前回に引き続き、これから受験勉強を始める高2生を対象に、
最初になにから手をつければ良いのかをお話ししたいと思います。
今回のテーマは数学です。
数学は計算力が物を言う
数学という言葉を聞いて拒絶反応を起こす受験生は少なくありませんし、
こうした傾向は、挫折した学年が早ければ早いほど顕著です。
数学への苦手意識を拭うのは簡単ではありませんが、
それでも理系ならびに国公立志望の場合は数学を取らざるを得ません。
【苦手意識の原因とは?】
数学嫌い、あるいは苦手意識を持つようになるきっかけとして
①小学校時代の文章問題
②中学校時代の証明問題
が挙げられます。
いずれも式が予め与えられていないため、自分で考えなければならず、
その結果「数学は難しい」という苦手意識を植え付けられます。
①は式さえ立てられればあとは計算だけなので、それほど厄介ではありませんが、
②は既知の結果を導く過程を示さねばならず、論理力が必要となります。
これまでとは異なり、計算力だけではどうにもならなくなるため、
苦手意識は「計算力一辺倒が通用しない」ことに起因します。
受験数学は計算力がカギ
たしかに受験数学、特に記述型入試においては論理力が必要で、
解答だけでなく解答までの過程も採点の対象となります。
例えば「2つの三角形が合同であることを証明しなさい」という問題で、
合同条件に全く触れずに「合同です」と言っても、得点にはなりません。
しかし入試問題においては、先述の①のような文章問題の方が多く、
②のような証明問題の出題頻度は決して高くありません。
そのため入試では「いかに速く正確に計算するか」が重要であり、
受験数学では「計算力が物を言う」と言っても過言ではないでしょう。
最初に何をやればいい
いくら数学が苦手とはいえ、足し算・引き算といった四則計算は出来ると思います。
証明問題で挫折したとしても、それまでは数学が得意だった、
中でも計算問題は特に得意だったというケースはよくあります。
そのため真っ先に取り組んでいただきたいものとは、
教科書や講義書といった類いではなく「計算問題」です。
そこでまずは以下の参考書から始めてみてはいかがでしょうか。
新訂版 大学入試・センター突破 計算力トレーニング上・下(桐書房)
山﨑 亘著
最初は通分からはじまるため、「本当に大学受験用の参考書?」と思われるかもしれませんが、それはこの参考書が「計算が苦手な人でも速く正確にできる」ことをコンセプトにしているためです。上巻では高校以前の復習が含まれているものの、1Aの範囲を網羅し、下巻では2Bの範囲を扱っています。
まずは「上巻→1Aの問題集」に取り組み、次に「下巻→2Bの問題集」へと進めてみてください。
計算問題から始める目的
受験に際し、簡単な計算問題から始めるのは何故でしょうか?
それには2つの理由があります。
①計算スピードを上げることで、たくさんの演習問題が解ける
数学をはじめとする理系科目に計算はつきもののため、計算スピードを上げることによって単位時間あたりに解ける問題数が増えます。時間に限りがある以上、たくさんの問題を解くには計算時間を早める必要があります。
②早くかつ正確に解けた達成感が学習意欲を高める
計算問題は結果が全てのため、しっかりと時間を測った上で全問正解出来たとき、「自分は頭がいい」という達成感が得られます。こうした達成感は、次の問題でも全問正解しようという学習意欲をかきたててくれます。
つまり計算問題は数学の勉強を効率的かつ意欲的にしてくれる効果が見込めます。
* * *
計算問題では「速さ」と「正確さ」が要求されますが、
「正確さ」にこだわって取り組んでいただきたいです。
受験数学において、もっとも避けたいものが「計算ミス」です。
たとえば確率の問題では、最初の解答がそれ以降の問題でも使われることがあり、
そこで間違えてしまうと全滅する危険があります。
いくら時間どおりに全て解答できたとしても、間違っていては意味が無いので、
まずは正確な計算が出来るようにして下さい。
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