの２月の入試も受けると思うので、
こちらが倫理受験が不可ということを考えれば、
共通テストで私大志望の倫理選択は、
特殊な人の場合のみ ということになります。
私立大学･一般入試(２月)
社会は、世界史か日本史なら全大学で受験可能、
政治経済も可能な場合が多いですが、倫理はないです。
と思ったら、探してみたところ、２０２２年度入試では、
日本大学文理学部のⅠ期A方式(２月３日と４日)の選択科目に
単独の｢倫理｣を見つけました。
他に、専修大学文学部の前期入試と、人間科学部社会学科の前期入試
でも単独｢倫理｣があります。
確信は持てませんが、たぶん他にはないと思います。
日本大学は日本一の大規模大学、
専修大学も受験者がかなり多い大学です。
わずかに そういった大学でのみ、倫理入試が存在しているわけです。
国立の倫理ありの４大学より さらに希少なので、
是非これからも倫理を続けてほしいです。
倫理を選ぶなら、
入試に関しては以上のような訳なので、
高校で履修がない人がいることも含めると、
自ずと選択する人は少なくなりますが、
選んでお得な人は、次のような場合だろうと思います。
国公立大学 理系志望で、
共通テストの地歴公民で｢倫理｣選択が可能な大学だけを想定している場合です。
第１志望がA大学、それがダメならB大学、・・・ と想定して考えますが、
国公立大学はもともと数が多くないし、
受験できるのも最大２校なので探しやすいと思います。
一般的には理系の人は｢地理｣を選んでいると思いますが、
単独の｢倫理｣なら、内容そのものは地理より少ないです。
国立大学文系志望の人が、
とにかく内容が少なく、覚えて何とかできる問題が多いから、
という理由で｢地学｣を選ぶのと似ている気がします。
但し、好き嫌いはあるので、哲学だの思想だのが全然無理という人は、
順当に地理を選ぶのがいいと思います。
国公立大学 文系志望で、
共通テストの地歴公民で、第１科目を世界史か日本史にし、
第２科目で｢倫理｣選択が可能な大学だけを想定している場合です。
これなら、私立の方は世界史または日本史で受け、
国立大学用の共通テスト第２科目だけに倫理を使うので、
配点と用途が少ない科目に、
少ない準備でいける倫理を当てるのはお得です。
私大志望共通テストにかける
というのが、作戦として、考えられないことはないです。
地方にいて、２月に受験会場に行くのが、
感染の心配等も含めて難しいため、
共通テスト利用だけに出願し、決めるという方法です。
或いは、同じく地方で、自宅から通うことが進学条件といった事情があって、
いくつかの私立大学しか通うことができず、
且つ難易度的に余裕があるので、共通テスト利用で十分合格を見込める、
といった人もいるかもしれません。
いずれにしても、かなり特殊な場合になりますが、
確かに、低負担ゆえに高得点を狙う作戦は考えられます。
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